「二月の勝者」を読んで。今川母であり、原母である私へ。
ずっと気になっていた「二月の勝者」が最新刊直前まで無料公開されていた。
二日かけて一気に読んだ。いろんな学校の偏差値については細かいところまで読み込まず、お話を楽しんだという感じ。
さて。
自分が中学校受験経験者であり、子どもに中学校受験をさせるかどうか考えている人間にとっては、何かを思わずにはいられなかった。
つまるところ、
親には「子どもにどういう人間になってほしいか」「どういう中学校生活を送ってほしいか」
子どもには「自分がどうしたいか」
を己に問え。
という命題なのだと思う。
漠然と「幸せになってほしい」では曖昧すぎる。
幸せ=「いい学校に入っていい会社に入ること」なのだとしたら具体的すぎる。
「自分がやりたいことを思いっきりやってほしい」
もあるし、
「周囲の優れた人たちと切磋琢磨して、磨かれていってほしい」
もあるし、
「自分らしく、のびのびと過ごしてほしい」
もあるし。
もう、そんなん、全部じゃん!!!
「自分らしく、やりたいことをのびのびと、周りの人と一緒に力をぐんぐん伸ばしてほしい」わけですよ!!
強欲か!
で。
そのために、小学校4(あるいは3なり5なり)年生からの数年間を塾に捧げる覚悟はあるか、っていう。
特に、6年生の1年間。
プレッシャーを与えたり、なだめたり、すかしたり、褒めたり、落ち着かせたり、叱咤激励したり。
黒木先生のいう「女優(俳優)になれ」ができるかっつう。
冷静でいるには、一歩引いておかないといけない。
でも、気持ちを込めて応援すればするほど、冷静でいられない。
そんな一流選手のようなメンタリティでいないといけない。
で。「中学受験」という制度に対しての賛否はやっぱあって。
それもちゃんと描いているのが「二月の勝者」のよいところだなと思います。
家庭の歪みが顕在化する島津家。壊れてしまうアキラ。
塾講師が家庭に介入するのはご法度で、塾業界がサービス業で、課金ゲーな以上、どこかで歯止めがないと潰されてしまう子どもが一定生まれてしまう。
都内では、公教育がまるでセフティーネットのような感覚かもしれないけど、どんどん公教育が充実していってほしい。
私立を落ちて、公立に行った子が「最高じゃん!」って思えるくらいに。
Xでの情報を見てると、区によっては施設もきれいで、環境もすごくいいところもある。
さて。
じゃあ、自分ごととして、私は自分の子どもに中学受験を薦めるだろうか?
たぶん、薦める。
そして、子どもに選択肢を与えたい、自分で好きな学校を選ばせたいと思いながらも、今川母のように、一定の偏差値以上の学校を提示するし、原母のように、自分の希望がない(見えない)ように思ったら公立でいいと見切りをつけるのではないだろうか。
りいさがかわいそうで、みっちーに涙したはずでも。
すべての母は、今川母であり、原母になる。
場合によっては、島津父になる。
「二月の勝者」に出てくるすべての親が私の中にいる。
そして、かつての私だったすべての子どもたちがいる。
長女が6年生のこの受験期まで、4年間。
凡人の親である私は、家でいろんな知識を、世界を、子どもたちと凡人なりに学んだり、教えていく。
だってやっぱり「知る」ことは楽しいから!