みんユルクロニクル#13 『思索と構築Ⅲ:冒険者たち』
※前回までのお話はこちら。みんユルクロニクル#12 『思索と構築Ⅱ:編集者と演出家の対話』
もしかすると、意外とお気づきの方は少ないかもしれないが、みんユルでは参加者の映像と名前が紐づかないように徹底的に配慮している。著名人であるゆりかるさんや、攻劇さんのような特殊なケースを除いて、画面上に映っている人物がどなたなのかを結びつける手がかりを作らないようにかなり気を使って制作を行っていた。
これは応募期間中に、参加希望者の方から挙がった、顔と名前が一致してしまうのは不安だ、という意見に配慮してのことだ。顔出しするかどうかは参加者一人一人の判断にお任せしていたが、機密保持誓約書などがあるわけではなく、すべてはサポーター同士の信頼に基づくものでしかない。
だからこそ、スタッフサイドでは個人情報保護に関しては、著作権を侵害しないことと同じく、かなり細やかに気遣いをしていた。これは本当にスタッフ全員の共通認識として徹底されていたと思う。
それは二次使用についても同様だ。参加者の皆さんは、このプロジェクトを信頼して映像を送ってくれているのだから、完成した作品も我々の著作物として自由に扱うことはできない。応援番組、F.C.TOKYO COLORSで放送したい、というお話を頂いた時も、参加した方全員にメッセージを送らせていただいた。
みんクロを書くにあたり、正直一番迷ったのが参加者の皆さんについてどこまで突っ込んで書くかどうか、ということだ。時系列的に、この日は本格的に編集が始まる日。当然のことながら、本篇に登場しなかったけど本当はこの人、こんなことしてくれていた最高だった!みたいな裏話もやろうと思えば無限に語ることが出来る。
だがしかし、色々と考慮した結果、やはりプライバシーに配慮し、本篇中に使用しなかった部分に触れるのはやめにしようと思う。皆さんはみんユル本篇のために撮影してくれたのであって、みんクロのためではないのだから。
今回のみんクロでは、本篇に使用した部分についてのみ書いて行くことにします。実は、元々みんクロを始めようかな、と思った理由のひとつは、公開翌日に書いたこのツイートをもうちょっと詳しく書きたいと思ったことがきっかけだったりするのです。ここまで来るのに3ヶ月もかかってしまったのは、ひとえにおれの整理能力の低さと元来の怠け癖によるものです。
思索のおわり 構築のはじまり
2020年5月29日 金曜日-30日 土曜日
いよいよ今日は一気に編集を組み立てる日だ。昨日の作業により、Premiereのタイムラインには148レイヤーという、あまり見かけない量の素材が並んだ状態になっている。準備は万端。おれは多少かかり気味で渋谷へと向かった。
普段、こういった作業の場合、おれのやり方ではまず「どうやって始めるか」と「どうやって終わるか」つまりは、オープニングとエンディングを軸に考えることが多い。ちーかまさんのアレンジはピアノとストリングス、グロッケンシュピールで静かな予兆のように始まり、次にフルオーケストラで壮大に盛り上がる、という二段構えのオープニングになっている。この部分に関しては、昨日エディターと会話した通り、まだベストの始まり方を決めかねていた。…というより全然思いついていなかった。
一方、エンディングは途中でテンポアップした状態のまま、盛り上がりの後でクライマックスを迎え、リットしてジャン!とキレよく終わるアレンジとなっている。映像を見終わった時の読後感として、このジャン!をいかに気持ちよく終われるかが重要だ、と思っていた。ここに関しては、曲のキレの良さを最大限に生かすために、ジャン!に合わせて映像が黒に落ち、カットでoomiさんのみんユルロゴが出る、という終わり方を考えていた。まずは、このカタルシスに向かって全体を設計することになる。
オープニングは保留のままだったが、ひとまずは歌始まりから構成を作って行くことにする。さて、誰から歌い始めようか?
