乃木坂46の楽曲を一日一曲語る。28日目『13日の金曜日』
_______【この記事の構成】_______
▼今日のこばなし
本題の伏線になる時とならない時がある雑談
▼『○○』の基本データ
作編曲、歌唱メンバー、MV等の情報
▼『○○』を語る
愛と飛躍に溢れた考察
▼おわりに
総括とキメ台詞
▼
▼今日のこばなし
「ファンorフリーク」
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筆者は乃木坂「ファン」ではなく、乃木坂「フリーク」と名乗ることにしている。
これには意味がある。
誤解を恐れず言うと、筆者は「ファン」と名乗れるほど乃木坂46の未来に投資する意欲はないのである。
懐古主義は好きではないが、グループがずっと存続するよりも、SLAM DUNKのように美しく終わって欲しいと思っているのは否定できない。
筆者がこのように自覚することとなったキッカケは、キンコン西野のVoicyである。
「ファン」と「クレーマー」と「株主」の違いについて、おそらく誰もが関係ある内容になっている。
とりあえず聞いてみて欲しい。
▼『13日の金曜日』の基本データ
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▼収録 / 発売日
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5thシングル『君の名は希望』Type-B / 2013年3月13日
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▼作詞 / 作曲 / 編曲
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秋元康 / 網本ナオノブ / 湯浅篤
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▼歌唱メンバー
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安藤美雲、市來玲奈、伊藤万理華、衛藤美彩、柏幸奈、川後陽菜、川村真洋、齋藤飛鳥、斎藤ちはる、斉藤優里、中元日芽香、能條愛未、畠中清羅、樋口日奈、宮澤成良、大和里菜、和田まあや
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▼センター
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斉藤優里
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▼MV(ミュージックビデオ)
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監督:山田篤宏
▼『13日の金曜日』を語る
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・アナロジーと吊り橋効果
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「13日の金曜日」というタイトルに多少ビビりながら聞いてみると、不吉や恐怖とは無縁のハッピーな世界観にあっけらかんとしてしまう曲である。
13日の金曜日
何かが起こりそう
ドキドキして
大声を上げたくなる
恋とホラーはよく似てる
スリルがいっぱい
次の展開はどうなるの?
ハラハラする
楽しみ
- 出典:『13日の金曜日』/ 作詞:秋元康 作曲:網元ナオノブ
この歌詞から分かるように、『13日の金曜日』のテーマは「恋とホラーはよく似てる」である。
この曲の主人公にとって、迷信やらホラー映画やらは彼とドキドキするための道具に過ぎないのだ。
さて、筆者が敬愛する前田裕二氏は自身の著書『メモの魔力』で、秋元康について以下のように述べている。
アナロジーとは、一見無関係なものの間に何らかの共通点を見つけて、結びつける思考法です。身近で具体的な事例の特徴を探して、抽象化して、それをまた別の具体に当てはめるわけです。【中略】秋元さんは異常なまでの繊細さで、あらゆる事象にまるで「抽象化の便箋」を貼り付けるように、日々このアナロジーのための種集め作業を行っているのだと思います。
-出典:前田裕二『メモの魔力 The Magic of Memos』(幻冬舎、2018年)
「恋」も「ホラー」もスリルがいっぱいでドキドキする、というのは非常にシンプルなアナロジーである。
もっとも、この「恋」×「ホラー」というのはすでに『吊り橋効果』という名前で世間に浸透している。
これは、グラグラする吊り橋で出会った異性には恋愛感情を抱きやすいという心理作用のことである。
人間は、冷や汗モノの恐ろしい体験で感じた生理的興奮(ドキドキ)を、性的興奮と勘違いしやすいらしい。
実際、『13日の金曜日』の歌詞にも、吊り橋効果を引用した表現が見られる。
恋の吊り橋 渡るように
一緒に怖がれば
ハート 近づいて
2人はひとつになる
- 出典:『13日の金曜日』/ 作詞:秋元康 作曲:網元ナオノブ
ちなみにこの『吊り橋効果』は、その名の通り吊り橋で行われた心理実験の結果に基づいて提唱されたものであるが、
そこから派生したある実験では、「美人じゃないと逆効果」という結果も出ているらしい。この世界は残酷だ。
・4回目!!
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突然だが、太田裕美の代表曲『木綿のハンカチーフ』は歌詞がとても印象的だ。
いいえ あなた 私は
欲しいものは ないのよ
ただ都会の絵の具に
染まらないで帰って
染まらないで帰って
- 出典:『木綿のハンカチーフ』/ 作詞:松本隆 作曲:筒美京平
この太字部分の歌詞について、秋元康は『天職』((※1))という本の中で、
「同じフレーズを2回繰り返すのは勇気がいること。それをここまで効果的に使える松本隆はやはり天才」
と評している。
これを踏まえて『13日の金曜日』の歌詞を見てみよう。
次の展開はどうなるの?
ハラハラする
楽しみ
きゃあースクリーム
きゃあースクリーム
きゃあースクリーム
きゃあースクリーム
- 出典:『13日の金曜日』/ 作詞:秋元康 作曲:網元ナオノブ
いや、、、4いっちゃってるんですけど。
▼おわりに
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「13日の金曜日?え、まじウケるんですけどwwそんなのウチらには関係ないからww」
ホラー映画において、ここまで鮮やかな死亡フラグがあるだろうか。
『13金』は、そういった能天気さも含めて、斉藤優里のセンターが光っている楽曲である。
余談だが、ジェイソンが劇中の殺人シーンでチェーンソーを使ったことは一度も無いらしい。
では、また明日 stay tuned!
((脚注))
※1)秋元康・鈴木おさむ『天職』(朝日新聞出版、2013年)