【投資】"シナジー"という言葉には要注意
四季報をパラパラと斜め読みしている中で、とある企業の特徴欄に「○○と△△が経営統合。営業面でシナジー追求」という記載がありました。M&A等でよく聞かれるこの"シナジー"という言葉、当方はそれを聞くとだいぶ警戒感が高まります。今日はそれについて書きたいと思います。
シナジーとは?
シナジー(日本語で"相乗効果")とは、人、モノ、事柄などが複数存在し、それらがお互いに作用し合うことで機能や効果を高めることを指します。共同、協力しあうことで1+1が2以上の効果を産むような場合に使われます。
企業内・部署間の共同だけでなく、業務提携やM&Aなども単独で行うより価値が大きくなれば、「シナジー効果が得られた」ということになります。
「シナジーという言葉が出てきたら注意しろ」
ビジネスシーンで割とよく使われるこのシナジーという言葉、当方それを聞くとちょっと警戒感、あるいはネガティブな印象が湧き出てきます。だいぶ昔の話になりますが、米国のビジネス・スクールに留学していた時に受けた戦略論のとある授業で、その時の教授が:
と強調していたからです。
その背景としては、通常M&Aをする場合、その意図や目的が明確にあるはずで、何を狙ってM&Aをするのか具体的に経営者は説明できるはず。それが曖昧な場合"シナジー"と言いがち、と。したがって、やたらと"シナジー"という言葉が出てくるM&Aに直面したら、「そのシナジーとは具体的に何なのか?その源泉はどこから来るのか?具体的にどう実現するのか?」という点をより深掘りしていかないといけないということです。
M&Aだけではありません。部署間の共同等、さまざまなシーンで"シナジー"という言葉、よく使われます。また個人的な印象ですが、この言葉を好んで使う人もいますよね。プラスの期待を持たせる言葉ですし、便利な言葉かもしれません。
ただ"シナジー"という言葉自体には何ら具体性がありません。本来、何か具体的な効果があれば、この言葉を使わなくても具体的に説明できるはず。例えば、「ミドル・バック部門のプラットフォームを共有することでのコスト削減」とか、「重なりのない顧客基盤の拡大」とか、「生産拡大による規模拡大、仕入れ先へのプライシングパワーの強化」とか、何かその背景が具体的にあるはずです。
まあ、細かい説明をするのが面倒なので、"シナジー"という言葉で片付ける…というケースもあるかもしれませんが、具体的な狙いがないままに、何か淡い期待を持って"シナジー"という言葉が使われている場合は要注意、その「"シナジー"とは具体的に何なのか?」を追求し、納得できなければその企業には投資をしない、というスタンスでいます。