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『若くして逝ける妹』品川陽子詩抄 (No.21)

若くして逝ける妹

そのあさの眠りが
遂に永遠の眠りに
つゞくものとも知らずに

その日
白い蝶の群れてとぶ
キモノにつゝまれて
あなたの眠りはひどく
たのしそうだった

ちょうど
春の日に舞ひ上る
夢を見ながら
昇天している秋の蝶のやうに

                          タイプ原稿より

妹の枝咲は昭和8年暮れに24歳で亡くなっている。


(『品川陽子詩抄』平成25(2013)年10月 
            柏崎ふるさと人物館発行 より)

#品川陽子 #品川約百 #詩

※サムネイルの画像 出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」
百蝶図案
(https://rnavi.ndl.go.jp/imagebank/data/post-174.html)


「若くして逝ける妹」は雑誌「音楽評論」1934年(昭和9年)2月、3月合併号に掲載されました。





          「音楽評論」第二巻第四號 昭和九年二、三月號より
                        日本近代文学館 所蔵



品川 陽子(明治38年(1905)12月6日―平成4年 (1992) 12月12日)
本名は品川 約百よぶ
新潟県柏崎町納屋町に生まれる
詩人
佐藤春夫に師事
兄に、本郷の古書店「ペリカン書房」の品川力、弟は、版画家の品川工

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