ここからは、序盤の編集について、少し細かく解説していこう。
※最初に言っておきたいのですが、送っていただいた映像に優劣はありません。繰り返し言ってきたように、映像を撮影し、送る、という労力を払い、参加してくれた方々の行動力や勇気、ノリのよさ、そして東京愛をリスペクトしています。本当に尊いです。全員が素晴らしいと思っていますし、心の底からありがたいと思っています。ここではあくまで編集時にぼくが思ったことや考えていたことをお聞かせするための例として、何人かの方々の画を取り上げます。しかし、もちろん取り上げないからと言って、その画が取り上げた画に劣るわけではありません。また、勝手に解説に使ってくれるな、という方がいらっしゃいましたら、申し訳ありません。ご連絡いただけたらすぐに対処致します。
誰からはじめよう?
トップバッター選びの条件はいくつかあった。まず大切なのは、映像的に特徴的すぎないことだ。いきなり住職で始まるのはマニアックすぎるし、いきなりゆりかるというのも動画の趣旨的に違う。外で撮影している画や、動物と一緒に映ってる画もオープニングとしてはふさわしくない。こういう画に特徴のある方々は、途中のアクセントになり得るので、ドアタマに持ってくるよりももっと効果的に入れられる場所があるはずだ。最初は、悪い意味ではなく、スッとフラットに入れる方が望ましい。
二つ目の条件は、顔出ししている方で、なおかつ一人で映っていること。これは、それが良いとか悪いとかではなく、シンプルで理解の速い画である必要があるからだ。鑑賞者の立場で考えるとわかりやすい。数人が映っている画は賑やかではあるが、全員を見ようとして視線が動く分理解のスピードが少しだけ遅れる。また顔を隠している方だと素顔を想像する時間分、ほんの一瞬理解が遅れる。本当にほんの一瞬ではあるが、この引っかかりが違和感となってしまう。映像表現上、違和感や印象に残ることは一概に悪いこととは言えないのだが、スタートに関しては邪魔になってしまう。シンプルにやりたいことを見せ、この動画がこれからどういうルールで進んで行くのかを視聴者の方に無意識下で理解してもらう必要がある。
三つ目は、青赤みの強い画。これは二つ目の条件を満たした時、画が寂しくなりすぎないためだ。被写体が一人だと左右に余白が生まれるので、ともすると構図的に大人しくなりすぎる可能性がある。幸い青赤の飾り付けは多くの方が行ってくれていたので、その中からのチョイス幅はありそうだった。これで単純に画が派手になるし、FC東京のサポーターの映像なんだ、ということを強く印象付けられる。
この三つの条件を満たす方を探して、148のレイヤーを切り替えて試していく。該当する方は数名いたのだが、色々と考慮した結果、歌い出しはこの方に決めた。
背景は青赤で埋め尽くされているし、なによりマフラーを広げているのがよかった。これこそまさに、ユルネバを歌う際の、もっとも象徴的で標準的な態勢ではないか。ディエゴも笑ってるし。ぴったりの方がいてくれて、我ながらとてもいい歌い出しになったと思っている。
最初の画がしっくり来ると、そこからの組み立ては明快になる。制作者としては指針を得て気分がアガる。ドライブしていく感覚、とでも言うのだろうか。前にも書いたが、編集する時はリズムやノリが本当に大切なので、つないでいるこちらのテンションがアガる、ということは意外に重要なファクターだったりする。そのスイッチがどこにあるかは毎回違うのだが、なにかがカチッとはまると、それ以降の道筋が突然開けたように見通せるのだ。
高揚感を感じながら、ふと、窓の外を見ると、空に五条の雲が。
この日はブルーインパルスが飛んだ日だった。そういえば朝からそんなニュースを読んだ気がしたのだが、まるっきり忘れてた。
さてさて、編集編集。最初が男性だったので、二番手は女性にしよう。何人か試してみた結果、選んだのはこの方。
東京ベアが映ってることもとてもよかったです。おれは未だかつてない当選確率だったはずの今年も当たらなかったので、もう一生当たらないと思っている。正直羨ましい。この女性は、画面の下手(しもて、向かって左側)に位置している。なので、三番手の方は、画面の上手(かみて、向かって右)にいる必要がある。そこで、この方を選ばせていただいた。
おわかりいただけるだろうか?この方もベアを持っている。正直羨ましい。人物だけが下手から上手に移動し、ベアは同ポジ、というのがここのつなぎのミソ、こだわりポイントである。
