品川 力 氏宛書簡 その十六
親愛なるツトムさん―今夜大杉栄全集刊行会
から、書留で叮重な礼状をもらひました。㐧四巻に才錄され
ます。大杉氏の手紙が、僕の名宛で出るのです。うれしくて耐りま
せん。それでなくてもこのごろはうれしくて耐らないのに。一日も早く申込
みたいと思ひますので、或は土曜日の晩、賣る本を持って、銀座へ
訪ねるかも知れません。「天才論」はいゝ。十九日には是非来て下さいよ。
それから、あなたも全集をとって下さい。わが大杉ネストルだちのため
に。春陽堂から、アルス新聞と同じやうな「春陽新聞」が出ました。
「ポー短篇集」が出ますね。
右あまり、うれしいので、うれしまぎれにかいたのです。
お父母さま、お妹さんによろしく仰有って下さい。
[消印]14.4.18 (大正14年)
[宛先]京橋区銀座尾張町
大勝堂内
品川 力 様
牛込、河田町一〇
菊池 与志夫
(日本近代文学館 蔵)
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※ 大杉榮全集