オンライン画像生成AIのSeaArt AIの使い方
今回は、オンラインで簡単に様々な画像生成AIモデルを無料で使用できるSeaArt AIについて紹介します。
SeaArt AIは日本語入力に対応しており、基本的な画像生成以外にも、動画生成、フェイススワップ、背景変更など多彩な機能を提供しています。
1.SeaArt AIの概要
SeaArt AIはシンガポールのSTAR CLUSTER PTE. LTD.という会社が運営するオンライン画像生成AIサービスで、昨年8月より日本でもサービスを展開しています。
(1) SeaArt AIの特徴
無料で1日最大150枚まで画像生成
日本語入力に対応
多数のモデルを使用可能
基本的な画像生成以外にも多彩な機能を提供
SeaArt AIでは、オリジナルモデルのSeaArt Infinity、最新モデルのFLUX.1やStable Diffusion 3.5のほか、画像生成AIプラットフォームのCivitaiなどに登録されている多数の画像生成AIモデルの使用が可能です。SeaArt AIで使用できるモデルやスタイルの数は30万以上だそうです。
(2) SeaArt AIの料金とサービス
SeaArt AIは無料でも使えますが、生成数の上限がアップし、様々な追加機能を使用できる有料プランが用意されています。
注:無限創作は、生成速度に制限がかかりますが、追加料金なしで画像を無制限に生成できるサービスです。
(3) スタミナ
SeaArt AIの画像生成能力はスタミナという数値で表され、例えば無料プランの場合は1日150、初級プランの場合は1日300のスタミナが提供されます。スタミナの消費量は使用するサービスの種類によって異なり、高度なサービスを利用するほど消費量が大きくなります。
例えば、一般のモデルを使用してテキストから画像生成すると1枚で2のスタミナを消費しますが、高画質なSDXLやFLUXベースのモデルを使用すると、1枚で6のスタミナを消費します。
なお、従来モードにして、画像モードで「通常」を選ぶと、最も経済的で、1枚で1のスタミナ消費で済みます。
予想消費数は、創作画面の入力欄の右側に表示されます。
(4) SeaArt AIの機能
画像生成に関わる主な機能としては、以下のようなものがあります。
Img2Img(画像から新たな画像を生成)
コントロールネット(元画像と同じポーズの画像を生成、輪郭を維持して新しい画像を生成など)
動画作成(画像から動画を生成)
AI補完(画像の背景を拡張(アウトペインティング))
HD修復(ノイズなどを取り除き画像の品質を改善)
人物修復(人物画像の顔や手、身体などを補正)
画像キーワード摘出(画像を分析してプロンプト(キーワード)を抽出)
プレビュー(コントロールネットで利用できる輪郭線などを抽出)
プロンプト提示(簡単操作でプロンプトにキーワードを追加)
また、上記以外にもクイックAIとして、非常に多数の機能が用意されています。以下はその一部です。
アップスケーラー(画像の解像度を上げて拡大)、背景除去(被写体を残して背景を透明化)、AIフィルター(様々な画像スタイルに変換)、フェイススワップ(別の顔に入れ替え)、AIメイクアップ(顔にメイクをしたように修正)、ダンス動画作成(画像からダンス動画を作成)などの多彩な機能が揃っています。
また、音声生成、モデルトレーニング、ComfyUIのワークフローの作成・編集などの機能も提供されています。
2.SeaArt AIの始め方
① 最初に以下のバナーから公式サイトにアクセスしてください。
すると、以下のようなトップページが表示されます。
② 次にこのページの右上のログインボタンをクリックしてください。
③ 以下のようなポップアップ画面が表示されますので、 Google、Discord、Facebook、携帯番号、メールの中から一つを選んでアカウント登録してください。
これでSeaArt AIの画像生成サービスを利用できるようになりました。
3.基本的な使い方
① トップページ上部の創作アイコンをクリックします。
すると、以下の創作画面が表示されます。
※ここでは新しいUIを使用しています。従来モードを使用したい場合は、上の画面右上のスイッチで切り替えてください。
② 一番上の入力欄にプロンプトを入力して創作ボタンをクリックし、しばらく待つと、以下のように画像が表示されます。
画像をクリックすると以下のように拡大されます。また、右サイドメニューのダウンロードをクリックして、自分のパソコンにPNGファイル形式で保存することもできます。