女性、女性と続いたので、四番手の方は必然的に男性である必要があり、なおかつ今度は画面中央にいなくてはならない。出来ればサイズ感も少し変わりたい。それにはこの方がぴったりだった。
サングラスがイカした男性である。サイドバック推しの方だろうか?先ほどよりも少しカメラが引いている。センター、左、右、センターと人物が移動することで、編集にリズムが出来つつある。さらに、年齢層的にも幅ができ、いいバランスになってきた。このような感じで、前後の画と被らないような画を探し、編集していくことが基本的な編集プランだった。
もう少しだけ解説していこう。ここまでは全員ピンだったので、五番目にはこちらのご夫婦の画を選んだ。
始めて複数人が映る画を入れることで、だんだんと広がりを持たせる狙いだ。言うまでもないが、中央に鎮座しているねこもポイントである。おれはねこに致命的に弱い。とくにみけねこに弱い。うちで飼っているのもみけねこだ。みけねこかわいい。ここまできたところで、このあたりで映像的に大きな展開のある画を入れたくなってくる。そこで、今回、1、2を争うインパクトを誇る方の登場である。
六番目に、ご住職炸裂。法衣に青赤マフラーがこんなに映えるとは、想像だにしていなかった。一気に(和風に)世界が変わり、映像的な幅が広がる。ここはこのまま、さらに押せ押せで畳み掛ける必要がある。そこで、七番目に必殺のカードを切ることにした。
「東京のオンナ」こと橘ゆりかさん。ここでゆりかるにご登場いただくことで、東京サポーター的のテンションを一気にあげたかった。今回、彼女をどこに使うかは、非常に悩んだ。もっともクリティカルな場所はどこか、散々悩んだのだが、結局7番目がベストだ、という結論に達した。彼女が出演してくれたことで、この映像の意味がかなり広がったように思う。ゆりかるさんとは、この映像を作った際に一度お仕事させていただいたことがあった。今回、ダメモトでお願いしたのだが、ある日、彼女が歌った素材がいきなり届いた時の感動たるや!!ゆりかるさん!ありがとうございました!
序盤に住職、ゆりかると畳み掛けることで、こんな人たちまで!次はどんな人が!?というワクワク感と期待感を増幅させたかった。
さて、ここまででワンコーラス。いわば名刺がわりのつかみの部分である。ここでうまくつかんでさえしまえば、見ている人を映像にのめり込ませることが出来る。文章にすると単純にパズルを組み立てているようになってしまうが、最終的にこの構成に落ち着くまで、相当色々試した上での話だ。まさにそれをするために、148レイヤーを並べる必要があったのだ、と言える。
こんな調子で、この日の作業は、並べられた148の映像の中から一番力がある部分を探し、それを最も効果的な場所に配置する、という試行錯誤の繰り返しだった。この日の作業はこの作業の繰り返しだった。
誤解を恐れずに言えば、編集を詰める作業とは、なんとなく入っている画をひとつも無くすこと、と言えるんじゃないだろうか。なぜこれがここに入っているのか、なぜこの順番なのかを、すべて説明することができるまで突き詰めなければ編集が出来たとは言い難い。理屈じゃないと思っていても、いいな、と思える編集は、その気になれば必ず理屈で説明がつくはずだ。知らんけど。
2回し目の歌い出しは、ACLで対戦した、フィリピンリーグのセレス・ネグロスでプレーする、小田原選手。
現役のプロフットボールプレイヤーではあるが、子供の頃からの東京サポーターでもある。アマラオと一緒に映った写真を掲げて参加してくださった。彼の所属チームセレス・ネグロスは、このあと活動休止を発表し、驚かされたのだが、運営を引き継いだユナイテッド・シティFCでプレーすることが決まって一安心した。頑張ってください!
冒険者たち
ここからは、様々な参加者の画がユルネバの展開に合わせて入り乱れていくことになる。それぞれひとつひとつ、それぞれ思いを込めていただいた画であり、優劣をつけられるものではないのだが、編集をしていて特に印象に残った方や、こだわった部分を挙げてみようと思う。順不同です。
まずはサングラスの親子。動きがシンクロしてて音楽に合わせやすかった。後ろにサマリーシートを貼ってくださっているのも嬉しかったです。
父と息子シリーズ。子供と一緒にスタジアムへ!の夢を実現した(するであろう)方たちです。こうやって脈々と受け継がれていくのですね!当然ながら母子シリーズも!
