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幕開け企画の誕生ーYouTubeチャンネル【ロッキミマス】の誕生その2

喫茶らんぶる

 その日の会合の場所として指定されたのは、新宿にある「喫茶らんぶる」だった。古めかしい店内は1階が営業しておらず、地下1階がフロアとなっている。昭和レトロの代表格のような高級感漂う内装で、中央階段の造形と敷き詰められた絨毯がいかにも映え《ばえ》スポットの様相を呈している。

 場違いな居心地の悪さを感じながら、フロアの隅で会議は始まった。集まったのはあの日いたメンバー、芸人側の発起人・柴助ロボ(当時ザ・ダッチライフ)、映像クリエイター佐藤亮、音楽制作ができる第1セバスチャン、仕事中毒のお笑い好き ごめんなさき、そして作家になりたい私《わたくし》与太ガラス、に加えて一般コースの”笑い屋”千葉家藤三郎がいた。

 YouTubeチャンネルを作るという前提はなんとなく決まっていたから、主な議題はチャンネルコンセプトとどんな企画をやるか、いつ収録を始められるか、そしてチャンネル名だ。

チャンネルコンセプト

 制作サイドは一般コースでというのは前提としてあったが、私の頭の中では、出演するのは一般コース・芸人コースごちゃまぜでいいのではないかと思っていた。(タイタンの学校の一般コースについては、私の過去の記事を参照してください)なぜなら、一般コースにも「出たがり」がたくさんいたし、せっかくタイタンの学校という特殊な空間で出会った縁なのだから、そのつながりを使わないのはもったいないと思っていたからだ。

 もちろんWEB上に顔を出すわけだから、本人の了解は必要で、それほど人数は集まらないだろうと思っていた。それでも企画の幅を広げられるし、普通の人が芸人と対等に活躍する画面は他にはない強みになるとも思った。

 他のメンバーも同じように思っていて、このコンセプトは採用となった。そして全体のコンセプトは「タイタンの学校6期卒業生の成長を見守るチャンネル」となる。

 お笑い養成所を出たばかりの芸歴1年目のYouTube。いきなり爆発的な面白さのものは撮れないし、一般コースも一緒に出る。もちろん撮る側も素人だ。映像も音声もプロが撮るものには遠く及ばない。ならばはじめから「成長」をコンセプトに入れてしまおう。それは昨今盛り上がりを見せる「推し活」にもつながる。いわゆる芸人の青田買い需要だ。

 チャンネルコンセプトの議論はこのあともメンバー内で何度もすることになる。企画がコンセプトと合っているか、プロモーションの仕方は間違っていないか、かなりの時間を掛けているがここに書いた部分は今も大きく変わっていない。

企画の選定

 修了式の夜から一週間、私は大量の企画案を書きためて、この日の会議に持ち込んだ。詳細を書き込んだものから一行のタイトルだけのものまで合わせれば40個ぐらいは書いたと思う。しかし手持ちの機材で実現可能なものはそうたくさんあるわけでもなく、屋外やロケが前提のものは外された。

 芸人が中心なので、笑いを起こすことは前提だが、いきなり大喜利をやっても経験が少ない分、見られるものになるとは限らない。私は大喜利系を強く推したが、最初の収録では笑いがなくても見ていられるゲーム系の企画をやることになった。

 かくして最初の企画は「語感deゲーム!かなカナどっちカナ?」と「心を合わせて!お星さまは?キラキラ!ゲーム」に決定する。

 記念すべき第一回動画の企画は「かなカナどっちカナ?」となった。

 TBSラジオ「爆笑問題カーボーイ」のヘビーリスナーなら「かなカナどっちカナ?」のタイトルを記憶している方がおられるかもしれない。これはあの番組の「ウーパンゲーム」のコーナーで昨年(2023年)採用されたネタゲームだが、それをパクったわけではなく、私が考えてメールを送ったゲームだったのだ。

 「カーボーイ」のヘビーリスナーである私は、このコーナー向けにゲームを多数作っていたので、その経験がこんなところに生きたわけだ。もうひとつの「お星さまは?キラキラ!ゲーム」も投稿してボツになったネタだった。


 この日の会議はまだしばらく続くが、ごめんなさきはその間じゅう膝の上に乗せたノートパソコンで、ここまでの取り止めのない議論をWordで美しい議事録に仕上げていた。

その3につづく

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