相馬一心

闇金、会社経営を経験して、現在は主夫をメインに頑張っています。そんな実体験を小説やコラ…

相馬一心

闇金、会社経営を経験して、現在は主夫をメインに頑張っています。そんな実体験を小説やコラムにして発信しています。 ※売上の一部はどうぶつ基金へ寄付しています。

マガジン

  • 短編小説

    2万字以内の短編小説です。

  • あのときの温もり

    僕が中学生のころ、へその緒がついた子猫を拾った時のお話です

  • ネオン街のコンプライアンス

    【売上の一部はどうぶつ基金へ寄付します】 ネオン街を主戦場とする行政書士が奮闘するお話しです。

  • DV警察官のお父さんと、不良少年だった僕。

    【売上の一部はどうぶつ基金へ寄付します】 実話を基にした小説です。

  • 普通の大学生が闇金業者になりました

    【売上の一部はどうぶつ基金へ寄付します】 闇金時代に見た、お金に憑りつかれた獣たちのお話しです。

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売上の一部をどうぶつ基金へ寄付する理由

人間が牢に入れられるときは罪を犯したときだ。 牢の中で犯した罪を償い、反省してシャバに出れば、また人間として生きて行くことが出来る。 僕は闇金時代にたくさんの人を傷つけ、とんでもない恐怖を与えてしまった。 そして牢に入った。 なのに僕は、仕事をして家庭を持って、幸せな生活を送っている。 ペットはどうだろう。 飼い主から捨てられたペットは牢に入れられる。 そして、引き取り手がなければ、殺処分されてしまう。 何一つ悪いことをしていないのに。 信頼していた飼い主か

    • 息子の歯が取れた

      息子の歯が取れた。 初めての乳歯が取れたのだ。 歯の抜けた息子の口元を見ていると、涙が出るほど感動した。 これまでも、息子が初めて歩いたときや、初めて会話が出来たときにも感動はした。 しかし、乳歯が取れたのを初めて見たとき、それまでと違った感覚にとらわれた。 その感覚の理由を探ってみてわかったのが、僕自身の記憶に残る成長だったからだ。 僕が初めて、歩けたり誰かと会話が出来たりしたときの記憶はない。 ただ、何本目の歯かは覚えていないが、歯が取れたときの記憶はある。

      • あのときの温もり【後悔】

        家に着いて、バッグの中をそっと覗くと、子猫たちはスヤスヤと寝ていた。 僕は、子猫が入ったバッグをそっと自分の部屋に置いて、遅めのお昼ご飯を食べることにした。 ご飯を食べていると、お茶を飲みながらテレビを見ている母が、「子供を育てるっていうのは大変やろ」と言ってきた。 僕はうどんをすすりながら「別に」と答えた。 「あんたと佐知が赤ちゃんの頃は大変やったんよ。お父さんは全く育児を手伝ってくれんかったけん、本当に苦労したわ」 「ひげダルマの説明やと、そんなに大変そうやなか

        • 褒められる人と、当たり前に思われる人

          中学生のころ、反抗期で親の言うことは一切聞かないし、学校はサボって外で悪さばかりしていた。 親は僕が高校に進学できるかどうかが、かなり心配なようだったが、部活でしていた柔道を「うちの学校でやってみないか」と声をかけてくれた高校があり、僕は高校へと進学をして、無事に卒業することができた。 僕には2歳年下の妹がいて、妹は当たり前のように高校に進学し当たり前のように卒業した。 だから、妹曰く「お父さんとお母さんは、お兄ちゃんが高校を卒業した時にはあんなに喜んだくせに、私が高校

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        • あのときの温もり
          4本
        • ネオン街のコンプライアンス
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        • DV警察官のお父さんと、不良少年だった僕。
          10本
        • 普通の大学生が闇金業者になりました
          11本

