モロッコ辺境の最高に素敵な宿 Dar Bilal 【建物編】
モロッコの世界遺産であるアイット・ベン・ハドゥ集落から車で10分ほど奥に入った、タムダフト村にあるリアド(リヤド)、Dar Bilalで最高の滞在をしました。リアドとはゲストハウスという意味で、欧米式でいうとB&B、日本的には民宿です。
Dar Bilalはオーナーのモハメッドさんが10年以上かけてセルフビルドしたものです。ご家族と一緒にここで暮らしています。
まずロケーションはこちらです。モロッコでもかなり内陸で、アトラス山脈に近く、サハラ砂漠の西端という場所です。こう書くとなかなかの秘境感です。
実はこのエリアは私が訪れたちょうど1年前の2023年9月8日に、M6.8の大地震が起きています。震源はアトラス山脈の中で、ここから50キロくらいです。死者はモロッコ全土で2,000人とのことです。その割にはと言ったら非礼ですが、この宿周辺に関しては傷跡はあまり感じません。もちろん地震で崩れ落ちた日干しレンガの建物はありますが、もともと崩れてた部分も多かったりします。
ここまではワルザザート(ウルザザトという表記もあり)の空港から、宿手配の車(タクシーではなく、友人だと思う)で45分くらいです。往復で60ユーロでした。ちなみにこのエリアはモロッコディルハムではなくユーロが普通に使えます。モロッコディルハムは両替が大変なのでユーロでOKです。また言語は結構フランス語です。
こちらです。雰囲気あります。
至ってシンプルな外観です。真ん中の茶色いドアがエントランスです。
私の部屋は、1階のエントランスのすぐ右側でした。シングルルームを2泊予約したのですが、他に宿泊客は誰もいなかったからでしょう、一番広くて便利なトリプルルームを使わせてくれました。日本人は私が2人目じゃないかと言ってました。
実はこのあたりの標高は1300mもあるのです。私が滞在した2024年の9月10日は最高気温が32度でしたが、朝は13度くらいまで下がります。ということは真冬はかなり寒いはずです。なので暖炉は決して飾りではないのです。我々は砂漠=灼熱の太陽=ずっと暑いというステレオタイプに陥りやすいです。緯度は北緯31度で、鹿児島と同じくらい、沖縄よりは全然北なのです。
そして共有スペースがとにかく素敵なのです。
この建物の最大のポイントがこの天窓です。天窓からの光はそのまま1階まで伸びます。吹き抜けの周りを2階のオープンスペースと居室が取り囲みます。
乾燥地帯で日照時間も長く、日差しも強すぎますから、日本みたいに南向きの大きな窓、という発想にはなりません。これは北ヨーロッパでも同じで、あちらは逆に太陽高度が低いので南窓は部屋に日差しが差し込みすぎるのであまり意味がないんです。
こうした建物の真ん中に光の道を作るというのは、日本の住宅でも時々見かけます。昨今の夏の暑さを考えると、あくまでも空調前提にはなってしまいますが、窓を減らして気密断熱性を高めて、こうした光の道の導入はいいような気がします。
では他のお部屋を見てみましょう。スモールダブルルームです。
どちらの部屋も色合いが日本とは全く異なります。でも私はすごく心地よい。強い日差しがもたらす光、いや直射ではないから明るさが比較的小さな窓から入ってくることで、赤い壁に複雑な陰影を作ります。
このくらいの赤から黄色系の色というのは、自然光の変化を最も強く受けるのです。日本の茶室もこれと同じで、土壁と畳によって陰影が変化します。以前仕事で撮影をした裏千家今日庵と又隠(ゆういん)もこれと同じです。
では屋上に上がってみます。
屋上から見える景色です。
室内に戻ります。
Dar Bilalは、私が日本国内で一番お気に入りの宿、池間島のここに似てるんです。特に建物の感じはそっくり。こういう建築様式と、宇宙に対して開けているところと、乾いた感じ、乾いた風が本当に好きなんだなあと、いまこれを書きながら思っています。
部屋に戻ります。
では宿に関するインフォメーションをまとめて書いておきます。
Dar Bilalは1泊朝食付きで7,000円ほどです。夕食は20ユーロくらいです。アルコールはビールくらいならありますが、私は2日間の滞在で3本飲んだらなくなってしまいました。基本イスラム圏ですから。部屋に冷蔵庫はないので冷やさなくてもいいお酒を持ち込んでもいいと思います。
WiFiは不安定ですがあります。携帯の電波は普通に掴みます。プールがあるといいなあとは思いますがそれはないです。公式サイトはこちらです。
続いて食事編を書いておきたいと思います。
今回の渡航はこちらにまとめページがあります。
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