味スタ前のカップル。
実際に味スタまで行かれたのはこの方達だけでした。大多数の方々が部屋の中で撮影されていたので、画変わりという意味で貴重でした。太陽光に勝る照明はありません。野外と言えばこの方も。
何気なくフラッグを振っておられますが、このアングル、どうやって撮ったのかちょっと不思議でした。ドローン?
失礼ながら、タオマフ裏返しなのが、スタジアムでのあるあるすぎてツボでした。
あのヒーローも、子連れで参戦してくれています。
ベア勢唯一の男性。某応援番組司会者に激似で、何度も素材見直してしまいました。
とても楽しそうなご家族。この子達のあっけらかんとした歌声がとてもよかったので、音声的にも捨てがたく、ちーかまさんに内緒で勝手に歌を少し混ぜたのですが、速攻でバレました。
指笛の方。縦位置で撮影されていたので画が荒れてしまったのですが、この指笛は本当にいいアクセントになっていて、ちーかまさん、oomiさんが涙していました。他にも色々な楽器を演奏していただき、その片鱗はミックスのそこここで効いております。ポリバレントな方といえば、もう一人、この方も。
自ら編集された映像だったので、映像上は使い所が限られてしまったのですが、お一人でいくつも楽器を演奏され、もちろん歌まで。このお二人でいったいどれくらいの数の楽器をカバーしているのか、今度ちーかまさんに聞いてみようと思います。
青赤ペンライトの母娘さんたち。暗いシチュエーションだったのでインパクトがありました。
ランニングマン。顔出しはしていませんが、アクションで目立つスタイル。編集のアクセントになりました。
帽子飛ばしの女性。テンポアップ部分へのトランジション、トリガーとして使用させていただきました。表情がくるくると素敵な方です。この方はサムネイル候補になっていました。トランジションと言えばこの方も。
ラジオDJブースで歌って頂いております。この方の画は、マフラーの文字も重要でした。緩から急への切り替え部分に、文字情報としてYNWAを入れたかったからです。そしてガチ乾杯勢の方々。
こういうシンプルでわかりやすいアクションは、一瞬使うだけでとても強いので、すごくありがたかったです。ジョッキの女性には、この後、とても重要な役割を果たしていただくことになります。全参加者中、トップクラスに美味しすぎる方です。
そして、熱唱系おじさん(失礼!)列伝。
筆頭のこの方は、F.C.TOKYO COLORS出演時にも語らせていただきましたが、本当に毎回再生する度に笑みがこぼれてしまいました。おそらく家族に隠れて撮影をしているのでしょうか?声を潜めつつ、最大アクションをしてくれている感じがすごくよかったです。
みなさん、とてもいい表情。普段はスタジアムのどのへんにいらっしゃる方々なのかわかりませんが、こういう方達の熱唱が、スタジアムでのユルネバを支えているのだと思います。
そして、メッセージボードを書いてくれたみなさん。
メッセージを直接表現してくださった方たちです。感謝の気持ちを表現したい、という真摯な思いと優しさが伝わってきます。嘘のないメッセージに心打たれました。そして、家族で応募してくださったみなさん。
応援しているチームをご家族で共有できることは、率直に言って羨ましい限りです。飾り付けの具合も素晴らしかったです。最後のご家族はサムネイルに採用させていただきました。みんユルの看板になったご家族です。
実はもう一組、サムネイル候補に挙がっていたお二人。みんユルロゴをフラッグにしてくれています。よく見るとこれ、手描きですよね。oomiさん号泣してました。
ドロンパパペット勢のお二人。
雨ガッパガチ勢のお二人。
スタジアムを彩る、ゲーフラガチ勢のみなさん。スタジアムで見かけたやつもありますね!
