酷評される中国南方航空の本当の搭乗記
2024年9月に中国南方航空で羽田からアムステルダムまで往復しました。タイトル通り、結構ネット上では酷評されていたりするのですが、果たして実際のところどうなのか、ということも確認したいので私も搭乗してみました。この記事は読み物ではなく実際に中国南方航空を利用される方向けの情報です。最後に非常に重要なことも書いておきますので、ぜひ最後までご覧ください。
まず結論を先に書くと、こういった評価はかなりの先入観と、かなりの利用者側の経験不足に起因していると感じました。
もちろん日本や欧米のエアラインの様々な「標準」から外れているところも無くはないです。でもそれは物凄く少ないです。上の酷評リンクはHISさんの口コミページなのですが、HISさんのお客さんは慣れていないのが良くわかります。
たとえば天候理由で欠航になった時の対応について、色々書かれていますが、それは日中間に1日数便しか飛ばしていないキャリアはそう言うものです。日系キャリアであっても国内線ならともかく、海外で悪天候に遭遇した場合に、すぐに代替機を用意するような機材繰りなどできるわけがないのです。
今回のチケットは、これまた酷評されているGOTOGATEで総額8.3万円で購入したものです。確かにGOTOGATEでの購入は様々なところにトラップがあるのは事実です。ですが欧州ではむしろナンバーワンに近い評価を得ている会社であり、はっきり書きますが、たくさん報告されているトラブルの大部分は、日本人の購入者のレベルが低い事に起因していると思います。
今回搭乗した往路のフライトはこちらです。クラスはエコノミーです。
羽田15時45分 北京(大興)18時45分
中国南方航空CZ648便
ここで中国南方航空が無償で提供してくれるトランジットホテルに宿泊です。このホテルの予約方法ついても別記事にします。
北京(大興)翌日13時10分発 アムステルダム17時40分
中国南方航空 CZ345便
羽田でのチェックインの様子です。中国南方航空はオンラインチェックインができません。これはたぶんですが、執筆時点で中国入国には原則ビザが必要なためだと思います。未確認ですがどの航空会社であっても同じではないかと思います。あるいはオンラインチェックインができても、搭乗までのどこかのタイミングで、ビザの確認が行われるのではないかと思います。
出発時刻が15時45分ですから、3時間前の12時45分からチェックイン手続きが開始されます。実際にはもうちょっと早く始まった気がします。
ほぼ同じ時間に広州行きもあるので、チェックインは結構混雑します。事前情報で12時くらいから並び始めるという情報があり、11時30分すぎくらいに到着しましたが、すでに20人目くらいだったと思います。カウンターは5箇所くらい空いていますのでそれなりに処理されていきます。12時過ぎには相当な列になっていました。
早めに行って待つのと、そうではない時間に行って長い列で待つのとどちらがいいかという判断です。待ち時間の長さ以上に、精神的な部分とチェックインからフライトまでの過ごし方、余裕度合いを考えたら11時半くらいまでに到着して並んで待つ方が精神衛生上いいようにわたしは思います。
なお中国南方航空は、事前にオンラインで座席指定が無償でできます。そのためには航空会社発行の予約番号6ケタか、78から始まる13桁の航空券番号が必要です。ツアーなどの場合はこれを取得する必要があります。またGOTOGATEでは有料で座席指定を販売していますが自分でやれば無料です。
やり方はこちらの記事が参考になると思います。なお非常口席などは有料のですが、有料席でも出発日近くになると無料開放されている場合もあるので、何回かチェックしてもいいと思います。わたしは数日前に羽田から北京までは無料で、隣席が空いているバルクヘッド席を確保できました。
1時間ちょっとで巡航高度に達したら、機内サービスが開始されます。最初にナッツ、その後ドリンクサービスです。アルコールはワインと中国のビールが搭載されています。
機内食は普通に美味しいです。羽田発ですから都内で作られたものと思われます。この日はチキンをチョイスしました。食事が配られるともう一度ドリンクサービスがあります。このあたりはごく普通の順序、段取りです。
フライトは至って快適です。北京までの乗客は9割が中国人で、残りは日本人と欧州系が半々くらいです。ほぼ満席の機内は非常に静かでした。トイレも頻繁にCAさんがチェックをしていて、日系エアラインと何も変わりません。床にゴミが落ちていてもすぐにCAが拾っていました。
