「残業をしてまで部活の顧問をしろ」と命じることはできない(文部科学省 八木和広課長)
◯Twitterでフォローさせていただいている乾 東一郎先生のブログから以下の画像および情報を引用させていただきます。
◯スポーツ庁学校体育室長から文部科学省生涯学習政策局社会教育課長になった八木和宏氏の発言です。
◯これまでも繰り返しnote記事に書いてきたように、仮に部活顧問を職務命令されたとしても、校長は教員に対して残業を命じることを法律(給特法)によって禁止されているので(超勤4項目を除く)、その職務命令の範囲が及ぶのは「勤務時間内」に限られます。
◯しかし、部活動の活動時間は教員の休憩時間と勤務時間外に設定されているというのは、厳然たる事実です。だから校長は八木和宏氏の言うように、単に「部活の顧問をしてください」という「お願い」しかできません。なぜなら、勤務時間の内外を口にすれば部活動は成り立たないからです。
◯過去の訴訟における主張を見ればわかるように、校長および教育委員会の言い分は「部活の顧問をしてくださいとお願いはしたが、勤務時間外にやれとは言っていない」というもの。勤務時間内に活動ができるわけがないことは明白であるのに、このような子供の言い訳のようなことを、大の大人が、それも校長や教育委員会といった教育者の上層部が平然と言うわけですから、子供よりもたちが悪い。
◯彼らに言わせれば「顧問業務のお願いを受け入れた教員が勝手に自主的に勤務時間外にやっているだけ」ということなので、だから校長は勤務時間が終了したら部活動が活動していても退勤します。勤務時間外なので、校長の職務命令による指揮監督下にはないからです。
*ただし、鳥居裁判の最高裁判例によって包括的職命令が認められ、もうそのような言い訳は通用しなくなりました。
◯システムとして破綻しているものを、善意と自己犠牲によって成り立たそうとするのはやめましょう。中には部活動に生きがいを感じていて、それこそ自主的・自発的に顧問を楽しんでいる教員もいます。Twitter界隈ではBDK(部活動大好き教員)と呼ばれる教員たちですが、彼らからの同調圧力に屈してしまう教員の気持ちも分かります。衝突することで仕事がしづらくなることを恐れるわけですが、それは彼らにしても同じです。衝突すればこちらに対しても話しかけづらくなり、必要最低限のコミュニケーションしか取れなくなります。
◯今の働き方改革の時代に正しい声をあげれば、必ず賛同してくれる教員はいます。現に私なども、顧問拒否をはじめとした主張を堂々とするようになると、職員の中に賛同者が続出しています。歴史が証明するように、仲間を作って不正労働と戦うというのは、労働者としての正しい姿勢です。何も恐れることはありません。声が増えれば増えるほど対応せざるを得なくなります。しかし、サイレントマジョリティーでいる限り、労働者としての権利は蹂躙され、労働力を搾取され続けます。
「No!と言いなよ! サイレントマジョリティー 誰かの後ついて行けば傷つかないけどその群れが総意だとひとまとめにされる」(欅坂46 サイレントマジョリティー)
「不協和音を僕は恐れたりしない嫌われたって僕には僕の正義があるんだ殴ればいいさ一度妥協したら死んだも同然支配したいなら僕を倒してから行けよ!」(欅坂46 不協和音)
◯まさにこの歌詞の示すように、黙っているということは同意だと見なされてしまいます。不協和音を恐れないで鳴らしていきましょう。
◯顧問拒否は簡単です。
◯私の経験上、「お断りします」とズバッとシャットアウトするよりも、こちらの方が効果的です。全ての逃げ道が塞がれています。
◯ここまで言うと、校長も今後1年間通して受けるであろう様々な衝突を予期することでしょう。だから、たいてい顧問を命じないという判断に行き着きます。顧問に命じられたら年間を通して徹底的に戦えばいいわけです。
◯なお、私はこれを実践し、奴隷のような顧問業務から解放されています。では周りから総スカンを食らっているかと言うと全くそんなことはないばかりか、賛同者が続出している状況です。日本全国の問題意識を共有する教職員の労働環境が改善されることを願っています。
◯最後になりますが、年度末の面談で顧問拒否をするのはおすすめしません。校長も人間ですから、長い時間をかけて考えさせてあげたほうが正しい判断ができます。考えれば考えるほど顧問を命じないほうが賢明だということに気づいていきます。だから、顧問拒否をするのは早ければ早いほどよいということになります。また、面談だけが顧問拒否の機会ではありません。「お話ししたいことがあるのでお時間いいですか?」と自ら機会を作ってください。決断したらすぐに行動に移すべきです。勇気をもって決断してくれる人が増えることを願っています。
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