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南仏の何もない村でぼーっとして過ごした日々 (プロヴァンス クリュイ)

この時もブッキングドットコムのマップ検索で、プロヴァンスの高評価の宿を探していくという方法で行き先を決めました。

特に旅に目的があるわけではなく、写真と地図を頼りに何となく自分の感覚に合いそうなB&Bを探すのです。宿が決まってから、周辺の街やレストランを探していくという旅の決め方です。私はこのスタイルで行き先を決めることが、国内外を問わずこのごろとても多いです。

このときも実はワーケーションで、アムステルダムで6日ほど仕事をこなして、マルセイユまで飛行機で飛んできました。空港でレンタカーを借りてプロヴァンスに向かいます。いまはカーナビもGoogle Mapもあるので、知らない場所でも迷うということはありません。本当に楽な時代になりました。空港からはのんびり走っても3時間はかかりません。

みんな時速130キロ以上で走っています。フランスはアメリカと違って全部キロ表示なのでわかりやすい
このときはルノーだったと思いますが、フランス語表示でも特に困ることはないです
さすがツールの国ですね、プロヴァンスは自転車がとても多いです
だんだんと道も狭くなってきます。センターラインはありませんがすれ違いは余裕です
今回のB&Bの駐車場に到着。傾斜地なのでここから部屋まではゴロゴロした道を3,4分重たいスーツケースを持って(転がせない)歩きました

B&Bは小高い風通しのいい丘に建っています。石造りに赤い瓦屋根。プールが付いた離れもあります。テレビはもちろんありませんがWiFiはちゃんと高速です。

今回の部屋です
部屋からはこんな景色が望めます
アプローチはこんな石畳 素敵だけどバリアフリーとは無縁
朝食はこちらのテラスで
母屋の1Fのリビングスペースの入り口です
朝食は極めて普通。キッシュでした
ヨーグルトは酸味が少ない

宿には部屋が5つあるようですが、このときは我々も含めて3組。あと2組は中国人カップルとフランス人の家族でした。

庭というか、手入れされているわけではない自然な庭に、たくさんの花が咲いています。宿のオーナーは50代くらいのとても親切でセンスのいい男性カップルです。といってもそういう方々が集まる場所ではまったくなく、ごく普通の素敵な宿です。

名前はもちろんわからない赤い花
写ってませんがミツバチがいっぱい来ていました
9月の終わりだと言うのにラベンダーがまだ咲いていました。
アザミ系の花にくっついているのは
やたらとカタツムリがたくさんついています。
庭と言ってもこんな自然な感じです
1段高い場所にある離れのプールはもうクローズしていました
建物を裏手から見る

こういう石造りの建物がなぜでしょうかとても好きです。年間を通して湿気はほとんどありませんが、冬場は結構寒くなるので暖炉は欠かせないようです。

宿のワンコ

そう言えば、このときの食事に関する記憶は、朝食以外にほとんどないんです。田舎すぎて近くに美味しい飲食店がなかったからだと思います。

クルマで15分くらいの場所にあったお店のステーキとポテトの夕食です。20時くらいにウオークインでふらっと行ったら、提供できるメニューは以上!でした
帰り道は街灯のまったくない、完璧に真っ暗なガタガタ道を進みます




3泊の滞在期間はほとんどの時間をこんな景色を見ながら、ひたすらぼーっとして、うたた寝して、ワインを飲んでました。

別の記事で何度も書いていますが、緩やかに風が流れるこういう場所がとっても好きです。私はこうした場所では本を読むことも、音楽を聞くこともしません。作り物ではない、自然の音の方が遥かに魅力的だからです。これは住まいでも同じで、風が抜けない場所には絶対に住めないと思います。

これって静岡あたりの茶畑の景色と一緒ですね




翌日だったでしょうか、たまたま前を通りかかったときに、何かとても気になる建物が山の上の方に見えたので行ってみました。看板も何もありませんが、そこには古い礼拝堂がありました。

例によってGoogle Mapによるとサン・ドナ礼拝堂(Chapelle Saint-Donat)という11世紀のはじめの建物のようです。11世紀というとあまり古さを感じませんが、1000年前ですから藤原道長の時代、ということになりますからさすがヨーロッパです。

