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難しい?!プール育苗
事務所の仕事をしている限り、天候を気にすることは、ほとんどありません。たまに大雪や台風なんかで、ダイヤが乱れるので、そういう予報を気にするくらいでしょうか。
けれども、当たり前ですが、農業は天候に大きく左右されます。雨が降ったりすることで、計画を大きく変更しなければいけなかったりすることもあります。
この日は、大きな種まき機を使って、稲の種まきをしたかったのですが、雨だと種まき機を動かすのが大変ということで、一旦、ビニールハウスに行くことになりました。
ビニールハウスに到着。
さて、ここで問題です。このビニールハウスにあるポッド、何かおかしなところがあるでしょうか?
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分かりません?もう少し寄ってみます。
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スイカのプレートが二つある?いいえ、そんなんじゃありません。
あ、分かった人いますね?
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ジャジャーン♪
正解は「カエルが潜んでいた」でした。
春ですねぇ。いよいよ、いろんな生き物が出てくるのだと感じます。
こちらはハクサイです。
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春、すっかり大きくなって、立派な花もつけています。一応、これは種取りをしてみようということで、大きくしています。
ただし、ハクサイは他家受粉の野菜なので、うまく受粉させて、同じ種を保つというのは、結構やっかいそうです。
他家受粉とは、「1つの植物の花粉が、異なる株のめしべについて受粉すること」です。植物全体として自家受粉よりも他家受粉が多く、その理由として遺伝的多様性を維持するためといわれています。
「他家受粉とは~自家受粉に対するメリットと受粉システムの具体例」
詳しくは、こちらの記事に出ていますが、要は、他の株の花粉を受粉させないときちんと種ができないのです。
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今回は、そこまできちんとした管理をしていないので、ちゃんと種ができるか分かりません。しかし、何も管理しないでできたハクサイの種がどうなるのか、ちょっと実験レベルで試しています。
今年、採種できたら蒔いてみたいです。
さておき、稲の種まきが中止になって、ビニールハウスに行った私に与えられたミッションは・・・プール育苗の準備です。
プール育苗???はい、プール育苗とはコレです。
「プール育苗」とは、育苗ハウス内にビニール等で簡易なプールをつくり、そこに育苗箱を並べて湛水状態で育苗する技術です。
出芽・緑化までは通常の育苗管理を行い緑化終了後から湛水します。湛水以降は毎日のかん水やハウスの開け閉めの手間がなくなるので、育苗が大幅に省力化できます。
「水稲プール育苗のポイント」より引用
要するにビニールハウス内にプールを作って、そのなかで稲の育苗をするのです。
富士河口湖農園では、毎年、プール育苗をしているので、ビニールハウス内は、よく見てみると周りに木枠があって、その痕跡が確認できます。
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ビニールが敷いてある向こう側に、いろいろ植わっているので、まずはそれをきれいにするのが、私のミッションです。
ということで、仕事しました。
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割とこれだけでも、私的には頑張った方です。
うん、よくできた!
自分なりには満足です。
ところが外が雨で、ビニールハウスまでは送ってもらったので、なかなか移動できない・・・しばらくビニールハウス内で待機です。
すると、目の前がこんな感じなわけです。
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うーん・・・このビニールも外して、平らにした方がいいんだろうな?
念のため、農業リーダー・軍曹殿に電話で確認してみたところ、やはりビニール外しちゃったほうがいいとのこと・・・で、やったりました。
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竹内、すげぇー。
完全に自画自賛です。
いや、大したことないようにみえるでしょうけど、結構バカでかいビニールなんです。しかも、そのビニールのうえには、いろんなものが乗ってたんです。なので、このビニールを剥がして、その下をそこそこにきれいにするのも、割と手間がかかるわけです。
ということこで、こんなふうになりました。
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お見事!!
なんかプール育苗ができそうな雰囲気です。
ただし、プール育苗をするにあたって、一番大変なのが、木枠のなかの部分を水平にすることです。プール内がきちんと水平になっていないと、水に浸かりすぎる苗、水が行き渡らない苗ができてしまいます。それを防ぐために、木枠のなかが、均等に水が行き渡るよう水平に保たれてないといけないわけです。
一通りの作業が終わったところで、軍曹殿に合流いただき、水平かどうかを確認するためのひとつの方法を教えていただきました。
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この木材が曲がっているかもしれないので、これはあくまでも測定方法を説明するためのものですが、こういう計測器(水平器)で水平かどうかを測るのだそうです。
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水の中に空気が入っていて、その空気の位置で、水平かどうかを見分けます。この場合、少し右側が高くなっているということになります。
その後、軍曹殿が持ち出してきたのが、レーザー測定器です。レベラーというのでしょうか?
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これで水平を出せるはずなのですが、ちょっと明るい室外でやるには、レーザー光が弱すぎて難しそうでした。
いろいろ試したものの、このレーザーレベラーで木枠の隅から隅まで確認するのは、厳しそうなので、私も皆さんに貢献すべく、少し頭を使ってみました。
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真っすぐな鉄のパイプに、水平器を置いてみたらどうでしょう?
私なりには、結構、ナイスアイディアのように思いました。
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しかしこれだと、パイプが短すぎて、隅から隅までの水平を測ることができません。
ということで、最終的に出てきたのは、コレでした。
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木枠内の端から端を糸で張り、それを水平器で水平に合わせて、その糸を目安にして、土をならしていくという作業にしました。
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これだと「作業をしてから測定、また作業をしてから測定」ではなくて、水平に張られている糸を目安に、そこを目指して作業をすればいいので、かなり楽に作業ができるように思いました。
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ということで、最終的な仕上がりはこんな感じです。
軍曹殿は、毎年、いろいろなやり方を試されているそうです。今年のこれはどうでしょうね・・・。
実はこの日、ちょっと違う方法についても話しあったので、来年はまた違う方法でならしていくかもしれません。
ともあれ、これでプール育苗の下準備は完了です。
あとはここにビニールを敷いて、水を張って、育苗トレイを持ってくるということになるそうです。
いろいろ楽しみではありますが、育苗プールが水平になっているか、当面はそれが気になってしまいそうです。