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700年前の手つかずの要塞(カスバ)とモスク

今回はあくまでもロンドンから安く飛べるところならどこでもよかったのです。それが初アフリカ大陸になり、結果的にはモロッコのタムダフト村の素敵な宿につながったわけです。 

せっかくこの地に来る機会を得たので、周辺を散策してみました。といっても日中は暑すぎるので、Googleマップで予習です。

するとこんな情報を見つけました。

アイット ベン ハドゥから車でわずか 5 分のところにあるカスバ デュ グラウイ デ タムダフト (または単にカスバ デ タムダクト) は、まだ知られていない建築の宝石です。実際、近くにある有名なカスバ テルーエとアイット ベン ハドゥの 2 つの名声の影に隠れて、この要塞は観光客にほとんど無視されています。

17 世紀に遡るカスバ デ タムダフトは、かつてベルベル人の首長アリ ウ ブラヒム ナ アイット ハドゥの所有物でした。伝説によると、彼はタミ エル グラウイに激しく抵抗しましたが、残念ながら 1900 年頃に敗北し処刑されました。彼の死後、カスバはグラウイ一族の手に渡り、彼らはカスバを拡張し、さらに別館を建設しました。モロッコの独立後、カスバは刑務所に変わり、1972 年のクーデターに参加した有名なウフキル一族の居場所となりました。

現在、カスバの大部分は廃墟となっていますが、サロンや丁寧に彫刻が施された部屋の美しい建築を垣間見ることができます。この美しい場所が完全に衰退するのを防ぐために、政府が介入してくれることを願っています。

という保護を訴えるものがあるかと思うと、

カスバ デ タムダクトはまさに隠れた名所です。 アイト・ベン・ハッドゥとは異なり、ここはユネスコの指定を受けていません。 現地で地元の人に聞いたところ、現在この土地を所有している一族は、ユネスコの認定を受けるための手続きを踏むことに興味がないためだそうです。 これをチェックするにはガイドが必要です。

ユネスコ世界遺産に興味がないという情報も。

いいじゃないですか、いいじゃないですか。いわゆる観光ポイントに興味がない私にはかなりグッときます。さらに宿から歩いて5分とかかりません。これは行くしかありません。

ふらっと歩いていくと、おじさん2人組が声をかけてきました。ハローとボンジュールを連続で挨拶したら、英語でどこから来たのかとお約束の質問です。日本だと言ったら結構驚かれました。

一人はちょっと先で絨毯やアンティークなどを売ってるというので、冷やかしに行くことにしました。

銀製品は量り売りです

全体としてアンティーク的な価値のあるものは無さ気でしたが、なかなか渋くて面白かったです。今回は荷物の重量の関係であまり大きなものは買えません。カードは当然使えないし、ユーロキャッシュは宿代分くらいしか持ってないので、50ユーロも余裕はないです。なのでジャストルッキンでした。

お店を出たらもうひとりのおじさんが声をかけてきました。カスバを見たいと言ったら案内してくれました。特にいくらとかいう会話はなかったですけど、どう見ても悪い人がいそうなエリアではないし、おじさんもいい人に見えました。

歴史を感じるいい感じの崩れ方

本当に整備されていません。2023年9月に起きたM6.8の巨大地震で崩落が更に進んだのだそうです。

おじさんがどこかに泊まってるのかと聞くので、Dar Bilalだと言ったら、ニコニコしながら親戚(たぶんオーナーのお兄さんと言っと思う)と言うじゃないですか。そこからしばらく宿は快適だろうとか、建てた時の話なんかをしてくれました。

美しいデザインの格子窓です
土埃が積もった床にも装飾タイルが施されています

屋上に上がると、美しいオアシスが広がっています。

ビデオでもどうぞ。

このカスバにはモスクが併設されています。

かつての水路だそうです
修行のための宿泊所
天井部分が崩落しています

イスラム教では偶像崇拝をしませんので、内部は至ってシンプルです。どのモスクに入っても感じるのですが、私は仏教寺院やキリスト教会よりも心が落ち着きます。

崩落部分を上から

オアシス側からカスバを見上げます。

このあたりの川には塩水が流れているところがあります。というのも一帯には岩塩が露出している場所もあるのです。岩塩ってはじめて見たかもです。カリフォルニアのデス・バレーとかは岩塩じゃなくてあれは単に塩ですもんね。

砕くとまさに岩塩です。
樹齢350年のオリーブです

おじさんは1時間くらいかけてとてもとても丁寧に説明してくれました。オアシスにはアーモンド、無花果、オリーブ、ザクロが自生していて、歩きながらそれらをちぎって食べさせてくれました。この間に他の来訪者は誰もいませんでした。

案内が終わって、私が宿に帰るというと、彼も一緒についてきました。ここまでガイド料については何もなく、宿で何かぼったくられるのかとも一瞬思いましたが、そんな気配はまったくない。5分くらいの道を親戚の話を聞きながら宿に向かいました。

道になってないところを歩いて宿まで

宿に着くとおじさんは奥さんと息子さんを呼びます。しばらく世間話っぽい話を3人でしていたので、私はドアを開けたままにして部屋に入りました。

しばらくするとおじさんは、じゃあまたねという感じでそのまま帰ろうとするではありませんか。いくらなんでもあれだけ良くしてくれたので、ガイド料かどうかはともかく、お礼はしなくてはいけません。私は「メシーボクー、サンキューソーマッチ」と声をかけてお礼を渡しました。

宿のオーナーのご親戚だそうです。なんかかっこいいです

モロッコでもカサブランカとかマラケシュあたりの観光地ではどうかわかりませんが、タムダクト村のみなさんは本当に親切でいい人たちです。観光客を騙そうなんてこれっぽっちも思ってません。日本でも同じですよね。

もちろんそうでもない場所や人もいるのは事実なので、そこは自分で判断する必要があります。

私にとって非日常の極みみたいなこの場所で、彼らの日常の優しさに触れてちょっとうるうるきちゃいます。

今回の渡航はこちらにまとめページがあります。


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