vol.6 「治す」ことの諸相【1】 ーーがん治療を専門とする腫瘍内科医の場合
動き出す心臓、歩き出す患者
現在がんの化学療法を専門とする腫瘍内科医の佐々木が、研修医として循環器科に配属されたある日の早朝、心停止の患者が救急隊に心臓マッサージをされながら病棟に運び込まれた。
電気ショック(1)をかけると、幸運にも一発で脈は戻り、心電図の波形は明らかな心筋梗塞を示していたため、患者はすぐさまカテーテル処置室に運び込まれた。カテーテル処置中に意識は回復、患者はしばらくICU(集中治療室)で治療を受けたのち、自分の足で歩いて退院した。
佐々木はこのエピソードを回想し、もしあのとき、専門を腫瘍内科と決めていなければ、救急医になることを決意したかもしれないと話す。
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