他にも、この画面で、画像から動画作成したり、アップスケール(高解像度化)したり、バリエーション(似た画像)を生成したりすることができます。
4.モデルの選択
ここで言うモデルとは、特定の画像スタイルやテーマに特化して学習した事前学習済みモデルのことであり、リアルな人物からアニメ風キャラクターまで、様々なスタイルの画像を生成することができます。
創作画面の左のサイドメニューの「アジア系写実」と書かれているモデルの欄をクリックすると、モデル選択のポップアップ画面が開きます。
ポップアップ画面のプリセットモデルには、14種類のモデルが掲載されています。
この中でお勧めは、アジア系写実(yayoi_mix)とシーアートインフィニティ(SeaArt Infinity)と2Dアニメ(Animagine XL V3.1)です。バナーをクリックすると、そのモデルがセットされます。
また、最近、Stability AIが公開した最新モデルのStable Diffusion 3.5も使用することができます。
また、コミュニティモデルに切り換えると、非常に沢山のモデルが見つかります。画像生成AIプラットフォームのCivitaiに登録されているモデルも多数掲載されており、検索して探すことができます。西洋系の実写画像やファンタジー風の画像に強いDreamShaper XLやアニメ画像に強いblue_pencil-XLなどもお勧めです。
5.画像生成のための基本設定
(1) モデルの選択
初期設定では、アジア系写実(yayoi_mix)のモデルがセットされています。yayoi_mixは日本人の実写画像に特化した人気のモデルです。
上記4のようにモデル欄をクリックして、他のモデルに変更できますが、ここではyayoi_mixのままにして、左サイドメニューの以下の設定を順番に見ていきます。
(2) LoRAなどの追加
この項目は少し複雑な機能なので、画像生成に慣れていない人は読み飛ばしてください。
左サイドメニューの「追加」の右側の⊕をクリックすると、以下のようなポップアップ画面が現れます。
この画面で、LoRAやEmbeddingを選択して追加することができ、バナーをクリックしてセットします。複数セットすることも可能です。
① LoRAの追加
LoRA(Low-Rank Adaptation)は、画像生成AIモデルを少ないデータと計算リソースで微調整する技術です。ユーザーはLoRAを使用して、簡単に特定のスタイルや特徴をモデルに追加できます。
日本人画像に最適化されたお勧めのLoRAとしては、japanese girl cuteやJapaneseDollLikenessなどがあります。今回はJapaneseDollLikeness v1.5を追加しました。
LoRAの効果はサイドメニューのStrengthの調整バーで調整できます。あまり強くすると、派手で水商売ぽくなるので、弱め(1.0以下)にしています。
② Embeddingの追加
Embeddingは、トリガーワードを入力すると、一連のプロンプトやネガティブプロンプトとして働く仕組みで、これを使用して長いプロンプトの入力を省略することができます。
ネガティブエンベディングは、人体構造の崩れや、手や指の奇形を防止する効果があり、代表的なものとしては、EasyNegativeやDeep Negativeなどがあります。今回はDeep Negative V1.75Tを追加しました。
ネガティブエンベディングを追加する場合は、ネガティブプロンプトにトリガーワードを入力する必要があるため、高級設定のネガティブプロンプトのスイッチをオンにします。
次に、サイドメニューの追加したエンペディングの名称の下に記載されているトリガーワード(今回はng_deepnegative_v1_75t)を入力欄にコピペします。
(3) 生成モード
有料プランの場合は、高精細な画像を生成できる「品質」も選択できます。その場合は、スタミナの消費量が3倍、つまり1枚当たり6になります。
(4) 画像設定
画像のサイズ(横:縦)を設定できます。初期設定は2:3です。カスタムを選ぶと、横と縦のピクセル数を128から1024の間で自由に設定することができます。今回は1:1で設定しました。
(5) 画像数
一度に生成する画像の枚数を1~4枚の間で設定できます。今回は2枚で設定しています。
(6) プライベートモード
無料プランの場合は、生成した画像やプロンプトが公開されますが、有料プランの場合は、このスイッチをオンにすると、非公開にすることができます。