車が止められるスペースから礼拝堂を見上げる
地震がないがないというのはいいことですね
かなり荒廃しています

倒壊の危険があるということで、出入り口は全部鉄格子で閉ざされていて中に入ることはできませんでした。サン・ドナ礼拝堂の情報をプロヴァンスの観光局みたいなところから引用します。

サン・ドナ礼拝堂
このロマネスク様式の教会は、間違いなくプロヴァンスで最も古い教会のひとつであり、非常に興味深いものである。おそらく11世紀の初めに建てられたと思われる。フォルカルキエ伯ギヨーム2世の1018年の文書には、この教会とその敷地がヴィルヌーヴ=レ=アヴィニョンのサン・アンドレ修道院に寄贈されたことが記されている。

この建物の古さは、ある種の古風な特徴によって裏付けられている。特に、樽型丸天井は、狭い側廊に面した3つのアーケードに分割された側壁の上に連続して置かれている。このような珍しい配置は、廃墟となったサン・マルタン・ド・ヴォロンヌ教会にしか見られない。身廊の樽型丸天井のやや不格好な形や、柱頭と聖歌隊のモールディングの渋く原始的な様式も、この教会が11世紀初頭に建てられたものであることを証明している。

1351年、サン・ドナはガナゴビー修道院の一部であったことがわかっている。フランス革命までは、モンフォール村の教区教会として使用されていた。1789年以降、納屋に改築された結果、内部は仕切られ、その後荒廃し始めた。1959年に歴史的建造物に指定されたが、その後も荒廃の危機にさらされ続けた。しかし1965年以降、地元自治体や「アルプ・ド・リュミエール」協会の協力を得て、保存委員会が修復に乗り出した。大規模な補修工事によって、破壊の危機から救われた。毎年9月中旬には、この由緒ある礼拝堂への巡礼が行われる。

http://www.montfort-en-provence.fr/fr/information/51682/chapelle-saint-donat
ステンドグラスの他にもところどころ装飾というかフレスコ?のあとが分かります

ステンドグラスの写真のアップがありましたので貼っておきます。

こちらにアップの写真がありました
1000年ですから・・・

うまく言葉にできませんが、とても不思議な場所でした。



さらになんとなく車を走らせます。といっても私は運転免許がないので、運転はいつものように同行の家人です。幸いなことに彼女は運転が嫌いではなくで、海外でもそんなに躊躇することなく運転をしてくれますし、基本は酒を飲まないので完璧です。

こんな感じの道が続きます
何もない野原にクルマを止めて
ドアを開けて写真を撮っていたらダッシュボードに入ってきました

遠くに白いドームが見えたので調べてみたら、オート=プロヴァンス天文台
でした。特に見学できるようなことはなかったですが、天体観測ツアーがあるようで、なんと宿泊施設もあって泊まり込みでの天体観測ができるようです。

偶然見つけた天文台
ゴロゴロしたどちらかと言うと荒涼とした土地
牧場もあります


そして遠くにまた何か気になる建物を発見しました。

気になる建物

近寄ってみるとここも礼拝堂のようでした。先程のサン・ドナ礼拝堂に比べるとかなり新しいとは思いますが、それでも100年は経過しているのではないかと思います。

近づいてみます

ここの正確な場所と名称が分からなかったので、この写真を画像検索してみました。すると

なんと同じ場所、同じアングルの写真がストックフォトで販売されていました。それも複数のサイトに異なる時期異なるアングルで何点もです。確かに絵になりますからすごくよくわかります。場所と名前は残念ながら特定できませんでしたが、ヴァロンソル高原となっているので間違いないです。

小高い丘の上です
クルマが折り返せなさそうなのでここに停めておきます

このあたりの景色はだいたいこんな感じで、ラベンダーやハーブ類の農地になっています。L'occitaneの本社には一度行きましたが、ここからほど近いマノスクという村にあります。

これはラベンダーです
結構な山の上で冬場の気温が下がるからでしょう、オリーブはそんなに多くはないです
夏の終わりだから、いい感じでヒマワリが夕陽の中で黄昏れてました


今回滞在した宿はこちらです。動画も貼っておきます。
LE JAS DU BOEUF


そしていつか行きたいと思っているプロヴァンスの宿はここです。ここもブッキングドットコムの地図上で見つけました。ここの方がもっとなんにもないんでしょう。


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