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浅井康宏 漆芸展 情熱−Passion−

西武池袋本店6F美術画廊にて、2021年11月18日〜22日開催。

デパートの美術画廊と言えば、高級腕時計などと同じ庶民には立ち入りづらい一角にあり、正直来る人も多くないイメージですが、浅井さんの個展は次から次に人が訪れ、展示作品は完売。

浅井さんは普段からSNSで発信したり、制作の様子をライブ配信したり、クラウドファンディングで支援を募るなど、応援する人を増やす活動を続けています。誰でも手の届くような商品で制作そのものを小型化し切り売りするのではなく、小さな支援が本格的な作品制作を支え、そのことがまた支援者の喜びとなるような、そんな仕掛けを作ることを意図されているのかもしれません。そうした活動が、個展の盛況にも繋がっているのでしょう。

会場にチームラボ風(?)なイメージビデオや制作のドキュメンタリービデオが流されていたのも、ユニークな演出でした。

せっかく撮影可、拡散上等とのことだったので、作品をご紹介しましょう。まず、この記事のタイトル画像は「蒔絵螺鈿高坏『一番星』」。ぜひ下からも、とスタッフの方に言われて見てみると、一番星の光がこぼれて器の底に溜まっていました。

「蒔絵玳瑁螺鈿四方盆」。鮮やかで温かみのあるオレンジ色の輝きが素晴らしい。

「蒔絵螺鈿舟形香合『宝相華』」。漆黒に浮かぶ、かたちとひかりが本当に神秘的です。

「蒔絵螺鈿香炉『四蝶』」。端正な文様の中で、形を崩し滴り落ちる蝶。こうした現代的な意匠を見ると、工藝アートだなあと思います。

「蒔絵螺鈿箱」。雪の結晶のような幾何学文様が連なっているけれども、決して単調な繰り返しではなく、色合いや濃淡のリズムがある。僕は今回の出展作品の中ではこれが一番好きでした。

しかし、今回の個展の目玉はこちら「蒔絵螺鈿箱『軌跡』」。制作に5年をかけたという、まさに工芸作家としての軌跡を示す作品なのでしょう。技を尽くした豪華さ・贅沢さを感じます。

漆芸の魅力を堪能できる個展でした。

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