Z世代は「親が共働きだったから」→「愛情が不足した」と感じていることに、現役共働きの親が伝えたいこと
noteのプロデューサー徳力 基彦さんがお昼に開いているtwitterスペース#ミライカフェが好きでよく聴いているのですが、今日の「Z世代のトレンド大賞」の話の中で親世代としてはなかなか聞き逃せない話題があったのでメモします。
このスペースの54分ごろを書き起こすと以下のような話題がありました。
スピーカーはZ世代マーケターの神代 希海さん。ご自身もちょうどZ世代にあたる方です。
現在絶賛子育て中の共働き親としては若者の率直な意見に非常にショックを受けました。
一方で「親と接する時間が少ないから愛情を適切に受けていない」と言う部分、ここは明確に誤認なので、どうか子どもを育てながら働くことをを忌避しないでほしいと切に思い筆をとっています。
まず結論から言うとアメリカで行われた数年間にわたる大規模な調査によって「親と接する時間が少ないことは子どもの幸福度や発達に影響がない」
という結果が出ています。
これについてはアメリカのNICHD「保育ケアと子どもの発達との関連に関する研究」と言う論文であきらかにされています。
ただ一方で、「保育サービス利用時間の長さはまったく関係しないが、
家庭での育児の質や保護者に対する子育てサポートの有無が、関連するさまざまな要因を統制しても強く影響することが明らかにされている。」とされていて、要は「共働きで一緒にいる時間の長さが少ないことが愛情不足の原因ではなく、少ない時間の中でどのように過ごすかと、外部サポートがうまく使えているかどうかが大事」ということなんです。
さらに噛み砕いてものすごく雑な言い方をすれば、親が家にいつもいるが長時間同じ空間を共有しているだけでほとんど放置された子よりも、共働きで土日しか一緒にいないけど濃密に愛情を持って接されている子の方が後年の幸福度が高いって感じです。
つまり、親が子どもを適切に育てられるようにする社会的なサポート体制、仕組みがあれば共働きでも片働きでも幸福度や発達に差は出ないはずということなんですよね。
ではどうして、Z世代は「親が共働きだったから」→「愛情が不足した」と感じているのかというのを紐解くと、Z世代の定義は1990年代後半から2012年頃に生まれた世代とされていて、そのあたりの共働き子育てに対する社会的サポートの不足がかなり深刻だったからのようなんですよね。
以前、個人的に子育てをめぐる10年史を作ろうとまとめていた年表があるのでそちらを参照するとこんな感じです。
2008年ごろに、待機児童が問題視されてやっと政府が重い腰を上げたわけですが2016年に「保育園落ちた日本死ね」が出てくるあたり、8年間もその問題が解決に至っていなかったことがわかります。流行語大賞にも「ブラック企業」「マタハラ」「ワンオペ育児」と入ってきており、共働き子育てをめぐる辛い体制があったことがわかります。
近年、都市部ではだんだんと待機児童は解消されつつあることを2014年から8年間ワーママをやっている身としては感じており、全国的にももう少しなのではないかなと予想します。
保育園の次は「小一の壁」も最近話題にされており、一つ一つではありますが、少しずつ働きながら子育てができる社会に近づいていっていると思うんです。
さて、どうしてこんな文章を書いたかというと、Z世代は日本の社会体制的に、放って置かれてしまった世代であり、だからこそ上の世代と断絶しているかのように新しい文化を花開かせているという世代だと思います。
じゃあそのZ世代が子どもを持ちたいと思った時に、できることなら共働きに否定的なイメージをもたないでほしいなと思ったんです。
まだ完全ではないものの、徐々に社会の体制は整えられつつあって、共働きでも子どもが育てられる時代になってきているのに、「やっぱり片働きの方がいいよね」と逆行するようになったら悲しいなと。
「そんなのあなたに言われなくたって自分達で判断するよ」と言われるかもしれませんが、ちょうど今、共働き子育てをしている世代として、どうしても言いたくなったため書きました。
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