消費主体型のマイナスイメージ払拭のために、グルが書く最新マーケティン具理論
大学でマーケティングを学んでいた時から、フィリップ・コトラーといえばマーケティングの始祖、という感じでしたが・・・あれから20年以上経ち、御年90歳になられた今も活発に著作を発表されていることにアタマが下がります。(もちろん多くの優秀な方々が共著的に関わられてはいるのでしょうが。)
コロナを経て変化したマーケティングの現状を分析しつつ、そこに最近話題となっているデザイン思考・サービスドミナントロジックなどを絡めて、H2H(人と人)の関係性にコンセプトを絞って体系化された、最新著書がこちら。
「Lemon Market(レモン市場)」の事例さながらに・・まだインターネットもいまほど便利じゃなかった頃に、中古車を探すのは大変で、海外だったこともあり英語力+車の知識のなさが合わさって、いまひとつな車を購入した経験があります。(あまりにも車がよく故障するので、修理を通じて車の構造に詳しくなるという利点はありましたが。)
レモン市場とは、経済学において、財やサービスの品質が買い手にとって未知であるために、不良品ばかりが出回ってしまう市場のことである。「レモン」はアメリカの俗語で質の悪い中古車(レモンカー)を意味する。中古車のように、実際に購入しなければ真の品質を知ることができない財が取引される市場は、悪質な財(レモン)ばかりが流通するためレモン市場と呼ばれている。
「相手をだましてでも、売り抜ける」というビジネスにおける負の側面は、SNSの発達により淘汰されつつあるものの、マーケティングがもってしまった「セールス重視」「売りつける」というブランドイメージをコトラー先生は払拭したかったのかな、という印象をもった本でした。
デザイン思考のベース理解があったほうが、より深読みできる本だとは思いますが、各章ごとに日本人研究者の鳥山先生の解説が入っていることで、理解のための新設設計がされているところにも、この本がコンセプトとするH2Hの精神を垣間見る一冊でした。
コトラーのH2Hマーケティング 「人間中心マーケティング」の理論と実践(フィリップ・コトラー、2021年、KADOKAWA)
【本日の朝食】
ししゃもマリネ、タブレと花蕾・アスパラのサラダ、雑穀パンにて