        記事

          あのときの温もり【親心】

          僕は部活で柔道をしていた。 階級は66キロ級と、部内では小柄な方だったが、一番強かったので主将を任されていた。 朝、部活に行く準備をしていると、電話がかかって来た。 電話はひげダルマからで、「子猫は無事だから、引き取りに来なさい」という内容だった。 僕は、部活終わりに動物病院に行くことにした。 部活が終わって、「皆でラーメンを食べに行こう」と盛り上がる友達と別れた僕は、動物病院に向かって自転車のペダルを踏んだ。 病院に到着すると、「次の診察は13時からです」という

          あのときの温もり【親心】

          あのときの温もり【危機】

          お酒を飲んだことによる激しいのどの渇きで目が覚めた僕は、すぐに子猫の入っている段ボールを覗き込んだ。 子猫は相変わらずミュウミュウと鳴いているが、その声は昨日より明らかに弱っている。 すぐに動物病院に連れて行かないとヤバいことは分かったので、すぐに外出の準備に取り掛かった。 子猫を運ぶのに、段ボールだと自転車のカゴに入らないので、スポーツバッグにタオルを敷き詰めて運ぶことにした。 1階に降りると、家族はすでに朝食を済ませていた。公務員の父は出勤し、製材業を営んでいる祖

          あのときの温もり【危機】

          あのときの温もり【出会い】

          つり目で不愛想な猫が、大嫌いだった。 夜中に得体のしれない声で鳴く猫が、大嫌いだった。 そんな僕が、初めて猫を飼ったのは、中学3年生の春休みだ。 僕の地元は、山と川しかなく、林業だけが盛んな田舎町だ。 僕は、いつもつるんでいる悪ガキ3人と、花見をしようという事で、近所の公園に出かけた。 その日は、ぽかぽかとした陽気で、桜が満開だった。僕たちは、大きな桜の木の下にレジャーシートを敷いて、買い込んできた酒やお菓子を広げた。 大人の真似事をして酒を買って飲んだはいいが、

          あのときの温もり【出会い】

          子供と遊ぶ時に捨てきれない恥じらい

          子供たちと遊ぶことにどうしても慣れない。 一緒に歌を歌ったり、おままごとをしたりすることに恥じらいを感じてしまう。 朝、子供たちを保育園に連れて行っているとき、子供が陽気に「鬼のパンツ」を歌っている。 しばらくすると、「パパも歌って」となる。 僕は、すれ違う人たちの目が気になって、「また今度ね」と答える。 周囲の人達が僕のことなど気にしていないことは分かっているし、「また今度ね」という答えが、子供たちをがっかりさせることも分かっている。 先日、家族で近所の公園に出

          子供と遊ぶ時に捨てきれない恥じらい

          【文芸社×毎日新聞 第6回十人十色た大賞入選作品】母への手紙

          何年も何年も待ち続けた孫を抱いて涙するあなたを見て、僕はあなたにしてきた数々の親不孝を思い返して、胸が締め付けられるようでした。 あなたが僕を産んでくれたのは、40年前のお盆でした。 酒癖の悪いお父さんから毎日のように泣かされていた22歳のあなたにとっては、僕と2年後に生まれてくる妹の成長だけが、心のよりどころだったと後に何度も聞かせてくれましたね。 あれは僕が1歳の時でした。おばあちゃんに預けられていた僕は、おばあちゃんがちょっと目を離した隙に家を出てしまいました。

          【文芸社×毎日新聞 第6回十人十色た大賞入選作品】母への手紙

          【短編小説】白帯の高校生

          【あらすじ】 不良少年の堀聡一郎は、少しかじった柔道をケンカに使い、お山の大将を気取っていた。 そんな堀の将来を心配した両親は、堀を改心させるため、柔道の強豪校に入学させる。 強豪校の厳しい練習や上下関係についていけない堀は、不良としてのプライドが傷ついてしまい、逃げ出してしまうが・・・。 【本編】 第一話:お山の大将 僕が堀聡一郎に初めて会ったのは、彼が高校一年生の5月だ。 彼が所属していた「大分県私立柳田高校柔道部」は、全国優勝を何度もしている強豪校で、柔道

