「学校における働き方改革」により事務業務そのものが増えている。なのに「事務職員も教員の負担軽減の取り組みを」と。二重の要求を行っている自覚はあるか。
8月下旬に政府各省庁の来年度概算要求が公表されました。
文科省の概算要求を見ると、教職員定数の改善においては特段見るべき点はありませんでした。
小学校35人学級化が進行中であり、文科省は次の定数改善はその効果検証を踏まえて、という考えのようです。そのことから、この傾向は当分続くものと考えられます。
事務職員の定数改善についても、小指の先ほども期待を持てない、前向き姿勢さえ感じ取れない内容です。
(「チーム学校や学校DXの推進に向けた運営体制の強化」名目で主幹教諭、養護教諭、栄養教諭、事務職員で+100人)
一方で、教員業務支援員(旧・スクールサポートスタッフ)・学習指導員・部活動指導員では今年度予算の倍額要求。予算規模としては義務教育費国庫負担金とは比になりませんが、いわゆるスタッフ職の増員に注力する姿勢が見て取れます。
文科省概算要求に関する詳しい分析は、近々全学労連ニュースに掲載される予定です。ぜひご覧ください。
さてともあれ近年、「学校における働き方改革」とりわけ「教員の負担軽減」のために、教員業務支援員や部活動指導員をはじめ新たな職員が学校現場に導入されています。
ところで職員に係る総務事務を担う学校事務職員は、職員数が増えればその分だけその仕事が増えることになります。
増えた職員に係る給与・人事・社会保険等の総務事務には、当然学校事務職員がこれにあたります。
それが仕事ですから、もちろんそれは良いのです。
しかし、その事実が事実として顧みられているでしょうか。
新たに配置された職員の方々は、それぞれの役割により教員の負担軽減に資する存在ですが、一方で教員の業務を具体的に引き受けること“のみ”が、教員の負担軽減に資するということなのでしょうか。
教員の負担軽減のための職員に関する関係事務を行いその条件を確保することは、それ自体として教員の負担軽減を実現する取り組みなのではないでしょうか。
「事務職員も教員の負担軽減のため、担当職域の拡大を」。
それは学校事務職員の職務に対する無理解という、長く深い学校現場の病理を温存したまま、学校事務職員に過大な負荷をかける論理に他ならないと考えます。