「片づけから始める働き方改革」から始まる事務室の環境悪化
少し前のことになるが、ある業界雑誌で「片づけから始める働き方改革」という記事を目にした。
「学校片づけアドバイザー」として活動する元教員が、ある小学校の校長の依頼を受けその職員室で、物品配置変更等による環境改善を行ったレポートだ。
その中で、離れた印刷室にあるコピー機を職員室内に置きたいという要望に応えるべく、定位置を見つけるくだりがあった。
しかし職員室を回っても、書類棚、視聴覚機器用棚、防災物品用棚、食器棚、冷蔵庫、ごみ箱などがあり空いてる場所が見つからない。
と、アドバイザーは校庭への出入口付近に若干のスペースを見つける。
ただ、そこにある引き出しをどこに持っていくか。中に入れているものを考えると、離れたところに移動させたくはない引き出し。しかし近辺もすでに棚で埋まっていて場所がない。
で、視聴覚機器が入った棚をどこかに移動し、そこに引き出しを持って行くことになる。
では視聴覚機器用棚は…。
この視聴覚機器用棚は、「事務職員に相談」ののち隣接する事務室に移動された。「まるでパズルのように」。
夏休みに棚や引き出しを移動。印刷室からコピー機を運び込み、うまく収まり「大拍手」。「念願だった職員室でコピーができるようになったのでした」。
このとき、事務職員がどう対応しどう回答しどう感じたか、もちろん私は知らない。
ただ外から見れば。
「職員室にコピー機を入れたい」「でも棚を遠くに動かしたくはない」「冷蔵庫も食器棚もこのまま職員室に欲しい」という多数の願望と、「学校片づけアドバイザー」という様々な意味でフリーな立場が結びついて、
その結果、事務職員の業務に関係のない視聴覚機器用棚が事務室に運び込まれ、言い換えれば職員室の環境改善のために事務室を狭隘化=環境悪化させたことになる。
詳しいことはわからない。この学校の事務室がめっぽう広大で、スペースが余りに余っているということもあるかもしれない。
そうでなくとも、棚ひとつで環境悪化なんて大げさな、と感じる人は多いかもしれない。
それはそれでわからないでもない。
ただこうして、多数の利益のために少数職種に犠牲を強いるあり方が外部の手をもって天真爛漫に遂行され、しかもそれが能天気に「片づけから始める働き方改革」などと銘打たれる。
そんな無神経な学校・業界の在り方は、少数職種を伝統的に苦しめてきた問題だと思う。
とても不愉快な記事だった。
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