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ミマスくんの誕生ーYouTubeチャンネル【ロッキミマス】の誕生その4

まだここは珈琲らんぶる

 珈琲らんぶるでの会議は既に3時間が経過していた。何をどこまで決めるかも明確にしていなかったので、話はあっちへこっちへ飛び跳ねていた。800円のアイスコーヒーも氷が溶けてほぼ水になっている。

リハーサル日程

 芸人たちにオファーをする前に、本当に企画が動画として成立するのか、自分たちがどういうものを撮りたいか、をプレゼンする素材を作ろうという話が出た。制作陣だけで盛り上がっていても、芸人側が賛同してくれるかもわからない。ということで、やると決めた企画をリハーサルとしてスタッフだけで撮ってみることになった。

 このあたりはみんな慎重になっていて、リハーサルで企画の良し悪しと段取りを確認して、さらに「パイロット版撮影」の日程を取り、芸人を少人数集めて、芸人全体に見せるプレゼン動画を撮ることになった。

 6期生全体のチャンネルというコンセプトを取っているだけに、合意を形成してからスタートしたいという思いが制作陣の中にあった。

 リハーサルは早い方がいいということで、4月27日に決まる。この会議から約2週間後。私はそれまでに2つの企画を台本の形に仕上げる仕事ができた。そしてパイロット版撮影は5月12日とした。修了式の日からは考えもしなかった予定が次々に埋まっていく。

ミマスくんの誕生

「ミマスくんって良くない?」

 という ごめんなさき の一言から、一同は公式キャラクターの話で盛り上がり始める。

「このミマスくんがチャンネル概要を説明するとか、ツッコミを入れていくとかありじゃん」

「なんかパペットにしてしゃべらせるとか面白そう」

「パペットなら顔出しできない人もそれに声当てれば良くなるよね」

 妄想はどんどん膨らんでいく。なんで誰も止めなかったんだ。私はこの日の議事録を確認して、ミマスくんパペット→ヤマめだかさん作成 と書いてあって目がテンになった。キャラクターの姿形もない状態で、パペットを誰が作るかまで決定している。暴走もはなはだしい。

 やはり数日と経たないうちに、LINEのグループチャットにクリエイター佐藤亮からキャラクター原案が送られてくる。

ミマスくんキャラクター原案(佐藤亮)
ミマスくん色付き修正案(佐藤亮)

 いい加減にしてほしい。とんでもないクリエイター集団の中に迷い込んでしまった。これがプロの仕事かぁ、と感慨に浸る間もなく、チャット上で話はどんどん進んでいく。

「ヤマめだかさん、この感じのキャラクターでパペット作れる?」

 ごめんなさき の突破力。

 既にLINEグループに追加されていた6期のファビ姉(ねえ)ことヤマめだかさんに作成を依頼していた。

パペットの誕生

 ヤマめだかはタイタンの学校在学中に手に入れた動画編集技術を使い【ファビちゃんねる】を運営する普通の主婦だ。しかし先日アップした「新ファービー&ファーブレッツの開封動画」が2.3万再生とバズっている。6期のYouTubeでは出世頭である。

 パペットの話を聞いたヤマめだかは、もっと適任者がいると言って新たな人間を召喚する。

 それが6期のファッションリーダー、フクダカオリ。だった。洗練されたファッションで教室を明るくする元気印。学校が好きになりすぎて、7期も一般コースに通っているらしい。この方も「人のため」になると とにかく動きが早い。イベントごとのお花の手配やら打ち上げ会場やら、在学中は助けられてばかりだった。今回も話が行くと、二つ返事でクラフトを始めた。

「ぜんぜん、急がなくて大丈夫です。パイロット版の撮影もまだ先なので」

 というメッセージが聞こえたのかはわからない。

ん?
へ?
は?

 できてる!

「全然ぜんぜん!いろいろ失敗しちゃったから、今回は間に合わせってことで!また今度、ちゃんとしたの作るから!」

 フクダカオリ。はこう語った。

 ちゃんと指を入れて手と首が動くようになっている。初回の収録からこのパペットはたくさん活躍してくれたし、佐藤亮の手になるキャラクターイラストは増え続け、編集素材として大変重宝している。

 かくしてロッキミマスは、映像もなく、台本もなく、出演者も決まっていない時点から、公式キャラクターとそのパペットが存在するという異例のYouTubeチャンネルとなった。

 私自身の雑感としては、フリーランスになる決意の一端として、自分にできないことは人に頼っていいんだ、ということを明確に認識する契機になった。頼ることを全肯定できる仲間に出会えたのが、このチャンネルに参加した一番の成果かもしれない。

その5へつづく。

 ついでにミマスくんがたくさん活躍する動画をどうぞ。

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