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メンバー紹介企画「パーソナルクイズ」の誕生ーYouTubeチャンネル【ロッキミマス】の誕生 その9

無名の芸人たち

 誰も知らない一年目のお笑い芸人のYouTube。誰に向けてやるにしても、どんな人なのかがわからないとチャンネル登録をする気にもならないだろう。当初から芸人の自己紹介に代わる企画を考えていた。

 私が初めに出した案は、その芸人の代表的なネタを見せて、その後にMC役の他の芸人からのインタビューという形式でトークをするような企画だった。ミーティングの中でこれはボツになるのだが、まずネタを見せるという部分について否定的な意見が出た。

 参加している芸人たちはそれぞれYouTubeチャンネルを持っていて、芸人固有の知的財産であるネタを上げるなら個人チャンネルだろうという意見や、ネタはやっぱりライブに来てもらって見てもらうのが一番だという意見があった。トークの部分についてもただインタビューを流すのでは面白みがないだろうという話になった。

メンバー紹介企画の誕生

 ミーティングで様々な意見が出る中で、芸人のキャラクターや特徴をわかりやすく伝えるような企画という方向性が出てきた。前回紹介した藍色さんからもいろいろな意見をもらった。質問の内容を凝って「好きな漢字1文字は?」とか「5番目に得意な科目は?」とかでボケしろを用意するなどの例が挙げられた。

 そこからさらに練っていってようやく「コレだ!」と決定したのが『3位を当てろ!パーソナルクイズ!』だ。

各メンバーの好きなものがわかる質問を出題し、それに答えてもらう企画です。メンバーの1人をターゲットに見立てて、そのターゲットが答えそうな回答を、他のメンバーが当てるゲームです。
ただしメンバーが当てるのは3位です。ターゲットの方は1位から3位までを書いて、先に1位と2位を発表してください。それを踏まえてみなさんが3位を当てるという流れです。

「3位を当てろ!パーソナルクイズ!」進行台本より

 最終的にターゲット以外のメンバーが回答を当てるクイズ形式に落ち着いた。「好きな〇〇」の1位と2位を聞いた上で3位を当てるという流れには1位が定番すぎたら簡単に当たってしまうということと、3位なら回答者側にボケしろが用意できるという思惑があった。当てに行ってもいいし、ボケても不自然ではないという自由度を設定することで、そこに向かう姿勢から芸人たちのキャラクターが引き出せるのではないかと思ったのだ。

お題から個性を引き出す

 質問内容(お題)は基本的に出演者のプロフィールから引っ張ってきている。それは芸人側が話しやすい内容をベースに企画を組み立てるべきと考えたからだ。ただ、もっと話が膨らみそうな題材があれば考えてきてOKと芸人に伝えてあり、本番直前でお題を変えることもある。本人にしか知り得ない話や芸人同士のエピソードなどが出てくると、そこにライブ感が生まれて盛り上がるきっかけになる。

 それが生きたのが「パーソナルクイズ3の前編・後編」だ。この回は、MCをウキビシャ大作戦のジンイチロウクボが担当し、お玉子のゆで、藤元達弥、グコウケン2の藪田ザリガニ、義江しょうゆが回答者として出演している。

 前編のお玉子ゆでのお題が「弁護士芸人藤元達弥におごられてうれしかったものベスト3」だった。自分のターンに他の芸人の紹介をするというのがゆでの憎いところだが、彼の場合は自己紹介よりも自分のトークスキルに重きを置いているとみることもできる。そして一緒に出演している藤元達弥を面白くしようという二人の関係性も垣間見られる。

 そして後編は藪田ザリガニが得意とする「一発ギャグ」に特化したお題と義江しょうゆの「もらった誕生日プレゼント」という、強烈にパーソナルなお題が並んだ。そしてこの動画が(我々のチャンネルの中では)稀に見るヒット作となっている。

好きなことのトークは尽きない・・・

 紹介すべき芸人が多すぎるという理由もあるが、パーソナルクイズは現時点で最も公開本数が多い動画となっている。この企画の問題点は、好きなものを話し始めると歯止めが効かなくなって、収録時間が長くなる点だ。一回の収録が40分を超えることもあり、編集でカットするのがとにかく手間なのだ。だから最近は無理せず前後編に分けることで、なんとか15分以内に収めている。

 この企画での発見は、好きなものを語っている姿を見るのは誰であっても面白い、ということだ。しかもそれは、自分が全く知らない分野のことだとなお楽しい。こういった企画はこれからも増やしていきたい。

 知らないことを知る喜びを、ぜひ直近の動画でチェックして見てほしい。謎多き芸人EIJUがニッチな世界について語っている。


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