(7) 実際の画像生成の例
ここまで設定したところで実際に画像を生成してみると、以下のようになりました。
右側の画像をクリックして拡大しました。ネガティブエンベディングの効果があったのか、手や指が崩れていません。
6.高度な設定
「高級設定」の右の▼をクリックすると、さらに細かい設定が行えます。
(1) 無料創作
有料プランの場合のみ選択できます。生成速度に制限がかかりますが、追加料金なしで画像を無制限に生成できるサービスです。
(2) サンプリング法
画像生成に使用するアルゴリズムで、画像の品質や生成速度に影響を与えます。高品質な画像生成が可能なDPM++シリーズなどを推奨します。初期設定はDPM++ 2M Karrasです。
(3) サンプリングステップ
拡散モデルにおけるノイズ除去の反復回数で、ステップ数を増やせば高品質な画像が生成できますが、生成速度が遅くなります。初期設定は20です。
(4) CFGスケール
入力したプロンプトに対する忠実度で、高い数値にすると忠実度が上がり、低くすると多様性が増します。お勧めの値は3から15で、初期設定は7.0です。
(5) VAE、Clip Skip、エンジン
① VAE
追加することにより、画像の鮮明さや色彩を改善したり、スタイルを調整したりすることができます。初期設定はNoneで、必要に応じて設定してくれるautomaticもあります。
② Clip Skip
Clipモデルの特定の層をスキップする設定で、高い数値にすると、プロンプトの影響が弱まり、多様性が生まれます。Clip Skipの値の初期設定は1で、1又は2とすることを推奨します。
③エンジン
SeaArtモードで画像生成のプロセスを調整し、SeaArt 2.0やSeaArt 2.1を選択すると、デフォルトよりも高品質な画像を生成できます。SeaArt 2.1はSeaArt 2.0よりもプロンプトの理解力が向上しています。
(6) 高級修復
① HD修復
HD修復は、画像品質の向上と画像サイズの拡大ができる機能で、4種類の修復ツールから選択できます。HD修復を利用すると、スタミナの消費量が3倍になります。
②顔面修復
顔面修復をオンにすると、生成画像の人物の顔面を修復することができます。
③人物修復
人物修復は、顔、手又は体を指定して、生成画像の人物の指定部分を補正する機能です。スタミナの消費量が2倍になります。
(7) ネガティブプロンプト
ネガティブプロンプトは、生成する画像から排除したい要素や特徴を指定するためのプロンプトです。スイッチをオンにすると、入力欄にネガティブプロンプトを記入できるようになります。
(8) 固定シード
シード値はランダムなデータ生成における初期値のことです。同一のシード値を使用すると、同じ条件下で同じ結果を再現できます。初期設定では、シード値が毎回ランダムに変わるようになっており、スイッチをオンにすると、シード値を固定することができます。
7.様々なモデルの使用例
(1) yayoi_mix(アジア系写実)
1枚当たりスタミナ2を消費します。
yayoi_mixは日本人の実写画像に特化した人気のモデルです。
(2) SeaArt Infinity(シーアートインフィニティ)
1枚当たりスタミナ6を消費します。
SeaArt InfinityはSeaArtのオリジナルモデルですが、FLUX.1をベースにしているようです。プロンプト理解の性能が高く、高画質で、英語の文字の描画も得意です。
SeaArt Infinityに設定すると、左メニューバーは以下のようになります。
プロンプトを自動で校正するプロンプトマジックという機能が現れ、高級設定は固定シードだけになります。
(3) Animagine XL V3.1(2Dアニメ)
1枚当たりスタミナ6を消費します。
アニメスタイルの画像に特化した人気のモデルです。
Animagine XL V3.1に設定すると、左メニューバーにアニメスタイルの画像の品質を向上させる「アニメ強化」というスイッチが現れます。このスイッチをオンにすると、1枚当たりスタミナ9を消費します。
(4) DreamShaper XL
1枚当たりスタミナ6を消費します。
西洋系の実写画像やファンタジー風の画像に強いモデルです。
(5) blue_pencil-XL
1枚当たりスタミナ6を消費します。
アニメ画像に強いモデルです。
(6) Stable Diffusion 3.5
1枚当たりスタミナ9を消費します。
プロンプト理解の性能が高く、高画質で、英語の文字の描画も得意です。
