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一度だけ国際線ファーストクラスを体験した話
これまでに1000回近くは飛行機に乗っていると思います。その中で、長距離国際線ファーストクラスはたった一度だけ経験しました。もうこういうことはないでしょうから、備忘録としてまとめておきます。
それはキャセイパシフィック航空の羽田−香港の往復で、2017年12月のことです。往路は16時10分羽田発、21時30分香港着のCX549便、復路は09時55分香港発、13時45分羽田着のCX548便です。使用機材はどちらもB777-300ERでした。フライト時間は5時間ちょっとです。
このファーストクラスの香港行きは、JALのマイレージを利用した特典航空券です。一人6万マイルで、二人で12万マイルでした。一度くらいは国際線ファーストクラスに乗ってみたかったのですが、どうせ乗るなら食事が出るくらいの飛行時間がいいと思いました。日本から欧米行きであれば10時間を超えるフライトですから、2回以上食事が出ます。でも長距離路線は必要なマイレージが増えてしまいます。ニューヨーク往復だと2人で32万マイルと3倍以上になります。
そこで今回は、
・提携エアラインも含めてJALのマイレージで発券できる国際線のファーストクラスであること
・1回でもいいので、軽食ではないフルサービスの食事が出ること
・できるだけ少ないマイルで飛べること
・欧州圏内のファーストクラスのような、ビジネスクラスの真ん中の座席を空席にするようなものではないこと
という条件を満たす中で、私にとって最も好条件だったのがキャセイパシフィックの羽田ー香港線でした。当時ですらファーストクラスがある路線は激減していて、そもそも選択肢が少ないのです。
これはビジネスクラスがファーストクラスに近づいているからなのですが、とは言えファーストクラスと昨今のビジネスクラスは全く別ものなのです。
理由は簡単で、航空機は専有する空間(容積)によって運賃が決まるからです。ビジネスクラスはどこまで行ってもビジネスです。そもそも最近の個室化しているビジネスクラスは、「漫喫の個室」の域を出るものでは決してありません。今回のキャセイのファーストのように、個室ではないけどビジネスの3倍、エコノミーの9倍ほどの空間を専有できれば、狭くて息苦しい個室化の必要などありません。
さて、特典航空券ですから運賃は無料で、空港使用料や税金などで一人5000円くらいは支払ったと思います。この当時はサーチャージは必要ありませんでした。その時参考までに調べたのですが、同じフライトを購入すると往復で70万円でしたので、十二分に価値あるフライトだったのではないかと思います。というか、70万円で購入する人、できる人の存在に驚くばかりです。
ではまず往路からです。
特典航空券であってもファーストはファーストです。羽田ではJALのファーストクラスラウンジに入ることができました。写真は撮り忘れていますが、まあ普通に快適でした。この頃は私もかなりあちこち飛び回っていた頃なのでJGCプレミア会員でした。ファーストクラスラウンジは「ワンワールドの他社のエコノミークラスのチケット」を持って何回か利用しています。しかし泡が美味しいのと寿司がまあまあだったことくらいしか記憶にはありません。
日本のエアラインのラウンジは、なんか「オレは偉いぞ風情」の方が多くて、どうしても好きにはなれません。御本人が偉いのではなく、大部分の方々は会社の出張費で回数乗っているだけの上級会員様だと思うのですけどね。
年に海外渡航が10回を超えることがなければ、自然に上級ステイタスを維持することができない限り、クレジットカード会費まで考慮すると、旅行保険がほとんど効力が無くなった今では上級会員ステイタスを維持し続ける経済合理性はとっくにないと思います。
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さて、負け惜しみはこれくらいにして、この日はボーイング777という続々と退役が続く大きな機体に、ファーストクラスは6席の設定でした。ボーディングブリッジから機内に入って「左側」に行くことはあまりないので、この時点から気分は上がります。私のシートは2A、同行した家人は1Aでした。
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当日担当してくださったCAさんは日本人のベテラン女性CAさんでした。ずっとキャセイで飛んでおられるとのことで、日系キャリアとは異なるさっぱりとした、そしてフレンドリーな接客でした。私は日本の粘着質な接客はあまり得意ではないのです。
