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日本株の分割が加速:個人投資家を呼び込む動きと高い投資ハードルの現状

概要:

2024年1月から8月にかけて、日本の企業による株式分割が相次いでおり、前年同期比で6割増加しました。これは個人投資家を呼び込むため、株価をより購入しやすい水準に引き下げるための施策です。分割によって株価の流動性が向上し、結果的に株価が上がるという経験則もあるとされています。しかし、日本株の最低投資額は依然として高く、特に米国と比較すると16倍も高いため、さらなる改善が求められています。

ポイント:

  1. 株式分割の増加: 2024年の1月から8月までに168社が株式分割を発表しており、これは前年同期比で6割増。また、過去10年間で同期間としては最高の発表数。

    • 株式分割の目的: 株価を引き下げることで個人投資家が参入しやすくなり、投資家層の拡大や株式の流動性向上を図る。

  2. 米国との比較: 日本株の最低投資額は約28万9000円で、米国のS&P500銘柄(約1万8000円)や英国のFTSE350(約1000円)に比べて高い。売買単位の違い(日本は100株単位、米国は1株単位)も、最低投資額が高い要因。

    • 株式分割が進む米国: 米国でも株式分割は進行中で、2024年にはS&P500銘柄で分割を行った企業が前年を上回っている。

  3. 個人投資家の増加: 分割によって個人投資家の取引比率が増加し、例えばアマゾン・ドット・コムは1株を20株に分割した結果、個人投資家の取引比率が14%から21%に増加。

    • 管理コストの違い: 米国では株主管理のための電子化が進んでおり、日本よりも管理コストが低く抑えられている点も、日本企業にとっての課題。

  4. NISAの影響と課題: 新NISA(少額投資非課税制度)の導入により、日本株や米国株への投資が促進されているが、最低投資額が高いために、若年層には日本株への投資が難しい状況。特に、配当利回りが高いJT株でも最低40万円強が必要となる。

  5. 今後の展望: 東証は最低投資額の引き下げに向けた施策を検討しており、個人投資家の資産形成を後押しする環境整備を進める方針。また、制度改革を通じて日本市場に個人マネーを呼び込むことが重要な課題となっている。

結論:

日本の株式分割の増加は個人投資家を呼び込むための重要な施策であり、資産形成を促進するための取り組みとして注目されていますが、最低投資額の高さや米国株との競争など、さらなる改善が求められています。



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