一新塾講師に、深田智之さん(くつろぎ宿社長・せせらぎ宿社長)『人と地域資源を生かす事業再生(旅館編)~経営は「志」と「収益」』講義
今週は、一新塾OBである深田智之さん(会津東山温泉くつろぎ宿社長・湯瀬温泉せせらぎ宿社長・一新塾理事)にご講義いただきました。テーマは『人と地域資源を生かす事業再生(旅館編)~経営は「志」と「収益」』。
深田智之さんの経営する「くつろぎ宿 新瀧」は、じゃらんOF THE YEAR売れた宿大賞(東北51~100室部門)において第1位を獲得、13回連続受賞となりました!
深田さんは、コロナ禍の厳しい環境でも、ずっと黒字を維持し続けてこられました。加えて、これまでも、時代の試練に体当たりして、道なきところに道を切り拓く挑戦を積み上げてこられました。
●第一の挑戦~高知県でハコモノ再生
かつて、都銀系のシンクタンクの研究員として大規模公共施設のコンサルティングに携わっていました。あるとき、大規模年金保養基地の高知県須崎市のグリーンピア土佐横浪と出合います。毎年7000万円程の赤字で、累積赤字は十一億円。閉鎖の危機に直面していました。
深田さんは、二〇〇一年、会社を退職して、
株式会社リゾート・コンベンション企画を起業。
純粋民間企業として初めて公的施設の経営改善を受託。
須崎市の現場に家族で移り住んで身を投じてゆきました。
地元の漁業や農業と連携して、地域の財の掘り起こし。
漁船でのホエールウォッチング、養殖いかだ上での魚のバーベキュー、三〇泊八万円の長期滞在プランと農業体験。二年で黒字を達成。しかし、所有権が国から市に移る際に、地元争奪が発生し、結局、施設は閉鎖されることとなりました。
しかし「閉鎖はおかしい」と世論も盛り上がる中、深田さんの挑戦は、全国各地に知れ渡り、民間の自由な発想を最大限に生かすハコモノ再生ビジネスの可能性を知らしめることになりました。
●第二の挑戦~会津での三旅館同時再生
会津東山温泉での地域再生ファンドを活用して破綻寸前の三旅館の同時再生でした。かつて竹久夢二や与謝野晶子も愛した東山温泉ですが、入込み客は1992年の約81万人から、2006年は約42万人に半減。深田さんは、徹底的なコスト削減を図り、3館の特色を色分けし、わずか1年半で黒字を達成、3年余りで再生を完了させました。
●第三の挑戦~東日本大震災
そんな中、襲った東日本大震災。震災直後、行政支援が本格始動する前に旅館をいち早く無料開放。ピーク時には1,400名ほど、2011年4月10日までに延べ12954名の被災者の方の支えとなりました。2011年4月3日からは大熊町の方々の二次避難場所としてピーク時は520名の方々にご利用いただきました。
●第四の挑戦~秋田県の湯瀬温泉での事業再生
さらに、2014年7月より、秋田県鹿角市の湯瀬ホテルの譲渡を受けて事業を再生し、地域の発展に貢献されています。
●第五の挑戦~コロナ禍での旅館経営
新型コロナの影響で全国的に旅館の経営環境が厳しい中、露天風呂づくりや改装作業を旅館の職員が取り組むなど、職員の雇用とモチベーション維持しながら、20年度、21年度、21年度の営業利益も黒字を維持し、日々、奮闘中です。
理念を貫き通すには、「志」と「収益」。
収益アップ⇒人件費アップ⇒生活向上⇒地域の経済活性⇒日本を憧れの国へ
深田さんの実践のストーリーと共に刻ませていただきました。
以下、塾生の皆さんのご感想と心に響いたお言葉です。
●とりあえず、やってみる!
●行動すると声がかかる
●一人だけでやろうとしない
●成功するまで、あきらめない
●人のために熱量を持って行動する
●地域には必ず魅力がある
●地域資源とのコラボレーション
●捨てるものと守るものを見極める
●付加価値をつけて経済を回す
●価値を高め、評価を上げ、安売りしない
●自分が変われば周りも変わる
年金問題、ハコモノ利活用、東日本大震災、コロナ禍。
時代の試練に対峙し、事業を再生させ、地域を再生させてきた、
深田さんの時代の試練の向き合い方から学ばせていただきました。
■大前研一創設 NPO法人一新塾(東京・大阪・名古屋・仙台)
「一新塾体験セミナー&説明会」開催中!(リアル・オンライン)
https://www.isshinjuku.com/
■『第二の人生は志を生きる~サラリーマンから市民への転身』(一藝社)
NPO法人一新塾/森嶋伸夫 著
https://www.amazon.co.jp/dp/4863592485