離陸したのは定刻より少し遅れて17時すぎでした。離陸してすぐに泡やナッツ類のサービスの後、19時前からいよいよお待ちかねの夕食の始まりです。CAさんの「少し狭くはなりますがお食事はご一緒にされてはどうですか」という提案がありました。テーブルを最大まで広げて、それぞれシートとオットマンに向かい合わせで座るのです。夕食の時の広い写真がなかったので、帰路の朝食の写真で御覧ください。もう完全に機上のレストランです。
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では夕食の話に戻ります。私は洋食を選びました。家人は和食です。向かい合って食事をするなら別のものを選択するのが正解だと思ったからです。
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家人の和食はこんな感じです。写真はすべて向かい側の席、逆側から撮っています。
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地上1万メートルを時速900キロで移動しながら食事をしている機内食で、あれこれ文句を言うのは筋違いだと思います。ファーストクラスの食事は美味しいかと聞かれたら、地上レベルで言えばロイヤルホストですかね。でもロイホは空の上ではあのレベルの食事は出せませんよね。
味はそういうことです。十二分に素晴らしく美味しいご飯です。普通の状況ではないからです。ましてファーストクラスは、狭い座席ではなく、普通のテーブルに向かい合わせで座って食事をしているんです。
エコノミーとの違いはどうでしょうか。正直に言うと、ほぼ提供順と、食器とカトラリーと、ワイン質の違い、くらいです。でもこれが違うだけで、本当に優雅な気分になれます。なのでとても幸せな食事になりました。ある意味、人生最高の食事の1つだったと思います。
5時間のフライトではありますが、出発から3時間半くらいで機内が暗くなりました。ファーストクラスですからもちろんフルフラットシートで、お願いすればベッドメイクもしていただけます。でも香港までですから1時間しか横になれませんし、時間もまだ日本時間の21時前なので、ベッドにすることはありませんでした。
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現地時間の22時頃、日本と香港の時差は1時間ですから日本時間で23時頃に香港空港に着陸しました。短い時間でしたが、食事も堪能できましたし、非日常の極みのような時間を過ごすことができました。
空港からホテルに移動し、翌日はすぐにマカオに船で移動して2泊しました。
続いて復路です。香港とマカオに3泊して、4日目の早朝に香港の空港までホテルから移動しました。
ファーストクラスですから、もちろんファーストクラスラウンジが使えます。キャセイパシフィック航空は香港の航空会社ですから、香港空港はメインの空港です。この時点でラウンジは4つくらいあったはずで、ファーストクラス専用ラウンジも2つだった気がします。そのうちの1つに我々は早朝8時前から潜入しました。
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帰路もボーイング777でした。私は真ん中の窓がない2D、家人は窓がある2Kでした。この辺りはこうしておかないと後々争議になりますから。
往路と同じシート構成なので、別の席からということと、撮影時間が朝であるということで、それぞれをもう一度写真でご紹介します。
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では朝食です。最初はフルーツからスタートです。下の写真はさきほど一度使いましたが改めて。テーブルの広さと朝日を浴びながらの優雅な朝食です。
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ファーストクラスは専有面積が大きいですから、エコノミークラスとの対比で言うと9倍くらいは専有しているので、エコノミーが5万円以内で購入できることを考えれば45万円になります。これにフルサービスの食事を加算して、ラウンジの利用料金を加算すると、70万円というのは法外な金額でもないことがわかります。
しかしながら2地点間移動という点で言えば、エコノミーもファーストも全く等価です。ここをどう考えるかですね。私なら仮にお金に余裕があったとしてもファースではなく、エコノミーで複数回で出かけてしまうのは間違いないです。
なんでもそうですがハイエンドとローエンドを体験すると、物事の価値やポジショニングを理解して判断ができると思います。香港で言うなら、香港エキスプレスの狭い夜行便に片道1.5万円くらいで移動したことがありますが、それはそれで十分納得行くものでした。