わたしは機内で映画を全く見ない人なので関係ないですが、作品ラインナップは中国系が多く、日本語吹き替えや字幕は少なかったと思います。機内WiFiサービスはありませんでした。まああったとしても中国国内と同じでグレートファイヤーウォールは超えられないでしょうから意味ないように思います。
北京からはアムステルダムまでの乗り継ぎになりますが、フライトは翌日の13時ということで18時間以上の待ち合わせ時間です。これに対して現在は中国南方航空がトランジットホテルを無償で提供してくれます。これがいつまで行われるかはわかりませんが2024年12月31日までの提供条件はこちらです。
ただし、事前にはホテルの予約ができないので(広州でも同じサービスがありこちらはオンラインで予約できる)、当日空港のカウンターでのみ予約できます。そのため宿泊先が決まっていないとトランジットビザが取れなかったりします。ここはかなり重要なことですが、正確な情報がネットには殆どありません。入国拒否されたとか、そもそも24時間以内だと一時入国できないという誤った情報も多数見られます。
わたしもここはかなり調べたり、問い合わせしましたが本当のところは行ってみないとわからないという状況でした。なので、ここはこのルートを行かれる方々のために、別記事で正確な情報を残しておきたいと思います。結論だけ言うと、手続きを間違えなければテンポラリーエントリーできます。わたしは往路復路ともに全く同じ方法で入国し、無償トランジットホテルに宿泊できました。
無償トランジットホテルには豪華な朝食ブッフェが提供されます。種類も内容も非常に豪華です。
トランジットホテルなのに宿泊者はほぼ中国の人。この辺に理由は良くわかりまあせん。このホテルは普通に予約可能で7,000円ほどです。
空港とホテルの間はホテルの送迎シャトルバスが24時間無償で運行されています。所要時間は5分ちょっとです。
ホテル発 00分、30分
空港発 15分、45分
続いてアムステルダムまで。ちなみに荷物は羽田からアムステルダムまでスルーで送れます。ということホテルに泊まるときの着替えは手持ちにしておく必要があります。
アムステルダムまでは最新鋭のエアバスA350-900です。今一番静かで快適な機材だと思います。
北京からアムステルダムまではロシア上空を一直線で飛びます。これは現在中国機の大きなメリットです。フライト時間は10時間で、北極やトルコあたりを飛んでいくよりも3時間ほど早いです。
このフライト時間が短いというのは、疲れ度合いにもろに影響すると思います。これは考え方ですが、北京まで3時間で飛んできて一泊して、翌日10時間飛ぶのと、欧州まで14時間を一気に飛ぶのとでは、後者のほうが圧倒的に疲れます。最大の問題は、総所要時間が12時間ほど長くなる、時間がかかるという点です。
一刻を争うビジネスマンにはこれは致命的ですが、観光であったり飛行機が好きだったり、わたしみたいに時間にゆとりがある方は、中国経由の欧州行きはいい選択肢になるのではないでしょうか。特に帰路の場合は北京市内に移動して半日市内を周って食事ができます。
何と言っても料金差が3倍もありますし、タダで北京に行けると思えばとても魅力的です。
北京からアムステルダムの機内食です。
この区間のフライトも9割が中国人。ほぼ満席です。トイレも機内も常にきれいに保たれていました。そして乗客も非常に静かです。事前にイメージしていた機内環境とはいい意味で違っていて、日本や韓国台湾のエアラインと何も変わりません。
続いて帰路も紹介しておきます。
アムステルダム20時40分 北京(大興) 12時25分(翌日)
中国南方航空 CZ346便
昼過ぎに着くので夜まで10時間くらい北京市内に行くことができました。
ここで再び南方航空手配のトランジットホテルに泊まります。
北京(大興)翌日09時55分 羽田 14時15分
中国南方航空 CZ647便
中国南方航空はアムステルダムからは1日1便のみです。そこで地上業務はKLMに委託していました。このメリットは、3時間前にかかわらずチェックインが可能ということです。またスキポール空港はKLMのお膝元ですから、カウンターもたくさんあるのでチェックインもスムーズです。
なお、ここでもオンラインチェックインはできませんし、空港にある無人のKIOSKでチェックインしようとしてエラーします。あくまでも有人対応になります。これは中国政府のルールではないかと思います。
時間が十分あるので市内に出て、北京で一番うまいとされているお店で沸騰魚を食べました。絶品です。
