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【投資】芝浦電子(6957)に台湾企業からの同意なきTOB

ここ最近、日本企業に対し資本効率の改善を狙ったアクティビストによる投資、またTOB(公開買い付け)やM&A等の活動も活発になってきましたね。こうした中、自身が投資している企業にもTOBがかかりました。


芝浦電子(6957)

今回同意なき(つまり経営陣が事前了承していない)TOBの対象となったのは、温度センサー最大手の芝浦電子(6957)です。芝浦電子というくらいですから、本社は芝浦にあるのかと思いきや、実はさいたま市だったりします。

四季報WEB版のプロフィールのよると:

感温半導体による感熱素子であるサーミスタ素子と、それを心臓部として組み上げたサーミスタセンサーの専業で、温度センサー部品の最大手。素子は福島県で集中生産、センサーは国内外で生産し、重要な生産基地であるタイのシンブリ工場は順次新棟を建設。主な用途先は自動車やエアコン向けで、エコ給湯器・IH調理器・HV・EVなど環境関連の需要を開拓。ロボットなど産業機器、OA機器と用途先は幅広い。特に自動車電装品向け高温対応サーミスタや使用数の多い燃料電池向けなどの開発に注力。景気敏感の小型優良株。

四季報WEB版の芝浦電子のプロフィールより抜粋

直近の指標は以下のとおり。自己資本比率も高く財務面は健全。高収益率で高配当、その割にPER/PBR的にも割高感はない(かといって超割安でもないですが)安心して保有できる安定銘柄という認識です。っていうか、温度センサー需要(プロフィールには書いてないですが、今後の温暖化とか、またデータセンターにおける温度管理の重要性とか)を考えるともっと注目されてもいい企業だと思っています。

  • 時価総額:597億円

  • PER:14倍

  • PBR:1.4倍

  • ROE:11.4%

  • 自己資本比率:80.6%

  • 配当利回り(予想):4.8%

保有の経緯

当方はこの芝浦電子(6957)、EV普及など、温度を測ることへの需要は今後も高まると期待し、2023年6月初頃に(その後の分割を考慮して)2,940円で購入しました。

保有を開始して以来の直近2年間の株価推移は以下のとおりです。当方の持値を中心に上がったり下がったりの横ばい推移。なかなか評価されてない銘柄の1つではありました。

芝浦電子(6957)の直近2年の株価推移 from マネックス証券

TOBの内容

さて今回のTOB、しかけたのはヤゲオという台湾の大手電子部品メーカーとのこと。TOB価格は現在の価格(2025年2月5日の終値は3,135円)から37%程度プレミアムの4,300円。5月7日から買い付け開始ということで、まだ3ヶ月程度の猶予はありますね。

日本経済新聞記事を簡単にまとめると:

  • ヤゲオによれば「芝浦電子買収はヤゲオのセンサービジネスを拡大するための重要なステップ」

  • 2024年9月ころに協業の検討を始め、経営陣に面談を複数回要請したが、芝浦電子側が応じなかった。そこで12月30日に買収提案。

  • 手続きは経済産業省の「企業買収における行動指針」に基づいて進めている。

  • ヤゲオはコンデンサーなどの受動部品が主力。2024年12月期の売上高は約5,700億円(一方芝浦電子は売上高324億円)。

  • 芝浦電子は、TOBの公表について事前の連絡を受けていないと発表、ヤゲオの提案が企業価値や株主共同の利益向上につながるかの観点から検討をし、見解を公表するとしている。

ストラテジックバイヤーは怖い

今回のケース、海外のストラテジックバイヤー(アクティビストとかではなく、同業他社といった事業会社)による日本企業への同意なきTOBは初めてなのでは?と思います。

ちょうど先日参加したマネックス証券主催の「マネックス・アクティビスト・フォーラム2025」で、ダルトンの西田真澄氏が、ストラテジックバイヤーによる投資は、買収される側の経営陣のクビをさっさと付け替えられるという意味で、日本の経営者が最も恐れないといけない相手だと言ってました。また海外のストラテジックバイヤーによる日本企業買収により、日本の技術の海外流出にも懸念を示されてました。

経営陣が最も恐れないといけないのは、アクティビストとかファンドではなく、ストラテジックバイヤーであることは、以前紹介したストラテジック・キャピタルの丸木強氏の著書(「モノ言う株主」の株式市場原論)でも言及されてましたね。

日本経済新聞記事によれば、ヤゲオから芝浦電子へのアプローチは昨年9月からあったとのことですが、芝浦電子の経営陣、その重要性を理解しないまま面談を拒否し、放っておいたんですかね。芝浦電子の大株主欄を見ると、カストディー銀行や金融機関が並び、決して安定株主で大部分を占められているわけでもなく、脆弱な構成に見えます。

今後の展開(期待)

さて本日の芝浦電子(6957)はストップ高気配で張り付き、取引は成立していません。おそらくはまずはTOB価格の4,300円までは今後上昇していくと思われます。

個人的には:

  • 4,300円だったとしても、EPS(1株利益)がそのままとしてPER20倍、PBR1.9倍。ちょっと割高に見えますが、温度センサー事業の今後のポテンシャルを考えると、4,300円以上は期待してしまいます。

  • 実際、自分は長期的な目線で、株価2倍、6,000円くらいになってもいいんじゃないかと期待して保有していました。

  • 「海外企業に買われてなるものか」と、日本の企業、例えば主要取引先であるダイキン工業(6367)がホワイトナイトに乗り出す可能性はないのかな?なんて(自分の勝手な期待ですけどね)。

いずれにしても自身の保有銘柄では初のTOB。今後のプロセスを楽しんでいきたいと思います(笑)

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