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マイレージについて
私の航空マイレージ歴は、1987年に加入したノースウエスト航空のWORLDPERKSからです。
1987年というのは大学の卒業旅行で生まれて初めて海外に、それもニューヨークにひとりで3週間行った年です。このときはノースウエストではなく、国際線に就航したばかりのANAのワシントン線NH001で飛びました。機材は747−400でしたが、乗客はたったの10人くらいで、13時間暇だったのでCAチームと通路で短距離走やってたのは内緒です。なおこの時点でANAにはマイレージプログラムはありませんでした。
そのニューヨーク現地でたまたま手にしたニューズウイークの広告で、ノースウエスト航空のワールドパークスというFFP、フリークエントフライヤープログラムの存在を知りました。このときはなんと、入会しただけで5000マイルが加算され、さらにニューヨーク線は50%ボーナスマイルという大盤振る舞いで、ニューヨークまで1往復するだけで合計2万マイル以上になったのです。2万マイルあれば、当時ノースウエストがアジア圏で就航していたグアム、サイパン、ソウル、香港、台北、マニラ、バンコク、シンガポールに行けたのです。いい時代でした。
そこですぐに入会して、1988年に2度目のニューヨークではノースウエストを選択して貯まった2万マイルでソウルに行きました。
その後ノースウエストはデルタに吸収されましたが、マイレージデータはデルタのスカイマイルにそのまま引き継がれています。これによると私のデルタの生涯マイルは40.2万マイルです。
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同じくJALは26.8万マイルです。
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ANAが2.4万マイル、アメリカンが9万マイル、その他エアラインでたぶん5万マイルくらいじゃないかと思います。
というくらい、結構飛んできましたし、マイルを積極的に加算してきました。ですがコロナ前にそれを完全に辞めました。
それは航空会社の方針が大きく転換したからです。
以前は買った航空券の運賃とは無関係に、飛行した距離に応じてマイルが加算されていました。あったのはビジネスクラスが150%、ファーストクラスが200%加算という違いのみです。なのでかなり仕事でアメリカに行きまくっていたために、デルタには40万マイル、ざっくりいうとアメリカ40往復分くらいがそのまま加算されている感じです。ちなみのこれらはすでに独立した以降の話なので、会社の費用とはいえ実質的には身銭を切っていますので、いわゆるカンパニーエクスペンスの皆さまとは違います。
しかし、状況はすっかり変わりました。いまのマイル加算は、飛行距離ベースではなく、すべて購入した金額ベースになりました。まあエアライン経営的には至極当然の成り行きです。マイレージとは航空会社がプレゼントしてくれるものではなく、結局は自分のお金なのです。家電量販店のポイントと全く同じです。ポイント制度の闇です。
自分のお金ではないカンパニーエクスペンス諸氏には関係ないかもしれません。
航空チケットというのは、いろいろと他とは変わった商品です。特典航空券でも、格安エコノミーでもプレミアムエコノミーでも、ビジネスでもファーストでも、目的地までの移動という意味では全く同じです。ファーストクラスのほうが早く着くわけではありません。おまけに使用機材も事実上ボーイングとエアバスの2択であって、ロールスロイスもフェラーリも飛んでません。メルセデスでさえなく、まあカローラの上級グレードみたいなもんです。クラスの違いは最後に乗って最初に降りられること、占有スペースが広く、フルフラットで寝ることができ、ちゃんとした食事がフルサーブされることです。
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ファーストクラスの価値は、他の乗客との接点が少ないというその一点だけです。そこが重要であるクラスタは確実に存在します。彼らは別にファーストクラスの食事を食べたいわけではないのです。それは彼らの機内での行動を見ていればすぐに分かることです。
