苦手な数学
実家の書籍を整理することになった。
今の家にあらかた本は移した。
問題は高校の頃の教科書である。
自称進学校だった我が母校は参考書を元に授業を進めて行くタイプの授業があった。数学だ。
数学は一冊一冊の大きさや重さは大したことないが、量が多いので重い。すごく重い。
ただ、実家を出ても参考書の事は頭にあったので、
「時間に余裕が出来たらいっちょ数学でもやり直すか」
などと、蜂蜜の如く甘い甘い考えを持っていた。
私は途方もない阿呆だった。
高校時代、勉強を頑張っていた私が解けないのだ。今、まるでカスみたいな生き方をしている上に、勉学で使うはずの頭は衰えるばかりである。そんな人間が「今から数Ⅱをやろう」として一朝一夕で出来るはずがない。
馬鹿も休み休み言え。
得意だった国語の教科書すら読む気が失せているのだ。苦手だった数学と向き合おうものなら今通っているバイクの教習所を退学して、すべての力を数学に注いでもまだ足りぬ。
足りぬのだ。