【1000字小説】「わたし、流行らない彼氏を一台持ってるの。」
「わたし、流行らない彼氏を一台持ってるの。」
その子がまるで、家電のように彼氏のことを言うから、ぼくはおどろいてしまった。
「そんな、そんなこと……、どういうところが、流行らないの?」
「それはね。」
その子は、うすく笑った。
「いちばんはね、考えてることがね、古いの。オトコははたらいて、オンナは家庭で子どもを育てるって、本気で思っているの。しかもそれが、わたしを安心させるための嘘じゃないのよ。」
こりゃ、だめだなあ。
あっさりぼくは白旗をあげる。
彼氏とやらがいるらしいこ