赤ん坊と猫とフェレット
我が家には、1歳になる息子と、19歳の黒猫のサスケ、そして6歳のフェレットのムーがいる。
里帰り出産を終えた妻が、息子を連れて帰ってきたときは、動物たちが赤ん坊を受け入れてくれるかどうか、とても不安だった。
サスケは大丈夫だったが、ムーはダメだった。
フェレットはイタチ科なので闘争心が強い。
だから寝ている赤ん坊でも容赦なくかみつくのだ。
仕方なく一部屋を改装して、ムー専用の部屋にした。
それでも人間の不注意で、ムーの部屋のドアを開けっぱなしにして寝てしまうことがある。
ムーは、そんな人間が生んだスキを見逃さない。
ある日の深夜、ムーがカサカサと足音をたてて、人間たちの眠る寝室に忍び寄って来た。
そして、赤ん坊の柔らかい足に、鋭い牙で嚙みついた。
ムーの小さい口で噛みついたところで、大けがになることはないが、痛いのは痛い。
嚙みつかれた赤ん坊は、大声で泣きわめくし、気が動転した妻は、ヒステリックになる。
ヒステリックになった妻は、ムーにだけでなく、僕にも攻撃的になる。
まさに地獄絵図だ。
とりあえず妻と赤ん坊が落ち着くまで、僕とムーはリビングに避難した。
そんな悪夢のような状態で、一番冷静なのが、サスケだ。
泣きわめく赤ん坊の声を聞いて起き上がると、ゆっくりと赤ん坊に近づく。
そして赤ん坊が泣き止むまで、側を離れない。
サスケなりに息子を心配して慰めているのだ。
猫の平均寿命は15年、フェレットの平均寿命は6~8年と言われている。
息子が物心つく頃には、サスケとムーはこの世にはいないだろう。
だから出来るだけ、写真や動画で日々の記録を収めておきたいと思う。