「辛くなったらこの箱を開けなさい」―先輩人類学者は後輩に何を託したのか?
オレゴン州立大学で私が文化人類学を学び始めたころ、スリリングなレクチャーで学生から大人気の教員、Dr. Snil Khannaが、こんな逸話を話してくれた。
フィールドワークに初めて出る院生に、既にフィールドワークを終えた友人・教員たちがひとつの箱を手渡した。
「フィールドワークが辛くて仕方なくなったらこの箱を開けなさい。でもそうなるまでは絶対に空けちゃだめだよ」
彼女は、もらった箱をスーツケースの底に大事にしまい、アメリカから遠く離れた異国の地に、フィールドワークに旅