メタバース入門Ⅳ(代表的なメタバースサービスと始め方(1) ソーシャルVRサービス)
【メタバース入門Ⅲ】に続き、「6.代表的なメタバースサービスと始め方」から解説します。
6.代表的なメタバースサービスと始め方
2021年にFacebookがMetaに社名変更し、メタバース企業に移行すると宣言して以来、世界的に「メタバース」がバズワードとして盛り上がり、ビジネス界における注目も集まっています。
では、メタバースはすでに実現しているのでしょうか、それともまだ実現していないのでしょうか。
それは、どれくらいのレベルのものを「メタバース」と呼ぶかによって決まります。
メタバースであるかどうかの判断において重要なのは、
どれくらい現実と同じように感じられるのかという没入感、
どれくらい多くの人達と交流できるのかというユーザー規模と、
どれくらい色々なことが体験できるのかという自由度です。
ここでは、将来的にメタバースとなっていく可能性がある代表的なサービスとその始め方などについて解説します。
現在、すでに提供が始まっているサービスとしては、次の4種類があります。
(1) ソーシャルVRサービス
(2) オンライン3Dゲーム
(3) バーチャル会議室
(4) ブロックチェーンベースのメタバースサービス
(1) ソーシャルVRサービス
ソーシャルVRサービスとは、3次元コンピューターグラフィックスで描かれた仮想空間上で、アバター(ユーザーの分身として画面上に登場するキャラクター)を介してコミュニケーションを取ることができるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)です。
代表的なソーシャルVRサービスとしては、米国発で世界最大規模のユーザーが参加するVRChat、同じく米国発でパーティゲームが充実し、プレイステーションVRにも対応しているRec Room、チェコのSolirax社が運営し、仮想空間上で共同してワールドを構築できるNeos VRなどがあります。
また、国産では、スマートフォンからもアクセスできるclusterやドワンゴ関連会社が運営し、配信者向け機能が充実したVirtual Castなどがあります。
① cluster
おそらく、日本人が最も手軽にメタバースを体験できるのが国産ソーシャルVRサービスのclusterです。国産なので、ほとんどのユーザーが日本人で、表示も基本的に日本語です。
VRヘッドセットやパソコンからアクセスできますが、スマートフォンからでも簡単にアクセスできるので、最初に試してみるにはお勧めです。
clusterでは、ユーザーが3Dアバターを選んでバーチャル空間に入り、公開されているワールドを歩き回ったり、ユーザー同士でチャットや音声で会話したりすることができます。
また、バーチャルイベントや実在のアーティストが出演するバーチャル音楽ライブも多数開催されていて、参加することができます。
3Dアバターは、5種類の公式アバターから選べるようになっており、アバターメイカーでメニューを選んで簡単にオリジナルのアバターを作成することもできます。
また、個人ユーザーや企業が作成したワールドが多数用意されており、自由に遊びに行くことができます。
バーチャル渋谷のような実在の街を再現した大規模なワールドからバーのような狭い空間まで様々な大きさのワールドがそろっており、お化け屋敷のようなワールドやゲームで遊ぶことができるワールドなどもあります。
筆者のお勧めは、「妖精神社の村」で、花火で遊んだり、ほうきに跨って空を飛んだり、気球に乗って遊覧飛行をしたりして楽しむことができます。
また、一番奥の神社本殿の鈴を鳴らすと不思議なことが起こりますので、是非試してみてください。
clusterに参加する方法はとても簡単です。
スマートフォンの場合はApp StoreやGoogle Playからclusterのアプリをダウンロードして起動し、ツイッターやグーグルアカウントと連携して登録するだけです。その後、アバターを選択して、好きなワールドへ行くことができます。
パソコンの場合も、公式サイトからアプリをダウンロードしてインストールし、アカウント登録することで参加できます。
本当に簡単なので、メタバースがどんなものか関心のある方は是非試してみてください。
② VRChat
VRChatは、米国発の世界最大級のソーシャルVRサービスで、世界中からユーザーが集まっており、最大同時接続ユーザー数は4万人以上を記録しています。
基本表示は英語で、日本語未対応ですが、日本人有志が作成した日本人向けのワールドも多数存在しており、日本人ユーザーも沢山います。
パソコン及びVRヘッドセットからアクセスできますが、スマートフォンには対応していません。
clusterと同じように、お好みの3Dアバターを選んで様々なワールドを歩き回ったり、ユーザー同士でチャットや音声で会話したりすることができます。
外国人のユーザーが多く、日本人向けのワールドに入ったのに、いきなり中国語や英語が聞こえてきて驚きました。
また、自作したアバターを読み込んだり、新たなワールドを創作したりする自由度が高く、clusterよりワールドの数がかなり多いです。
このように様々な種類・スタイルのアバターやワールドが共存するカオスな空間というのがVRChatの特徴です。
VRChat内では、様々なイベントが開催されており、中でも日本企業が主催する3Dアバターや3Dモデルの展示即売会「バーチャルマーケット」は、世界最大のVRイベントとしてギネス世界記録に認定されています。
2018年8月以降、計7回開催されており、2021年12月に開催された「バーチャルマーケット2021」では、100万人を超える来場者を記録し、80社以上の企業や有名アーティストが協賛出展し、約600ブースの一般出展者が参加しました。
また、2021年11月には、日産自動車が銀座に実在する展示場を再現したバーチャルギャラリーの「NISSAN CROSSING」をVRChat上で公開し、仮想空間上でのツアーイベントも開催するなど企業からの注目も高まっています。
それでは早速、VRChatに参加してみましょう。clusterの参加方法よりは少し複雑になります。
VRChatアプリはソフトウェア配信システムのSteamからダウンロードすることになるため、
1.VRChatアカウントの作成
2.Steamアカウトの作成
3.Steamアプリのインストール
4.VRChatアプリのインストール
の順に進めていきます。
詳細は、「VRChat初心者向けガイド」の「VRChatの始め方」をご覧ください。
最初にVRChatアプリを起動するとホームワールドでチュートリアルが始まります。ここで色々な操作を試してみましょう。仮想空間上でペンを掴んで空中に文字や絵を描くことができるのも面白いです。
次は、是非[JP]TUTORIAL WORLDに行きましょう。このワールドでは、VRChatの操作方法が壁に日本語で書かれているため、歩きながら一通りの操作方法を学ぶことができます。
また、日本人ユーザーが沢山訪問していますので、日本語で会話することもできるでしょう。その後は、お好みのワールドに飛んでVRChatを楽しんでください。
筆者がいくつかのワールドを回った中で面白かったものを一つ紹介します。「学校の怪談~GHOST STORIES~」という夜の校舎を探索するホラーゲーム仕立てのワールドで、30分程度でクリアできますが、結構怖くて楽しめます。もし、興味があれば、VRChat内でワールド名を検索して訪問してみてください。
〇全体構成
【メタバース入門Ⅰ】
1. メタバースとは何か
2. メタバースを支える技術
3. メタバースの分類
【メタバース入門Ⅱ】
4. メタバースの歴史
【メタバース入門Ⅲ】
5.メタバース実現に向けた企業の取組
【メタバース入門Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ】
6. 代表的なメタバースサービスと始め方
【メタバース入門Ⅷ】
7. メタバースの課題と展望
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