fp8モデルのせいか、少し画像がぼやけています。
8.FLUXモデルの使用
(1) クイックAIツールからの使用
SeaArt AIからFLUXモデルを使用する方法は2種類あります。
1つは、トップページの左上のFLUXと書かれているバナーをクリックする方法です。これで、クイックAIツールの「FLUX テキストから画像へ」が起動して、以下のような画面に移ります。
ここで、「プロンプトの単語を入力してください」と書かれているところの下の入力欄にプロンプトを入力し、青い創作ボタンをクリックすると、FLUXで画像を生成することができます。
(2) 創作画面からの使用
創作画面の左サイドメニューのモデルの欄をクリックして、モデル選択のポップアップ画面を表示します。
ここで、コミュニティモデルのタブからFLUXモデルのバナー(ティーカップの中の帆船の画像)を探してクリックします。これで、FLUX.1 Devモデルがセットされました。
出力結果は以下のとおりです。
9.FLUXベースのおすすめモデル
(1) モデルの選択
SeaArt AIでは、FLUXベースのファインチューニングモデルやLoRAも使用することができます。
まず、左サイドメニューのモデル欄をクリックして、コミュニティモデルの選択画面を表示します。
次に、FLUXのタブを選択し、フィルターのドロップダウンリストを開いて、Flux.1 Dにチェックします。
すると、上のように沢山のFLUX.1 Devベースのファインチューニングモデルが表示され、好みのモデルを選択して使用することができます。
(2) 実写系のモデル
アジア系女性の実写画像にも強いFLUXモデルとしてiNiverse Mix XLをお勧めします。
1枚当たりスタミナ8を消費します。
このモデルはアジア系のみではなく、美女の実写画像全般に強いモデルです。
次に、左サイドメニューの追加ボタンをクリックして、日本人女性の実写画像に特化したFLUX用LoRAのFlux Realistic Japanese beautyを追加しました。
画像全体が少しくっきりしたように感じますが、最初から日本人ぽい画像だったので、それほど大きくは変わりませんでした。
(3) アニメ系のモデル
アニメイラストに強いモデルとして、Raemu FluxとFluximateを紹介します。
① Raemu Flux
1枚当たりスタミナ8を消費します。
次に、アニメイラストに特化したFLUX用LoRAのRaki LoRA 05 FLUXを追加しました。
左側はLoRAの効果が強すぎたせいで、アニメイラストらしくなりましたが、花畑が消えてしまいました。右側は、LoRAの強さを1.0→0.6に弱め、「花畑」を強調してみました。
② Fluximate
1枚当たりスタミナ8を消費します。
(4) 新しいモデルの導入
モデルの選択画面に掲載されていないモデルでも、自分でモデルをアップロードして使用することができます。
最初に、Civitaiなどのモデル掲載サイトから使用したいモデルのファイルをダウンロードして、自分のパソコンに保存しておきます。
次に、SeaArt AIのトップページ右上の創作の青いドロップダウンリストを開いて、モデルアップロードをクリックします。
すると、以下のような画面が表示されますので、後は画面の指示に従って必要事項を入力し、モデルのファイルをアップロードしてください。
アップロードできたら、自分のアイコンをクリックして、マイページからモデルを選択して使用することができます。
今回は、アニメイラストに特化したモデルとして人気の高いblue_pencil-flux1を導入しました。
導入したモデル(blue_pencil-flux1)の使用例
最後に
SeaArt AIの最大のメリットは、ローカルにダウンロードしたり、Google Colabでコードを実行したりしなくても、すぐに様々なモデルを使用できることです。
SeaArt AIには、まだまだここで紹介していない機能が数多くあります。筆者もまだ使いきれていないので、それらの機能を利用したら、またここで紹介していきたいと思います。
今回の記事は、SeaArtとのコラボレーションで作成しました。以下のバナーから公式サイトにアクセスし、無料登録していただければ、登録した方に抽選でVIPサービスやクレジットをプレゼントします。ご関心のある方は、無料ですので、是非登録してみてください。
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