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投資家の心理に迫る教訓

 本日は気分を変えて、「株式相場の格言」や「株式相場で使われる言葉」について、お話したいと思います。


株式相場の格言

格言、といいますと、人生の真実や機微を述べ、万人への戒めや教訓となるような簡潔に言い表した言葉のことですが、皆さんも「石の上にも三年」や「沈黙は金(きん)、雄弁は銀(ぎん)」など、耳にしたことがお有りかと思います。
 株式相場にも、遠く米相場の時代から言い伝えられてきたものなど、多くの「格言」や「用語」が存在します。
 本日は、これから株式投資を始めようかな、と考えている方に向けて、株式投資へ親しみを持って頂く糸口として、日本証券業協会の相場格言集に掲載されている格言と、掲載はされていませんが株式相場でよく使われる言葉の中から、いくつかご紹介したいと思います。

■遠くのものは避けよ■

 この言葉は、投資する会社の選定や投資判断に必要な情報を分析する際には、自分にとって身近なものを選ぶのが良いのではないか、との意味合いです。
 東京証券取引所に上場している会社数は、3,000社を超えています。
 この中から投資対象を選ぶのも大変ですし、わざわざ、なじみのない企業に目を向けるよりも、お仕事の関係とか、日常生活で愛用している商品を通じて、多少とも知識や親近感を持っている企業を選んだ方が、投資判断のヒントが身の回りにいっぱい転がっているものです。
 手に入れた情報についても“遠い”ところの情報では確かめることも難しいので、自分の不得手なもの・知らないもの・不確実なものは避けた方が良いのではないか、というものです。
 ちなみに同じような格言として、「虫の好かぬ株は買うな」というものもあり、感覚的にしっくりこないものには手を出さない方が無難なようですが、いかがですか?

■売るべし 買うべし 休むべし■

 これは、株式投資には、売りと買いだけではなく、休むこともまた、大切な要素であると説くものです。
 「売り買い休みの三筋道(さんすじみち)」とか「休むも相場」という言葉もあります。
 初めての株式投資でうまくいって「もっと出来るかも」と思ったり、逆に損をすれば「今度は取り返そう」と、常に売ったり買ったりしてしまうなど、「得意に感じる」気持ちや「焦り」の気持ちで投資をしてしまいがちです。
 しかし相場ではこういった気持ちを抑えて、損得に関係なく、一つの売買が終わったら一歩退(ひ)いて、市場の環境や相場の動向、そして社会情勢をゆっくり眺め回す余裕を持ち、次の機会に備えるのが良い、との意味合いです。
 他にも、生活や貯蓄に必要なお金で、無理なやりくりをしてまで株式投資することは避けるべきである、とする言葉には、「眠られぬ株は持つな」や「命金には手をつけるな」という言葉もあります。

■「掉尾の一振」(とうびのいっしん)■

 「とうびのいっしん」の「とうび」は「ちょうび」とも読みますが、
一説には、つかまえられた魚が力尽きる前に、尾びれを勢いよく「ひとふり」をする様(さま)から、最後に勢いが盛んになることの意味で使われるそうです。
 株式相場では、年内最後の株式取引日である大納会に向けて株価が上昇する傾向があり、「年末に起きる株高」の言葉として知られています。
 統計的にも12月は株価の上がりやすい月といわれていますし、実際12月になると、毎年「節税対策による株売り」という言葉が取り上げられるように、含み損となった株式を売却して、1年間の利益と相殺することで節税を図る目的の取引が増加し、この節税対策売りが終わると需給が好転し、掉尾(とうび)の一振が期待され、さらに年が明けると、今度はご祝儀相場が期待されます。

■「ご祝儀相場」■

 「ご祝儀相場」というと、おめでたい事へのご祝儀の一般的な金額を意味する言葉だと思われる方が多いと思います。
 株式市場では、年明けの取引開始の初日は「大発会(だいはっかい)」と言いますが、年明け最初の大発会では、新年の「お祝い」ムードが強く、毎年、新年の株式相場で、株価が高くなることを期待するのがお約束となっています。
 歴史的にみても、株価が上がる方向に向かうことが多くみられます。

最後に

 このように相場の格言や株式相場で使われる言葉がたくさんあります。
本日ご紹介する格言は以上ですが、もっと詳しく知りたい方は、冒頭お伝えした日本証券業協会の相場格言集というサイトをご覧ください。
 
 相場の格言は、先人が味わった教訓談等であって、実際のお取引や相場状況に必ずしも一致するとは限りません。
 しかしながら、実際の株式相場は、その時の需給関係や社会情勢等の相場環境に影響を受けて変動します。
 これは経済情勢や世界情勢、上場企業の経営判断などを投資家がどう判断するかによって、株式をいくらで買いたい売りたいの需要が発生し、逆にいくらなら売りたい買いたいという供給が応じることで価格が変動するのであって、相場状況に応じた投資家の行動心理も含まれます。
 したがって、相場の格言等の先人が味わった教訓談を通して、未来に予測される事象への、投資家の投資傾向を理解・把握することもまた、ご自身の投資判断の重要な材料になると考えます。

 また、皆さまも是非、日々お聞きになるニュースが、株式市場で投資家たちにどのように評価され、株式相場がどのように動いたのか、について意識を向けるだけでも結構ですので、ちょっとした頭の体操をしてみましょう。

ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。