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神に呼ばれた話(その2)

スピリチュアルな話題を探っていくと信心深いというか、目に見えない存在に畏敬を抱く方が多く見受けられる。それは自らの努力では如何ともし難い不可抗力の事故や災害や悲劇に遭遇し、天を仰ぐ虚しさ。または思わぬ幸運に恵まれて苦境を脱した時のえも言われぬ達成感。神を呪い神を敬う。結局のところあなたの想像以上の出来事を目にした時に、あなたは神を感じるのだろう。つまり神とは自ら制御できない自然現象そのものであり、あなたが成り行きを自然に委ねた時に、あなたも自然と一体化して神の様相足り得るといえよう。

さて、今回の導きはSNS上でのやり取りが発端であった。最近の引き寄せは私のポストに対するリプライやレスポンスが目立ってくることで特定のフォロワーさんとの繋がりを感じるのだが、こんな時はつまり、神様がご縁を結ばせたがっているのだと解釈している。よりロマンティック表現をするとしたら「氣がある」ということなのだろう。好きの氣までは行かずとも興味があるからこそ反応して関心を伝える。あるスピリチュアル懇親会で得た情報によると、神様はご縁繋ぎしかできないのだそうから、引き寄せられてくるご縁には積極的に触れてみた方が、あなたの人生が好転するのかもしれない。

さて、今回氣になって実際にお会いしようと決意したのは副業でヒーリングや占いをなさっていらっしゃるいる方で、大胆にも会いに行ってよいですか?とダイレクトメールを送った。すると訪問を告知しているところとは別の場所を提案されたのだが、そこは以前から興味があり、行ってみたかったスピリチュアルがテーマのカフェだったので二つ返事でお願いした。わたしの最近の事情では年末に決まっていた鹿児島の自宅への引越し準備が滞り、プライベートに割く時間はほとんどなかったのだが、東京で最後に知り合う方に相応しいと「神様」が判断したのだ。乗っからない手はない。

新所沢駅から徒歩20分


年末の土曜日に有楽町のかごしま物産館で職場へのお土産を購入し、御茶ノ水の書泉グランデで占い本を購入してから所沢へ移動。待ち合わせに指定したアウルロッジというカフェの玄関の前で、反対側から訪れたそのお相手にバッタリと出くわした。そこまでドラマティックに演出しなくても良さそうだが、神様はきっとこういう少女マンガみたいなアクシデントが好きなんだろうなと思う。俯瞰して観察すると、まるで映画のワンシーンのようなロマンティックな光景。これはまさかのラブな展開なのか?そんな期待も抱かせつつ不思議な空間に誘われた。10人も入れないほどのこぢんまりした空間には、近所の常連さんに加えて山口県や岡山県から来店した熱烈なファンがいらっしゃって、パワースポット並みの人気があるのだと知る。

名物メニューの本格的なカレーライス


とりあえず評判のカレーを頂いてヒーリングを施して頂いたのだが、今回の目的はヒーリングを受ける為ではなかったためあまり内容についてこだわっておらず、お任せでお願いすることにした。診断して貰った結果、ヒーラーとしての才能があるものの氣の流れが滞って循環していない状態だったそうなので、滞留しているチャクラをほぐして頂いた。言われてみると確かに自覚症状があり、下には行く(グラウンディング)けど上には繋がりにくいという違和感を感じていた。それはつまり地に足をつけようと躍起になるあまり視野が狭くなっていたのかもしれない。わたしを守護してくださる存在がもっとわたしを見てよって拗ねてると聞いて、それは申し訳なかったなぁとお詫びした。神様も構って貰えないと拗ねるのだそう。かわいいなぁ。ちなみに氣を増幅したり制御するグッズとしてオルゴナイトとマジックワンドをお迎えした。魔法使いの仲間入りである。

あまねさん製作のオルゴナイトと
店主なおさんから勧められたワンド
ヒロさん特製季節のパフェ美味すぎる


ヒーリング後の感想戦で神社参拝の話になったのだが、三峯神社や田無神社など以前訪問した神社について盛り上がる流れで「御嶽神社には行かれましたか?」と尋ねられた。青梅のですか?と問い返すと奥多摩の御岳山にある神社のことだそう。実は御岳絡みのエピソードがあり、ある縁の深いモデルさんの撮影を予約してJR青梅線御嶽駅で待ち合わせする予定を、何を勘違いしたか青梅駅だと思い込み、撮影時刻を30分も遅刻して慌てた経緯がある。その事を懐かしく思い出しつつ、魔除けの神様だから行ったほうが良いとお勧めされたので行きたいなぁと思っていたのだ。