なおCSN PEAL HOTELから市内までは大興機場線で草橋まで行き、そこから北京地下鉄に乗り換えます。空港から市内はどこも1時間ちょっとかかります。なお帰りの草橋の終電が22時30分と早くて、わたしは乗り遅れてしまい仕方なくタクシーを使いました。50分高速代込みで3500円くらいでした。
また北京の電車もバスも、クレカタッチに対応していますので、VISAかマスターのコンタクトレス決済に対応しているカードであればそのまま使えます。逆に言うと、WechatのQRコードで乗車するためには、北京市政府が発行しているミニアプリをインストールして、パスポートをアップロードして登録認証が必要なので、あまり現実的ではないです。
クレカタッチで公共交通機関に乗れるというのはもはやグローバルスタンダートで、アムステルダムもロンドンももちろんそうでした。
改めて北京のトランジットホテルで1泊です。やはり広くて快適です。
北京から羽田までの最後のフライトです。
おわかりいただけると思いますが、機内食の色味が全部同じなんですよね。ここはちょっと改善してくれたらなと思います。味は全部美味しかったし、1食目の魚は本当に美味しかったです。これは個人の味覚の問題ですが、JALとANAのエコノミークラスの食事は当たり障りがなさ過ぎて、わたしは好きではないです。
たまたまなのかわかりませんが、往復の4フライトとともにWiFiサービスはありませんでした。あったとしてもグレートファイヤーウォールは超えられないので、できることは限られますけどね。
まとめます。250回を超えると渡航経験で中国のエアラインは今回始めて乗りました。正直汚いんじゃないか、うるさいんじゃないか、不味いんじゃないか、遅れるんじゃないか、荷物で出てこないんじゃないかなどなど心配はありましたが、結果的には何も問題ありませんでした。それどころか非常に快適でした。
遅延等が発生した場合に現地側で日本語が話せるスタッフがいないと心配だ、という方は日系航空会社が飛んでいるところだけに行けばいいと思います。言葉の問題はいまはスマホでいくらでもなんとかなりますから、3分の1の運賃で3回旅をされるのがいいと思います。(と言ってもGoogle翻訳は中国国内ではそのままでは使えないので、、日本のキャリアのデータローミングであれば問題なく使えます。海外ではahamoが超おすすめです。15日以内の旅行であればそのためだけに1ヶ月だけ2980円で契約すれば、30ギガを海外で使えます。WiFiルータよりもほとんどのケースで圧倒的にお得ですよ。)
中国南方航空、おすすめします。機会があれば中国東方航空と中国国際航空も経験したみたいと思います。
最後に結構重要な情報を。
何らかの理由で中国南方航空に電話連絡を取りたいときには
こちらの番号がアナウンスされています。
03-5157-8011
しかし結構つながりにくいです。広州の電話番号もありますが、日本語対応していたとしても、国際電話料金が心配です。
そこでこちらが大阪支店の電話番号です。
06-6448-6655
これは多分一発でかかります。
ただし平日の業務時間内に限ります。
あとは中国南方航空はマイルがたまらないという声をよく聞きます。現在はグルーバルのアライアンスには非加盟なので、自社以外にマイルは加算されません。しかし、その分運賃が安いケースが多いです。勘違いしていけないのはマイレージとは航空会社がプレゼントしてくれるものではありません。全部あなたのお金です。昨今の世界的なマイレージシステムの改悪を見る限り、今更マイルにこだわるのはすでに意味がないのではないかと思います。
【TSAロックについて後日追記】
これは中国南方航空の話ではなく、中国、あるいは全世界共通だと思いますが、TSAロックになっているスーツケースあるいは外付けのTSAロック鍵は、ロックしないことをオススメします。TSAロックはそもそもアメリカの規格であり、全タイプのコピーが流失していて本来の機能が提供されていません。むしろ怪しいということにさえなりかねない状況です。特に中国は保安検査は極めて厳密ですから、鍵を破壊される可能性を否定できません。TSAロックはかけない方が懸命な気がします。今回の渡航では私はTSAロックはオープンのままで預け入れています。なお保安検査は航空会社の仕事ではないのでお間違いのないように。
今回の渡航はこちらにまとめページがあります。
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