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【投資】「2050年の世界 - 見えない未来の考え方」(ヘイミシュ・マクレイ)

基本読書はあまりしない私。フォントも小さく、460ページにもおよぶ分厚い本でしたが、内容も面白く一気に完読できました。この手の未来予測本は割と嫌いではなく、今後世の中がどうなっていくのかを展望することは、(結果としてその通りにならなかったとしても)足元の投資においても多くの示唆を与えてくれると思っています。

このような大作、簡単に要約でませんが、自身の備忘録として覚えておきたいところを書きとめておきたいと思います。


変化をもたらす5つの力

一番興味深く読んだところは、"変化をもたらす5つの力"と題して書かれた章。下記の5つの分野を、2050年までの各国の経済状況に影響を与える要因として議論しています。

  1. 人口動態 - 老いる世界と若い世界

  2. 資源と環境 - 世界経済の脱炭素化

  3. 貿易と金融 - グローバル化は方向転換する

  4. テクノロジーは進歩しつづける

  5. 政府、そして統治はどう変わっていくのか

頭に残っているキーワード

ここではそれぞれについて細かくは議論しませんが、自身の投資に関する示唆として頭に留めておきたいことは以下のとおりです(あくまでも個人の感想です)。

  • 高齢化は日本だけの問題ではなく、中国も含め、世界の先進国共通に直面する課題。「日本はこれから高齢化するから成長が見込めない」という日本ダメダメ論をよく耳にするが、そんなこと言ったらそれは日本だけに限らないということ。そして、その高齢化で世界をリードする(ものは言いようである)日本が果たす役割も大きいのでは、というところ。

  • また外国人の筆者から見て、日本に対する評価・期待は、日本人が思う以上に高いということ。安定して安全な社会、秩序、生活水準、どれも高いものである。

  • 米国が世界中のタレントを惹きつけ続ける限り、テクノロジーの進歩は今後も米国発で続く。

  • 医療、教育が今後の成長分野。

  • ヨーロッパの影響力は衰え、アジアの重要性が増す。

  • 結局は英語圏。

  • 中間層の台頭。

日本人へのメッセージ

特に日本人にとっては、最初の"日本語訳への序文"のところ、いろいろと示唆に富んでいます。この機会に日本社会が考えた方がいい点について(太字は当方がつけました):

日本の偉大な企業の技術力を足がかりにする。(途中省略)日本の企業は政治家よりも世界を深く理解しており、教えることがたくさんある。

序文より抜粋

日本はこれからも高齢化社会に向き合っていくことになり、その姿は世界にとって教訓となる。教育の水準が高く、適応力があり、健康な高齢者は資源であって、重荷ではない。

序文より抜粋

日本の治安のよさは、進むべき道を明るく照らす道しるべになる。東京は地球上で最も安全な大都市である。ほかの国はぜひ東京から学んでほしいし、どうすればより秩序ある社会をつくれるか、日本も積極的に伝えてほしい。

序文より抜粋

海外に渡る若者が増えて、その国で友ができ、人脈が広がるといい。海外からの観光客を増やす取り組みを国が進めるのもとてもいい。

序文より抜粋

もっと広い意味で、わたしは日本人が自信を取り戻してほしいと願っている。日本は世界が直面している課題に対処している。日本人は、巨額の公的債務、円安ドル高、1990年代はじめのバブル崩壊以降の「失われた」年月などを心配しているが、そこから少し離れたほうがいい。悲観ばかりしていると思考が麻痺して、可能性をつぶしてしまうと、わたしは心の底から感じている。

序文より抜粋

"「失われた」年月などを心配しているが、そこから少し離れたほうがいい"というところ、まさにその通りだと思いますね。日本を外から見ている人の視点、これは参考にしていいのかなって思ってます。

投資への示唆は?

これを読んで、ではどう投資に活かせるか?ということですが、そこに関してはあまり短期的なものはありません。やれグローバルサウスだの、インドだの、またまたオールカントリーだなど、日本以外の投資を進めるキーワードが紙面を賑わしてますが、普段自分がやっている米国株、日本株をメインとした投資、その方向性は間違っていないかなと確認したくらいですかね。

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