ですけど、降機時間の差は往復であってもせいぜい30分以内、食事はファーストであっても機内で肉をグリルで焼くことは出来ないわけで、所詮は温める程度しかできない。確かに食材やメニューの違いはあるけど、気圧が低いので味覚は鈍りまくります。あるのは食器の違いとサーブの仕方です。
要するに一般人にとっては差は殆どないのです。例えば揺れに関してはエコノミークラスである主翼付近が一番揺れません。ファーストクラスのほうが全然揺れます。
というような特殊商品であるので、エアラインごとの差も実は想像するほど違いはありません。一番安価なフライト選択をしても決定的な差異はないんです。あるとしたら、身体が大きくてエコノミーやLCCのシートに収まらない方だけです。
つまりお金をたくさん払ってもそんなに幸せにはならないのです。これは他の商品やサービスとの決定的な相違点です。
要するに航空マイレージは
・運賃連動になった
・運賃の差は実はさほど違いのない占有空間と食事内容
なわけです。
そして最大の問題は、一所懸命貯めたマイレージも最近ではかなり使いにくい、使えない状況であることです。
マイレージの価値はファーストクラスの特典券で最大化します。購入すると200万円くらいするニューヨーク往復が、14万マイルで手に入ります。換算するとマイル単価で14円くらいです。たしかにこれは圧倒的にお得です。
なのですが全く取れません。空席がありません。たとえばこの記事を書いている時点で、JALの「国際特典航空券 空席照会カレンダー」を見ると、予約可能な1年以内でニューヨーク便には1席も空きはありません。JALの場合は330日前だったかの午前10時に特典航空券の予約ができるようになるのですが、瞬殺されてしまいます。
もちろんエコノミークラスや国内線であればまあまあ取ることはできます。しかし、ソウルまでエコノミークラスで15000マイル必要で、これとは別に燃油サーチャージや税金で12700円必要です。しかし、LCCであれば総額15000円程度でソウルに往復できるわけで、マイルを使う意味が全くありません。おまけにこの15000マイルでさえ空席がある日程は実はあまりなく、うまく都合に合うことは現実的には非常に少ないのです。
ANAの国内線の「どこかにマイル」
なんかは片道3000マイルくらいで翌週のグライトを取ることが出来ますが、これは仕事では事実上使えないし、私みたいな自由人以外にはメリット少ないですね。私は活用しますが。
またマイルとセットの上級会員とラウンジについても疑問だらけです。上級会員のメリットは、事実上預け入れ荷物が優先的に出てること「だけ」だと思いますけど、渡航先でそれがちゃんと機能するか、機能したとしても入国審査や税関の列によって10分程度荷物が先に出てくるメリットってほとんどないです。日本帰国時についてはそれなりにあります。
空港ラウンジは特に羽田と成田についてはJALもANAも酷いもんです。ほとんどの時間帯で大混雑です。羽田では確実にカードラウンジのほうが静かで快適です。国際線ではみんなカレー目当てでラウンジ全体がカレー臭に包まれて、まじめに気分が悪くなるレベルです。
あのカレーそんな旨いですかね??? ダイヤモンド・プレミア ラウンジで職人がその場で握ってくれるあの寿司って、回転寿司とそんなに違いましたっけね???
ということで、現状では、日程と運賃で判断して最適なキャリアの航空券を購入するのが正解です。少なくともマイルを貯めても使い道がないです。意味がないです。マイル修行も結構ですが、解脱しても浄土には行くことはできないことを知ってください。
国内線の羽田と札幌、伊丹、福岡などの幹線で、優先搭乗に並ぶ諸兄を見るたびに、なんかとっても儚く感じるのです。
というわけで私は全キャリアでヒラ会員で、LCCを積極的に使います。おすすめはスカイマークですね。東京大阪であれば神戸までスカイマークというのはナイスな選択だと思います。何と言っても会員制度がなく、搭乗はごく一部を除き窓際から順という、合理的な方法です。定時運航率に日本一なのも納得です。
ラウンジは楽天Premiumカードに付帯するインチキプライオリティーパスですが、これも年間5回という制限が付くようになったので、十二分に見直し対象です。