スピ系が変なことをいうカラクリ
先日、エリザベス女王が亡くなった時、何やらインターネット上に不思議な投稿が多くなったような印象を受けました。
エリザベス女王の死は、光の勢力にとってのひとつの合図で、今まで闇の勢力と戦っていた「光の戦士」陣営が、地球を解放してくれるといった類のものです。スピ系というやつでしょうか。
人それぞれ、信じるものは自由ですので否定はしません。実際、そういう目に見えない世界が見えたり、感じたりする人もいると思うので、そういう人たちの感性を否定しきることもできません。ですから、スピ系そのものに問題があるとは言いません。
ただ私は、そういうものとはちょっと距離を置かさせてもらっています。
少し違う話になるかもしれませんが、もう10年近く前、とあるグループの方々と交流がありました。その方々は、目に見えない世界のことを語る人たちでした。特定の宗教というわけではないのですが、そのグループの中にある種の特殊能力を持っている人がいて、その人が「イタコ」のようにいろいろな人を降ろしてきて、さまざまな助言をしてくれるのです。
言っちゃなんですが、結構、面白いです。それっぽいことを言われたりするので、そこそこに人が集まります。
私も傍で、その「イタコ」さんの話を聞いていました。
そのなかで、いつしかその「イタコ」さんが、吉田松陰からの言葉ということで、いろいろな話をし始めました。そこで語られたのは、自分(吉田松陰)が、インドまで行ってきて仏の道や宇宙の理を学び、それを日本に伝えたというような話でした。
そこに集まった皆さんは、それを熱心に聞いていました。
でも、私は思いました。
吉田松陰の生涯をみて、彼がインドに行ってきたというような事実があるとは、到底思えません。端的に言ってしまえば嘘です。
しかし、その「イタコ」さんは、吉田松陰の言葉だと言います。そして、その降ろされてきた人(?)も、自分は吉田松陰で、インドに行ってきたというのですから、もし誰も嘘をついていないというのなら、それに辻褄が合うような解釈をしてあげる必要があります。
ここで、この話を整理するには、少しだけ宇宙のことにまで頭を巡らせる必要がありそうです。
私たちが生きている宇宙は、たったひとつの宇宙ではなく、実は私たちが認識している以外にも、無数の宇宙があるかもしれないという話です。
例えば今、私はこの記事を書いている途中に、席を立ってトイレに行きました。今、私たちはそういう宇宙に住んでいます。
しかし実は、私がトイレには行かずに、ずっと記事を書き続けていたという宇宙もあるかもしれないということです。ものすごく小さな差ですが、そういう宇宙だってありうるくらい、宇宙は無数にあるということです。
ということは、吉田松陰がインドに行ってきて、仏教や宇宙の真理を学んで日本に帰ってきたという宇宙があっても、おかしくないということになります。
それは今、私たちが生きている宇宙ではありません。別の宇宙ではあります。しかし、無数に宇宙があるなかで、そんな宇宙があっても全然おかしくないとも思うのです。
仮に、上のような状況のなかで、誰も嘘をついていないのだとしたら、吉田松陰がインドに行ってきたというのは、今、私たちが住んでいる宇宙ではない「別の宇宙」の話だということです。
なので、その「イタコ」さんに降りてきた吉田松陰には、こう言ってやりたいと思ったのでした。
帰るお家を間違えて、他人の家に勝手に上がり込んできて、居間でくつろぎ始めた・・・みたいな感じです。
でも、「イタコ」さんは、それには気づきません。
いわば、本来、自分が生きていた宇宙ではない、別の宇宙に「迷い込んできた吉田松陰」を降ろしてきて、あーだこーだ話をさせているわけです。
それは、その「イタコ」さんのアンテナの感度があまりよくない、もしくはちょっと「他の宇宙」にチャンネルが合ってしまっている状態だということでしょう。
そう思ったら、その「イタコ」さんは、あまり実のある話をしないと感じてしまいます。そして、その話を聞くだけ時間の無駄なので、私もそれ以上、お付き合いをしなくなりました。
少々、長くなりましたが、私が、荒唐無稽にみえる世界の話をする人たちと、ちょっと距離を置いてしまうのは、そういうのが理由です。
そういう人たちの感性や、目に見えているものを完全に否定をしているわけではありません。そういう能力や才能はあっていいと思っています。
ただ、無限に広がる高次元世界のなかで、この宇宙とは関係のないところと通信をしてしまい、図らずも「迷子になっている人たち」もたくさんいるのではないかという解釈です。でも実際、高次元世界が広がっているとしたら、その広さたるや、私たちの想像を絶しています。迷子になるのだって、当たり前と言えば当たり前です。
実はこれ、宗教にも当てはまることだと思います。
宗教のような仕組みについて、最初から、それを私腹を肥やすために利用するような人たちもいることでしょう。
しかし一方で、純粋に何かしらの才能があり、そこでキャッチしたものを良心から「多くの人々に広めたい」と考える人もいると思うのです。ただし、そのアンテナがおかしなところに合ってしまっていると、「この宇宙」とは関係のない、ただの妄想をしゃべるだけになるということです。
「光の戦士」を語る人たちにしたって、心の底からよかれと思って、情報を発信している可能性があります。アンテナの合い方だって、さまざまでしょう。アンテナの調整がうまくいっていなければ、現実世界と乖離した話をしてしまうのだって頷けます。
したがって私たちは、それらを安易に蔑んだり、切り捨てたりせず、距離を置くにしても、少し冷静に見つめてみてはどうかと考えます。
目に見えない世界の話は、なかなかに確認が難しいものです。そういうものを見たり、感じたりする人がいるというのであれば、それはそれとして信じてあげたいところです。
けれども、実際には「あれ、おかしくない?」というものがあります。それらは、聞いている私たちが、「それ事実?」、「それ合ってる?」、「それ、私たちが住んでいる『この宇宙』の話で間違いない?」ということを常にチェックしてあげる必要があるということです。
必ずしも、意図的に嘘をついているわけではなく、ちょっとアンテナが別のところに合ってしまっているだけかもしれませんから・・・。
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