No,96.EQから社会の泳ぎ方講座(そんなものは果たしてあるのか?)
自分の気持ちを抑えたり、自分の今の気持ちを理解したりたりする大切さについてつらつらと書いてみる。
今更ながらアベプラでも放送してました🙃
背景
運転中に急に割り込みをされた時を思い浮かべてみてください。すぐに感情的(怒り)になる人と、ならない人がいるのは何故だろう?
それは感情的になった後にすぐに怒りを表すの人と、自分の感情(怒り)を察したり、感情(怒り)の意味を理解したり、感情(怒り)を抑えたりする人の違いです。
心理学では、この能力を情動知能(EL:emotional intelligence)と言われる。
情動知能(EL:emotional intelligence)については、1995年に心理学博士のダニエル・ゴールマン(Daniel Goleman)「Emotional Intelligence(邦訳『EQ こころの知能指数』講談社、1996年)」の著書が全世界で500万部も売れた有名な本です。
情動知能
一般的には、知能といったら知能指数(IQ:Intelligence Quotient)を思い浮かべるだろう。
そこで知能指数と情動知能の違いについて説明します。
知能指数(IQ)とは、知的な能力(読解力・計算力・理解力)のことで、
情動知能(EL)は、自分の感情に対する能力で、知能の一種のことです。
※以下、情動知能をELと表記していきます
情動知能の定義
つまり、自分や他人の感情や変化について察する能力が高くその変化を認識して理解すると同時に、感情を抑えたりする能力のことです。
頭が良くても空気が読めない人っていますが、もしかしたらIQは高いけどELは低い可能性があります。
では、ELが高い人ってどんな人なんだろう?
情動知能(EL)が高い人の特徴
① 性格について
② 生活面について
③ 仕事について
を先行研究をもとに紹介します。
① 性格編(Big Fiveとの相関)
● 社交的な人ほど、EL(一時的な感情を抑えることが出来る)が高いと言われる。
「社交的な人っていつも楽しそうにしているし、嫌な顔やふてくされたりしない人が多い。これって嫌なことや気に入らないことを感じないのではなく、そういった気持を抑えているんだね」
● 不安や心配を感じにくい人ほど、EL(一時的な感情を抑えることや感情を察する)が高いと言われる。
「不安な理由の要因を深く理解することで、そういった感情を一時的に抑えるからこそ不安になりにくいのかもしれないね」
● 独創的で多彩な人ほど、EL(感情を察する能力や感情の理由を理解する)が高いと言われる。
「独創的な人って、自分自身を含めて周りに対してもステレオタイプで物事を見ていないというか、自分の感じ方や周りの些細なことに対しても違いを見つけやすいので、結果的に独創的な考え方や見方が出来るのかもしれないね」
まさに「芸術は爆発だ!」by岡本太郎の世界観です。
これらをまとめると、ELの高い人は「社交的で明るく、情緒が安定していて、尚且つ多才で独創的」な性格ってことです。
② 生活満足度
● ELの高い人は、生活満足度が高いらしいです(Mayer, Caruso, & Salovey 、1999) 。
「確かにELが高いと平穏に過ごせるけど、反対に自分の感情に対してコントロールできないと、いろんな面(お金や人間関係、恋愛など)でトラブルに見舞われる可能性が高いよね」
③ 仕事面
ELの高い人は、仕事で成果を出す人が多いらしいです(Wong & Law 、2002)。
「考えなくても、そりゃそうだよね。ましてや仕事って、自分のためじゃなく(仕事=お金とすれば、あくまでも2次的なことって意味です)、社会や人のために尽力するからこそお金がもらえるのに、自分や他人の感情を敏感に感じ取ることができないと成果は出せないよね」
まとめ
知能指数(IQ)と情動知能(EL)について考えると、「※1一流大学出身だけど社会に通用しない」とか聞くことがある。数的には、※2活躍している人の方が多い(学歴と年収の相関を見ればわかる)ので、単に目立つだけだろう。
※1.学歴とIQ(知能指数)には相関がある
※2.活躍=年収はあくまでの一例です
そう考えると、たとえ一流大学を出てなくても社会で活躍するには、情動知能(EL)を高めことが最良の方法(勝つ)かもしれない。
では、どうやったら高めるの?ってすぐに他人から答えを求めたいところだけど、先ずは「どうやって高まるのか?」と自分自身で真剣に考えることが重要ではなかろうか?
最後に、「情動知能が子どもを伸ばすシンポジウム」で原田(2020)はこう述べている。
大人になった段階では情動知能を高めることは容易ではないけど、先ずは「ちゃんと話を聞く」ことから始めるしかないだろう。もちろん自分を含めて(-。-)y-゜゜゜
最後まで読んでいただきありがとうございます( *´艸`)
引用文献
Law, K. S, Wong, C. S., & Song, L. J. (2004) The construct and criterion validity of emotional intelligence and its potential utility for management studies. Journal of Applied Psychology, 89, 483-496
松村京子・原田亮・一色伸夫(2010)第65回公開シンポジウム「情動知能が子どもを伸ばす」
Mayer, J. D., Caruso, D. R., & Salovey, P. (1999) Emotional intelligence meets traditional standards for an intelligence. Intelligence, 27, 267–298.
野崎優樹(2012)「自己領域と他者領域の区分に基づいたレジリエンス及びストレス経験からの成長と情動知能の関連」『パーソナリティ研究』第20巻、第3号、pp179‐192
Wong, C. S., & Law, K. S. (2002). The effects of leader and follower emotional intelligence on performance and attitude: An exploratory study. The Leadership Quarterly,13, 243–274.
山本真理子・ 松井豊・山成由紀子(1982)「認知された自己の諸側面の構造」『教育心理学研究』第30巻、第1号、pp 64-68
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