『みやぎ海と森の交流会』でISOPの活動を紹介しました
2023年2月7日、『みやぎ海と森の交流会』が、石巻市総合運動公園近くのマルホンまきあーとテラス 小ホール(宮城県石巻市開成)で開催されました。
この交流会は、2021年度に宮城県で行われた『第40回 全国豊かな海づくり大会〜食材王国みやぎ大会〜』で共有した意思を受け継ぐ、『未来へつなぐ豊かな海づくりPROJECT』として、宮城県主催で2022年度から始まった新たな取り組みです。
交流会を通じて、海と森がつながるさまざまな活動事例を共有し、水産林産資源の保護と環境保全の大切さを発信、次世代に継承するよう継続的に開催されます。
「ISOP(=Ishinomaki Save the Ocean Project)」からは、フクダ海洋企画の福田介人とフィッシャーマン・ジャパンの香川 幹の二人がパネリストとして登壇。会場に詰めかけた約120人の前で緊張しながらも、ISOPが行なってきた海藻増殖に向けた取り組みのウニ駆除や海中造林、ブルーカーボン事業と連携した種苗生産、ISOPの活動を持続可能な取り組みにするためのウニの移植や密度管理、蓄養実験の挑戦のほか、ダイバーの育成や子どもたちを対象に行なっている漁業体験会の活動事例を紹介しました。
水産関係では、宮城県漁業協同組合七ヶ浜支所課長の鈴木祥も登壇。子どもたちや女性など地域の人も巻き込んだ取り組みを紹介しました。資源を守るために行なっている栽培漁業や資源管理。地元の水産物を利用したさばき方教室や料理教室で魚食普及活動。さらに、健康食品として注目度も高まっている海藻・ダルスの商品化など、七ヶ浜で行われているさまざまな活動事例をお聞きしました。
鈴木課長は、「何事にも積極的な取り組む姿勢が大事。魚食普及にも貢献する取り組みを通して、七ヶ浜の魚を買いたい、食べたいと関心が高まれば」と期待を込めていました。
この交流会は海と森の交流会なので、あまり知る機会の少なかった林産関係の話もお聞きでき、とても参考になりました。
南三陸町で江戸時代から林業に携わっている(株)左久の大渕香菜子企画研究課長は、森を育てることを体験に変える育林プロジェクトや砂浜を生息地としている海浜植物群生の再生など、左久が行なっている活動を紹介。責任ある森林経営を促す「森林管理協議会(FSC)認証」に触れ、「森を適切に管理することが、上流や流域を守ることにつながる。森に親しむ人が増えてくれば、山の保全環境をしたいという広がりができ、そこから宮城の森林、日本の森林もよくなっていく、サイクルをつくる活動をしている」と話しました。
また、わたりグリーンベルトプロジェクト代表理事の東聖史さんは、東日本大震災で被災した亘理町吉田東部地区海岸林の防波林育成プロジェクトの事例を報告。わたりグリーンベルトプロジェクト森づくりでは2015年に植樹を開始。2020年に植栽木の生育状況調査を行い、植生に合わせて区画分けをして管理と利活用を行なっています。ほかにも、海岸林と周辺環境の自然観察会や砂浜の生き物調査、砂浜清掃を行っています。
「海岸林や砂浜を中心とした沿岸部の自然は、実に多様な要素で構成されています。その一つひとつが、沿岸地域における人と暮らしを支える生態系サービスです。海岸林再生はあくまでも持続可能な地域を作っていくための手段。地域の自然と歴史を基盤とした持続可能な森づくりと地域づくりを定着させ根付かせることが、復興や自然再生だと考えています」
各地域の事例報告を受けたパネリストの感想
さいごに
会場で聴講した高校生は、「海が汚染され山も厳しい状況にあるのは知っているけれど、自分に今できることははっきり言ってよくわかりません。高校生の私たちができることを、交流会で考えてみたいなと思いました」と話し、会場の参加者の多くが交流会の意義を再確認できました。
ヤフーの長谷川琢也さんは自身の経験を踏まえ、「世界の流れはSDGsやESGに向いていましたが、ようやく日本でも国全体で、さまざまな事業やリソース動き出しています。いかに活動の情報を発信をして企業側を振り向かせ、コミットさせるか。さまざまな取り組みを行っている皆さんにとっては、ある意味チャンスだと思います」。
最後に、ファシリテーターを務められた東北大学木島明博名誉教授は、「山と海は連携していくことが大事。継続していくことで深まりができてきます。若い人だけでなく、市民や県民が興味を持ち、継続していくことで花ひらく時がくるのではないかと感じています。今回の交流会では、水産業と林業、お互いに感じあえ、連携をしていきたいという話もありました。そこだけでも交流会は成功したのではないかと思う」と総括。第一回「みやぎ海と森の交流会」は盛況のうちに終わりました。