そして、なんと新国立で撮影してくださった、おなじみの方々。
スタジアムの華、大旗隊のみなさんです。今回、1番スケールの大きな画と言っても過言ではないと思います。スタジアムでいつも見かける、あのフラッグが!転換部分での大きなアクセントになりました。
華と言えば、この方もインパクトが大きかったです。両手に花のお兄さん。こういう、予想だにしないことをやってきてくれると、こちらとしては思わず唸ってしまいますね。
今回、最も物議を醸した、といえる問題のお二人。この画を使用することにより、R15指定を検討しました。(冗談です)よって…
攻劇さんによるレッドカードが提示されることになりました。実際に、試合中キスしてたら、カードは出るのでしょうか?攻劇さんの見解を伺いたいです。
音楽隊からは、ウクレレガチ勢のお二人。
そして、キッズたち。
片時もボールを離さない、ボールはトモダチ少年。将来はエゴイスティックなドリブラーになって、ゴールを量産してほしいです。
キッズたちの熱唱、最高です。好き勝手バラバラに盛り上がっているかんじ、「東京のコドモ」らしくて最高ですね。将来の東京を担う存在になってくれるでしょう。頼もしいです。
太鼓の方。この画を使用するにあたり、ちーかまさんにお願いして太鼓の音を足していただきました。
シルエットのお二人。こちらは映像ではなく写真だったので、どこに入れ込むか難しかったのですが、この画に関するエピソードをお聞きして、絶対に外すことは出来ませんでした。
KIMIKAさんももちろん登場!埋もれさせたくても前に出てきてしまうその歌唱力。音楽ミックス的には、みんなの歌の核になっている印象です。
野外勢の方々。個人的にはノンラー仲間だと思っています。
紙吹雪ガールズ。
クラッカーの方。色々ネタを仕込んでくれ、色々とありがたかった方です。全篇を通して効果音を入れたのは、攻劇さんの笛と、このクラッカーの音だけです。
こちらのオシャレなご家族はパペット勢に分類しようかと迷ったのですが、単独でフィーチャーさせていただきました。二回登場しているのですが、真顔の次女ちゃんが二回目には画面からいなくなっているところがミソです。おむずかっちゃいましたかね?
いまはおじさんになってしまった、この方もノリノリで踊っていて、非常に使いやすい画でした。勘がいいんですね、やはり。
そして、負けじと乱舞する、ダンシングガールたち。
画になります。そして、青赤動物軍団!
東京サポーターは犬派が多いのでしょうか?ねこ派のぼくとしては少々悔しいです!
ねこは最初のご夫婦と、この方のみ。しかも例外なく逃げ惑っています。自由!だがそこがいい!
…と、いくらでも書けてしまうのですが、これくらいにしておこうと思います。ここに取り上げなかった方も、それぞれみんな個性的な冒険者たち。本当は全員にコメントしたいところなのですが、文字数の関係上、ここまでにしておきます。申し訳ありません。※使用した画像の無断転載を禁止します。
兎にも角にも参加者あってのみんユル。これだけのパフォーマンスを見せてくれているのだ。映像の最後には絶対エンドロールを作って、参加者の名前を入れようと思っていた。しかし、編集しているうちに気づいてしまった。それぞれ、応募時の名前しか把握出来ていない、ということに。これでは、映像上3人映っていたとしても、代表者の名前しかクレジット出来ない。それでは記念にならないのでは?と思い、みたけさんに頼んで、公式からツイートしてもらった。
この件に関しての対策は行った。しかし、まだ気づいていなかったのだが、これはこの先に直面するある問題を暗示していた。
この日、編集作業をしている最中に、突然、このプロジェクトにも参加してくれている知り合いの方を介して、植田朝日さんから電話をもらった。
ウルトラスニッポンとFC東京のコールリーダーである朝日さんとは、ベトナムツアーの時に少し会話させていただいたぐらいで、個人的な面識はまったくない。もちろん遠巻きにはいつも見ていたが、まともに会話するのは初めてのこと。な、なぜ、急に電話が?なんか怒られるようなことしたかな?
軽くビビっていたのだが、それは杞憂だった。朝日さんはユルネバの著作権について心配して電話をくれたのだった。映画を撮った際に色々と苦労されたらしく、とても参考になるアドバイスを色々お聞きし、最後は「みんなにも頑張ってねって伝えといて」と激励していただいた。後日、応援ツイートまで。
ありがとうございました!
音楽パート、さて、どうする?
