枕の数を数えたら、人類学者に褒められた―<世界>は細部に宿るから
2008年の夏、ラオス。
「私たちが行った家には、枕が23個ありました」
夏季集中授業で、現地の文化を知るために、ラオスの農家を訪ねた学生のグループが、大真面目な顔でこう言った。
それを聞いた引率の西村正雄先生(文化人類学者)が、応じる。「それはいいところに目を付けた。そういうところが大事なんです!」。
手放しの絶賛である。
え......そこ?
と人はふつう思うかもしれない。でも、文化人類学はまさに「そこ」を見る学問だ。
フィールドトリップのアシスタント