椅子・ソファの選び方
椅子・ソファを選ぶ際、何を基準にするでしょうか。
デザイン?
座り心地?
寝心地?
店頭で椅子をチェックする際、お尻と背もたれを座面・背もたれにしっかりとつけてかしこまった姿勢をとるか、ソファの場合なら寝そべってみるか、などの方が多いと思います。あるいは店員さんにそう促されるかもしれません。
しかし、実のところ自宅でそういう姿勢で座る(寝る)のか、というところは疑問です。
例えばソファの上で寝姿勢で本を読むのは腕や首が疲れますし、肘をたてて正面のTVを観るといってもやはり腕が痺れてしまいます。
椅子に座って背もたれに背中をあずけて本を読んでも肘掛けがなければ肩に負担がかかります。
考えてみると、自宅での座り姿勢というのは自らが選択しているのではなく、環境(背もたれの角度・肘掛けの有無・TVとの角度・テーブルの高さ・座面の広さなどなど)に無意識に従っているだけなのかもしれません。
そうではなくて、自分は椅子の上でこれをするからこう座るのだ、と明確で固い意志をもって椅子を選びそして使用している人というのはなかなかいないと思います。
でも椅子の上で「何を」「どう」するのかを明確にしていくと椅子選びで失敗が少なくなります。
極端にいえば、読むものが文庫本か単行本かあるいは新聞なのかでも最適な椅子が変わってきます。
文庫本なら肘掛けがなくても肘を背もたれに当てるだけで肩がこらずにすみますし、重めの単行本なら肘掛けが欲しくなります。新聞であれば椅子の前にテーブルがあれば、背もたれも肘掛けも不要かもしれません。
このように考えていくと、椅子選びというのは座面や背もたれの角度だとか腰部の湾曲だとかという静的姿勢に対する人間工学的なことではなく、自分はどう座って何をするのかという動的所作を考えるのが重要になってきます。
そして、その動的所作は座る本人しか分からず、家具店の店員さんには分かりません。
さて、心理学に感覚遮断実験というものがあるそうです。
人に刺激を与えない、感覚を遮断した状態を続けると、幻覚を体験するようになるというものです。
これは刺激(ストレス)が無い状態とうのはストレスレス(=快適)ではなく、その全く逆であること、すなわちストレス(=刺激)は人にとって必要であるということを示しているのだと思います。
もし動きたくなくなるような椅子があるとすると、それは完璧な椅子ではなく、その正反対な椅子なのかもしれません。
すなわち、良い椅子とは、動きたくなくなるような椅子ではなくて、その人がしたい動作が身体に負担が少ないかたちで実現できるような椅子なのだと思います。
以上のことを考慮して、椅子選びのコツの具体例を書いてみます。
・じっくり新聞を読みたいひとは椅子とテーブルとの組み合わせを考えてみましょう。テーブルと椅子の高さの差(差尺)やテーブルの大きさががポイントになります。
・椅子の上で胡坐をかくことが多い人は座面が大きく、肘掛けが無いあるいはチョイ肘タイプの椅子が良いです。
・食卓椅子で寝ちゃう人はデスクチェアを使うのもありです。あるいはテーブルの高さに合ったソファを使うのも良いと思います。
・人は無意識のうちに血行やリンパを流れをよくするために膝を伸ばしたくなります。椅子・ソファの前にスツールやオットマンがあると寛げます。
まだまだいろんなケースがあると思いますが、何はともあれ椅子選びのコツは自分の体格や癖、趣味などを深く良く知ることがスタートポイントと思います。
自分にフィットした椅子があれば毎日がとても快適な生活を送ることができます。
是非自分に最適な椅子に巡り合ってください。