ウニも海藻もいなくなった!? 磯焼け対策をしている海域のモニタリング調査を実施しました。
今年の夏、1ヶ月もの間、海水温が30℃前後で推移しました。例年の水温と比べて異常に高く、海の生き物にも大きな影響を及ぼしています。
その一つがウニや海藻がいなくなってしまったこと。ISOP(※)では、アラメ(海藻の一種)を増やそうとウニ駆除や海中造林に取り組んでいましたが、海水温の上昇を受けて、アラメが減るだけでなく、海藻を減らす要因と考えられていたウニまでも減ってしまったのです。
その真相を突き詰めるべく、一緒にISOPに取り組むフクダ海洋企画の福田介人さんと石巻専修大学の玉置先生が潜水調査を行いました。かつてアラメの群落が見られた3海域では、海藻がまだ繁茂しているのか、ウニは生息しているのか。その様子をレポートします。
ポイント①
この海域では、地域からの要望もあり、数量を制限しながらウニをまいていました。ウニと海藻の状況を確認します。
ウニもトゲが抜けて死んでしまっています。
アラメも根腐れを起こして死んでしまっています。
アラメがいないかわりに、トゲモクが繁茂してました。トゲモクが多い場所では、アラメは生えにくいとのこと。
ポイント②
アラメの群落が見られた場所でした。
石の上には泥が溜まっていました。手で少し払うと、泥が舞い上がるほどだったそうです。泥が溜まると海藻が付着できず、増やすことができません。雨が降り、土砂が流れ込んだ可能性もありますが、今後も観察を続けていく必要がありそうです。
ポイント③
アラメのほか、ワカメ、アオサ、モク類が多い海域です。ここでもアラメは観察できません。根腐れを起こしているアラメがほとんどでした。
マクサが点在していたり、南方の魚が見られました。キュウセンなど死滅回遊魚と言われるものが多く生息しているようです。
おわりに
「ここまでウニが死んでいるのは初めて見た」
3海域でのモニタリングを終え、そうつぶやいた玉置先生。
漁師さんにも話を聞いてみると、死んでしまっているのは、ウニだけではありませんでした。牡蠣も、ウニも、ホヤも、ホタテも。海水温の上昇は、海の生き物全てに影響を及ぼしているのです。
ISOPとして、海藻の回復状況を観察し続けていきたいと思います。マクサが残っている場所では、アラメが回復する可能性があると玉置先生も話しています。
今回観察した場所以外に、海藻がどれくらい生存しているのか。今後も計測を継続していきます。
ISOPでは、今後も磯焼け対策の取り組みを続け、情報を発信していきます。
海の多様性を守るために、わたしたちに何ができるのか?これからも伝えていきます。
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