歌のパートがある程度組み立てられてくると、次は演奏パートの編集だ。ここに関しては、ガイドムービーの時点では存在しなかった部分なので、ちーかまさんとの連携が必要になる。基本的に音が鳴っている部分にその楽器を演奏している画を入れたいのだが、ここに少し誤算があった。音のファイルのみで、映像のない参加者の方が数名いらっしゃったのだ。また、両方送って頂いてはいたが、使いたい部分を演奏している画がない方もいた。なんとかしければ、と思いつつ、映像だけではどうしようもないので、ちーかまさんに相談した。
何度かのやりとりの後、結果的にちーかまさんがミックスでなんとかしてくれたのだが、正直、どこをどうなんとかできたのかはわかっていない。だが、とにかくちーかまさんからなんとかなった素材が送られてきた。これにより、演奏パートの構成も完成する。
ヴァイオリンのこの方で始まり、
グランドピアノ(!!!)のこの方が入り、
アコギのお二人に行き、
チェロが入って、
さらにヴァイオリンのお二人が入る、という映像構成になった。実際はこの裏にも何人か楽器のみ参加の方がいらっしゃるのだが、ぜひヘッドホンで探していただければ、と思う。
編集していて一番難しかったのは、縦位置で撮影した方々をどう使うかだった。横位置で、とのアナウンスをしていたものの、縦で撮影する方がいるであろうことは予測していた。先日のエディターとの会話でもわかるように、それが人物を撮影するときの本能だからだ。縦位置の素材に関しては、上下を切ってトリミングするしかないのだが、そもままフル画面にしてしまうと画が荒れてしまうため、どうしても悪目立ちしてしまう。色々と試行錯誤した結果、やはりマルチ画面での登場にさせてもらった。どうしても扱いが小さくなってしまうので心苦しかったのだが。このことは最後まで心にずっと引っかかっていた。
一気に見せることになってしまい、申し訳ありませんでした。
この日の夕方に、ひとつの大きなニュースが発表された。ついにJリーグの再開が決まったのだ。
色々と、世の中が動きを見せようとしていた。止まっていた時が動き出そうとしている。そんな希望や期待を胸に、編集作業は順調に進んで行った。リップのレイヤーが組まれているおかげで、スムーズに作業ができている。改めてエディターに感謝だった。これを自分のPCで作業していたら、こんなに簡単にはいかない。作業効率が悪ければ、それはそのままクオリティに反映されてしまう。少しずつ形になり始めていることに満足しつつ、DMグループを開いてみると、oomiさんがカウントダウングラフィックを更新していた。
oomiさんも日々研鑽し、スキルアップしているようだ。おれもちーかまさんもそうなのだが、このプロジェクトは、普段の仕事でできないことを実戦で試せる場所にもなっていて、そういう意味でもとてもありがたかった。
ここでおれは、うっすら思っていたけど触れずにきたことについて初めて言及するDMを送った。
動画公開のタイミングについてである。実は、この時点では、2日後の5月31日、日曜日に公開できないかと密かに考えていた。応募締め切りからちょうど1週間で、キリがよかったからだ。だが、それまでに完成できるのか自信がなく、言い出さずにいた。公開のタイミングに関しては、完全におれの作業待ちだった。しかし、この日の作業が順調に行っていたことで、それを口にする気になっていた。
ついに公開について考えられるところまでやってきた。もう言ってしまったのだから仕方ない。とりあえず、この日の作業はあまり深追いせずここまでにして、帰宅することにした。いい編集をするには、根詰めて作業した後に、適度に時間を開けることも大事だ。改めて見てみると、色々と気づく点が見つかる。
おれは エディターに明日もよろしく!と声をかけて編集室を出ると、家に向かって自転車を漕いだ。作業は順調に進み、概ねいい方向に行きつつあるのだが、どうも気分がすっきりしない。ひとつだけ懸念点があったからだ。オープニングをどうするかだけまだアイデアがまとまらない。明日までになんとか考えなければ。みんユル公開までは、あと6日。ん?さっきの話からすると計算合わなくないか?
【#13 おわり】
編集はいよいよ大詰め。公開が見えてきました。次回、未だ出口の見えないオープニング問題は、どう解決されるのか!?みんユルクロニクル#14 『思索と構築Ⅳ:午前3時の路上』ご期待ください。