国営ロイアル・エア・モロッコがとても良かった話
ロイヤル・エア・モロッコのモロッコ国内線と国際線に搭乗しました。なかなか興味深いフライトだったので記録しておきます。
搭乗したルートは
・ワルザザート(OZZ) → ブランカ(CMN) AT1461便
・カサブランカ(CMN) → アムステルダム(AMS) AT850便
です。
このフライトは最初から波乱のスタートでした。宿泊していたタムダフト村のリヤド(B&Bみたいな宿)から空港までは車で40分程かかります。フライトが朝7時20分発なので、2時間前の5時くらいには空港に入りたかったのです。ということは宿を4時に出る必要があります。
そこで宿にお願いをして、往路と同じように、4時に車を手配してもらいました。タクシーではなく、宿のオーナーさんのお友達か何かだと思います。
ところが、なんとなく予感はあったんですけど、4時になっても車は来ません。10分経っても来ないので、ちょうど起きてきていたオーナーに確認をしてもらいました。オーナーはすぐに電話をしてくれます。ベルベル語で会話していたので内容は全くわかりませんが、どうやら別の人にこれから依頼をするようです。
空港から送ってくれた人が帰りも来てくれるはずなんですけどね。ちゃんと本人を日時を確認したのに、ドライバーは忘れてたか起きられなかったか何かかだったのだろう思います。
まあ、世の中そんなもんです。詳細理由を確認したところで何も始まらないので、オーナーさんにフライト時間を改めて伝えて、とにかく車を手配してもらうことに専念しました。
結局4時半過ぎに車が来ました。やはり来たときとは違う人でしたね。
もともと時間にはそれなりの余裕を見ているので、フライトに間に合わないということはどうやら回避です。でもまあドライバーさんにフライトバウチャーを見せながらフライト時間を伝えて、急いでもらうようにお願いしました。彼は若干英語が話せます。
そこから真っ暗な砂漠道を時速80キロで疾走します。それがこちらです。
映像で見るより実際にはもっともっとスピードは速く、怖く感じました。ここで砂で滑ったら死ぬんだろうなとかぼんやり考えながら。
無事に40分ほどで空港に到着です。この間に対向車は2台しかありませんでした。
このワルザザート空港の入出国職員の評判がめちゃくちゃ悪いんです。おまけに今回のロイヤル・エア・モロッコ航空の地上職員も全くやる気がないとか書かれまくっています。
ビクビクしながらまずはチェックインです。
あれ、全然普通。全く丁寧。普通にボーディングパスをくれました。ちゃんと乗り継ぎのカサブランカから先のアムステルダム分も。荷物はスルーでアムステルダムまで行くとも説明してくれました。
あれれれ、全然普通じゃないですか。
次は保安検査です。宿から持ってきたペットボトルの水を手に持っていたので近くにあったゴミ箱に入れようとしたら、検査官が驚きの言葉を発します。
「そのままでいいから」
え? 真面目に1000回を軽く超える保安検査通過歴の中で、こんなことははじめてです。
これがどういうことなのか真相はわかりません。国際法上はNGだと思うのですが。
例えば日本の国内線は、なんか変な検査機に当てると持ち込めるじゃないですか。あれが有効な検査かどうかはともかく。でも国際線はダメですね。これまでも知らずに持ち込み手荷物に液体があって指摘されたことも、指摘されないで通過できてしまったことも数え切れないくらいあります。海外ではその場で一口飲むように言われたりもします。
ですけど、今回のように明確に液体と認識された状態でそのまま通してくれたという経験ははじめてです。
優しいのか、いい加減なのかわかりません。保安上ちょっと不安ではあります。
続いてはモロッコ出国。国際線乗り継ぎなので出国手続きはここワルザザート空港で行われます。
そしてこれがまた拍子抜けするくらいに親切丁寧。コニチワ、サヨナラと言ってくれるくらい。日本人もたまには来るんですかね。無事出国できました。
ゲート付近の様子です。サイズ感としては私の経験の中では久米島空港を小さくしたくらいです。なんか田舎のJR駅の待合室みたいな空気です。
使用機材CN-COJはプロペラ機のAT72-600です。たぶん初めて乗る気がします。定員72名と見た目よりたくさん乗れます。
カサブランカまでのフライト時間は40分くらいでしょうか。途中アトラス山脈を超えていきます。とても短いフライトなので機内サービスはなかったような気がします。
カサブランカ空港到着。ターミナルには寿司屋もありました。
寿司のセットみたいなのが24.5ユーロ4,000円くらいで、こういうのは数年前までは16.5ユーロ2,000円くらいだったという感覚です。もちろんこれは空港価格ですが、空港価格比でも倍以上になっていますね。
現地のユーロでの物価が1.5倍位になり、一方で円が3割くらい価値が下がっているので当然そうなります。
ここでも日本経済の弱さが見て取れます。とにかく日本だけが弱いです。日本だけが取り残されています。そのことを我々は実感していないのです。そもそもパスポートを国民の17%しか持っていないわけです。そしてこうした寿司が4,000円とか、ビッグマック2,000円みたいな煽り情報だけが独り歩きして、更に海外に出ない、目を向けないという負のスパイラルです。
そういう部分もあるけど、今回滞在したこのリヤド(宿)は7,000円くらいですからね。別に高くなんて全然ない。
海外に出たから偉いわけではもなんでもないけど、ここまで内に籠もるのもどうかと思います。
アムステルダムまでの使用機材はB737-800です。スカイマークは全機これですし、JALやANAもたくさん保有しているおなじみの機材です。
オンラインで事前になぜか非常口席が追加料金無しで予約できました。なので足元はかなり広いです。さらにもともと17Bの3席の真ん中だったのが、Aの人とCの人が友人同士ということで、席を変わってくれるかとのことで通路側のCに移りました。どうしてそういうアサインになっていたのか不思議です。
ちょうどお昼時の3時間半のフライトなので、楽しみにしていた機内食です
事前情報でアムステルダム線はアルコールの提供があるのは知っていましたので、ここは赤ワインです。
モロッコはムスリムの国ですがワインを作っています。Château La Ferme Rougeというワインです。もちろん全然知りません。
調べるとカサブランカから東へ40キロほどにあるシャトーです。
これがなかなか美味しいのです。フルボディで濃厚。ちょっとスパイシーなところも。それでいて軽い酸味のある香りが鼻腔を抜けます。傾向的にはレバノンワインに近い感じです。日本では買えないようですが2,400円ほどと、エコノミークラス搭載ワインとしては高級品ですよ。さすが国営航空です。
このシャトーについてもうちょっと調べたので貼っておきます。
3時間半のフライトはあっという間で、アムステルダム・スキポール空港に到着です。スキポールにはもう20回は来てると思うのでなんかホッとします。
このフライトが一番ロストバゲージの確率が高いと思っていましたが、ちゃんと出てきました。
ではオランダ国鉄で一駅、定宿となりつつあるB&Bに向かいます。
今回の渡航はこちらにまとめページがあります。