実は東京への単身赴任も仕事上の大きな縁を頼った結果であったが、大きな念に振り回されて苦労が絶えなかった。今回東京を離れる決断をした事は10年来のクライアントとお別れするが故の決意であり、その流れがスムーズに展開されるよう助力を仰いだのかもしれない。御嶽神社に行きたいと思いつつも引越しの片付けや整理が捗らず、在京最終日の前夜に実は「やっぱり参拝を諦めよう」と決意した。涙を飲んで決断したものの、ふだん極めて寝付きの良いわたしが感情のたかぶりでなかなか寝付けず、この時間に起きないと訪問は厳しいと設定したスマートフォンのアラームを泣く泣く切ったのだが、程なく楽しい夢を見るようになり、夢うつつのまま時計を確認すると、いつのまにか出発予定時刻から30分過ぎていた。


つまりいつの間にか6時間も寝入ってしまったのだが、失意の昨夜とは打って変わって氣力がみなぎり「さぁ行こうか!」という氣持ちになれたのである。もし片付けが終わらなかったとしても何とかなる!現実的に解釈すると無謀とも思える挑戦だったが、今朝のわたしはワクワクが抑えられず、簡単な食事を準備してから車で1時間ほどのロープウェイ滝本駅駐車場へ向かった。高尾山と遜色ない立派なロープウェイに揺られて御岳山駅へ到着すると、山頂にも関わらず宿場町を中心とした集落があって驚かされる。ときおり軽トラやバイクが走る参道を軽やかに歩くと、豪奢な朱塗りの門と本殿にたどり着いた。土曜日にも関わらず人影はまばらで、参拝客のほとんどが登山服。ここは1日掛けて来るべき場所だったなぁと多少後悔したが、眼下に関東平野を見渡して、4年間の東京生活を振り返るにはこれ以上ない理想的な場所だと感じた。


感謝の意味で新紙幣のピン札千円をお供えし、瞑想を導入しつつ1礼2拍。「東京で素敵な体験をさせて頂きました。今回繋がった全ての皆様、お友達や家族、愛しい人たちが幸せを迎えられるよう見守りください。わたしも微力を尽くしますので今後ともお力添えをよろしくお願い申し上げます。」こう唱えた瞬間、両の眼から涙がブワッと溢れた。胸の奥が熱くなって、わたしが心の奥ではこんな期待を抱いていたのだと気づかされて驚いたのだが、明確に神様と繋がった確信を覚えた。本当は常に感じていなければならない温もりや優しさ。忙しさにかまけて確かに冷徹なシゴできマシーンに憑依されていたかもしれない。退職し全てのしがらみを断ち切って覚えた感情は、それでもみんなが大好きで、笑顔が見たいという煩悩だった。


澄み切った氣持ちを抱きつつ本殿の裏手に回り、テーマパークさながらに祀られていた様々な神様と交流する。わたしは装飾の龍神様や狛犬様を観察するのが好きなので、一つ一つのお社の由来を確認しながら歩みを進めていくと、1番奥に大口真神社という古いお社があった。今回呼んでくださった神様はあなたか!とピンと来るような感覚を得たのだが、日本武尊命を案内した狼の氏神様はまんま昨年訪れた秩父の三峯神社の由来と重なり、鹿児島の大口市で撮影した異世界体験や、今年何度か感じた「犬」との繋がり。遠い昔に亡くなってしまった愛犬の導きもあったのだろう。無垢というキーワードを聞いたのもアウルロッジだった。ヒトはもっと純粋に、犬のような愛情をヒトに向けたら良いのだと思う。煩わしいと思うヒトもいるかもしれないが、きっと愛情を感じて応えてくれるヒトもいるのだろう。


守護の天照大神を祀るお社もあって種明かしや答え合わせ感を覚えつつ、ちょうど本殿の真上に瞬いた太陽光を浴びて天地と繋がった。わたし個人ですらこんなにも愛され護られているのだから、全ての存在も在るべくして有り、今ここに在ることこそ全てだと理解するだけで、誰でもその全能の力を思い出せる。その力を経済が偏ることを目的として封印してきたのがいわゆる現代社会の構造なのだが、生業は適当で良いのだと改めて実感した。もっと大事なことがある。自然と戯れることだと。わたしの使命とは、目に見えない存在を感じる能力を多くの方に思い出させることなのかもしれないなと漠然と感じた。それをヤレと、狼の御祭神様から檄を賜った。


犬をお祀りする神社ということで愛犬を連れた参拝客が多かったのだが、帰り際に先ほどお会いした御祭神様そっくりのハスキー犬とすれ違ったり、駐車場で犬模様の雲を撮影したり、帰宅後は大家さんが飼っている大きな犬が散歩帰りにスタスタとわたしに近づいて、尻尾を振りながらハッキリとわたしを見上げた。まるで「行ってきて良かったでしょ?」と得意気にじゃれるような愛情を感じた。もちろん全てが想像の域を出ないのだが、結局は感覚や解釈の話で、「信じる者は救われる」ってのはあながち間違いではないのだろう。時には思いや意図を手放して、氣の向くまま足の向くままに彷徨ってみるのも良いかもしれない。きっとそれが、あなたを夢の世界へ誘う最短経路なのだから。

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TREK
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