米雇用統計11月、予想上回る回復も失業率悪化で波乱含み
概要
2024年12月6日に米労働省が発表した11月の雇用統計によると、以下の重要なポイントが示されました。
就業者数の増加
非農業部門の就業者数は22万7千人増となり、市場予想(20万人程度)を上回る伸び。
ハリケーン被害による10月の落ち込みから大きく回復。
9月と10月の就業者数が上方修正され、10月は1万2千人から3万6千人へ改訂。
失業率の悪化
失業率は前月の4.0%から4.2%に上昇。
セクター別の動き
教育・医療部門が7万9千人増、接客・レジャーが5万3千人増と堅調。
小売業は2万8千人減少。
平均時給の上昇
民間部門の就業者平均時給は前年比4.0%増で市場予想を上回った。
金融政策への影響
FRBが12月のFOMCで0.25%の追加利下げを決定するとの見方が多い。
ポイント解説
雇用の回復と労働市場の堅調さ
ハリケーンの影響を受けた10月からの回復が顕著で、米国経済の底堅さを示唆。教育・医療や接客・レジャーといった内需主導型セクターの雇用増加が景気の回復を後押し。失業率の上昇の背景
失業率の上昇は、労働参加率の増加や一時的な要因によるものと見られる。この点で、雇用市場全体の健康状態が完全に悪化しているわけではない。金融政策との関連性
平均時給の増加と雇用の回復は、FRBの利下げ判断に影響を与える可能性がある。物価安定を目的とするFRBが、雇用の回復と失業率悪化をどうバランスさせるかが鍵。
今後の為替・株価への影響
為替市場
労働市場の強さがドルを下支えする可能性があるが、失業率の悪化とFRBの追加利下げ観測はドル安圧力を高める要因。
円高方向に動く可能性もあり、日本市場において輸出企業の株価には逆風。
株式市場
米国市場では、利下げ観測が進むことで金利敏感なテクノロジー株などが好感される可能性。
一方で、失業率の上昇や小売業の弱さが消費者信頼感を揺るがすリスクもあり、指数全体では上昇の勢いが限定的となる可能性。
日本市場への影響
米国株の動向と為替の影響を受けやすく、特に輸出関連株が為替の変動に左右される。
一方で、金利低下の可能性が高まる中で内需型株が相対的に安定したパフォーマンスを見せる可能性。
総合評価
米雇用市場は回復基調を維持しており、景気後退の懸念が緩和される一方、失業率の悪化やFRBの利下げ観測が市場にとって新たな変動要因となる。
投資家はFRBの動向や、12月のFOMC後に発表される声明を注視する必要がある。