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寿がきや みそ煮込みうどんはグダグダになるまで煮込むべし

名古屋といえば味噌煮込みうどんが有名です。正確に言うとそれは「山本屋本店」と「山本屋総本家」のことだと思います。ご存知ない方がほとんどだと思いますが、この2つは身内の喧嘩で別れしたものです。ありがちな話です。

両者の味には大きな違いはありません。面倒なので以下山本屋と書くことにします。山本屋の味噌煮込みうどんは八丁味噌をベースにして、土鍋で鍋焼きうどんみたいに煮込みます。そしてうどんの麺が特徴的です。非常に堅くて、芯があるくらいの硬さです。

私は大昔に名古屋の山本屋ではないうどん店でアルバイトをしていたことがありまして、粉からうどんを機械で製麺していました。よって作り方は熟知しています。非常に少量の濃い塩水(塩分濃度はあえて書きません)でコネねて、足で何度も何度も踏んで伸ばしてを繰り返し、しばらく熟成させます。水分量が非常に少ないので、かなり長時間煮込んでもまだまだ全然硬いわけです。

なのですが、これはあくまでも山本屋さんの話であって、他店ではあんなに硬いうどんばかりではありません。


さて、この味噌煮込みうどんを手軽に家庭で楽しめるのが、寿がきやの「みそ煮込みうどん」です。味噌がなぜかひらがな表記です。これはインスタントの袋麺です。首都圏でもスーパーで売っているのをよく見かけます。オンラインでももちろん買うことができます。一袋170円だと思います。安いです。

この寿がきやさんは元々甘味屋さんだったのが、私の親の時代にラーメンを始めて大当たりした名古屋のお店です。かつては女性専用店があったりしました。この商品以外にも、大当たりした寿がきやラーメンをかなり忠実に再現できている袋麺もあります。

さて私とこの寿がきやみそ煮込みうどんの付き合いは50年くらいではないかと思います。少し前までは、復路の裏面に書かれているレシピ通りの作り方、茹で方をしていました。そうするとそれなりに硬い麺の状態で食することができます。

4分+2分という茹で時間の指示です

ところがあるとき、ちょっと目を離した隙に、なんと10分以上も近く煮込んでしまうという事案が発生しました。スープもかなり減っていて、すでに麺はグダグダ状態でした。

ところが、この方がスゴく美味いんですよ。レシピより全然美味しい。どういうことかというと、麺がかなり柔らかくなることで、麺からでんぷん質がスープに溶け出し、味噌と煮込むことでうま味が何倍にもアップしてるんです。

この手のインスタント袋麺は、いろんな具材を入れたりするのも分かりますが、「何も足さない、何も引かない」のが実は一番うまいと思います。よくサッポロ一番 塩ラーメンのレシピが話題になりますが、あれもそのままが間違いなく一番美味いですよ。本物を目指すのであれば、そもそも袋麺なんか使っちゃダメなんです。全部ゼロからやらないとダメ。

ということで、下の写真がレシピ通りくらいの煮込み時間。

これくらいがレシピのタイミング

およそ倍くらいの12分くらい煮込むと、水分がだいぶ減っています。これでいいのですが、お好みに応じて最初から550cc以上の水で作り始めるのもありです。

10分経過

はい、これが12分の寿がきやグダグタみそ味噌煮込みうどんのできあがり。

水分はレシピの半分以下に減っています

12分経過してグダグダと言っても、まだまだ全然普通に近いです。福岡あたりのうどんに比べると全然硬いです。でんぷん質が味噌とうまく絡まり、煮込まれて、とても奥深い味になります。

さほど麺はグダグダでもない

試しに山本屋っぽく鶏肉(かしわ)や、卵、ネギなどを入れて作ったことがもありますが、全然美味しくはならない。インスタント袋麺にはインスタント袋麺の生きる道があるんです。

私はラーメンはお店で食べるときは相当固め、バリカタ系が好みです。ですが、インスタント袋麺に関しては、この寿がきやみそ煮込みうどん以外でもよく煮て柔らかくした方がスープと麺がよく馴染み、美味しいと思っていますます。カップ麺は煮込みませんから、時間が経過すればするほどに無駄に麺が水分を吸い込むだけですから、さっさと食べないとダメです。

繰り返しますがインスタントの袋麺は「何も足さない、何も引かない」が鉄則です。

なお同じ寿がきやから八丁味噌バージョンの袋麺みそ煮込みうどんもあるようですが未体験のためコメントできません。


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