          【短編小説】白帯の高校生

          帰省

          大分県の実家に帰省するのは毎年夏の恒例行事だが、いつもドタバタで今年も例外ではない。 最近、走り回る楽しさを知った2歳の双子の娘は、ベビーカーに乗ることを嫌がり、そこら中を駆けている。 4歳の息子は少し目を離すと、人ごみに紛れてどこかへ消えてしまうので油断できない。 だから、僕と妻は重い荷物を持ちながら、子供の動きを常に警戒している。 飛行機に乗ってもゆっくりすることはできない。 機内では、僕と妻が双子をそれぞれ抱っこすることになる。 ママっ子の双子は、妻に抱っこ

          経営者をやめて主夫になりました

          出会い 「ヒナちゃんとホノちゃんが『後で行くから先に行ってて』って言って、背中を押したんだ。それで僕はママのお腹に入ったんだよ」 「ハルは、産まれる前の事を憶えてる?」という僕たち夫婦の問いに、3歳の息子はこう答えた。 そして息子が産まれた2年後、息子の背中を押したヒナとホノは、双子の娘として我が家に誕生した。 子供は胎内記憶を一生に一度だけ話してくれるらしい。 息子の記憶が確かかどうかは分からないが、子供の誕生によって僕の人生が大きく変わったのは確かだ。 僕

          経営者をやめて主夫になりました

          ゴミ収集車から学んだ勇気

          息子(4歳)と双子の娘(2歳)は、働く車が大好きだ。 「見て、パパ!消防車だ!」と、息子の元気な声が響いた。 振り返ると、息子と双子の娘が目を輝かせて大きく手を振っていた。 子供たちは、救急車・消防車・パトカー・バスなどを見かける度に、大喜びして手を振っている。 そんな子供たちの姿を見ているうちに、僕まで働く車を意識して見るようになった。 子供が出来るまでは、街中を走っている働く車というものは、当たり前の景色だったので、何とも思ったことがなかった。 そんな数多とあ

          ゴミ収集車から学んだ勇気

          子育てと自分の時間

          「子育てをしてたら自分の趣味に費やす時間なんて無くなるでしょ。俺は自分の時間を失ってまで子供が欲しいなんて思わないな」と、知人が言っていた。 確かに子育ては大変だ。 朝ご飯は中々食べてくれないし、食べ終わった後は、テーブルや床は食べこぼしでぐちゃぐちゃになる。 食べこぼしを片付けたら息つく間もなく食器洗いに取りかかる。 食器洗いが終わると、奇声をあげて走り回っている子供たちを捕まえてオムツ交換と着替えをすませる。 そして、歯磨きが終わったところで保育園へ出発。 朝

          子育てと自分の時間

          発達障害と診断された息子

          4歳の息子は、一つの事に集中すると他の事が全く見えなくなる。 息子はパズルが大好きなので、パズルに集中すると同じ場所に何時間でも大人しく座っている。 だから、家事をしているときなどは非常に助かる。 しかし、息子の集中力は遊びだけではない。 例えば、僕が「保育園の給食は何だったの?美味しかった?」という質問を息子にする。 この質問には、「保育園の給食は何だったの?」と「美味しかった?」という2つの問いがある。 息子は「保育園の給食」について考え始める。 「う~んと

          発達障害と診断された息子

          来たる娘の思春期に怯えている

          子供は10歳前後に思春期が訪れ、娘は父親を嫌うらしい。 一緒に出掛けることや、洗濯物を一緒に洗らうことを嫌がるという。 僕には双子の娘(2歳)がいる。 僕が座っていると、娘たちは僕の膝の上に座りたがるし、怖いことがあれば僕の足にしがみつく。 その娘たちが、数年後に僕の事を嫌いになる? とてもじゃないけど、そんな現実を受け入れることはできない。 「パパ、パパ」と言って、笑顔を振りまいている娘たちが、僕のことを無視し始める時期が来るなんて、信じられない。 周囲の影響を受けなが

          来たる娘の思春期に怯えている