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私のステーキの原点はニューヨークのTad's Steaks

1987年の大学卒業旅行のタイミングで、大学生協で32万のトラベルローンを組んで行った人生最初の一人旅、最初の外国、最初のニューヨーク。そこでではじめて行ったステーキ屋が1955年創業のTad's Steaksのマンハッタン42丁目店。

調べたらあそこは2号店らしいです。カメラなんて持ってなかったから写真なんかもちろんないです。あったとしてもフィルムの時代。

インターネットがない時代ですから、海外旅行のバイブルである地球の歩き方がすべての情報です。そこに書いてあった9.98USDで食べられるめっちゃ硬いアメリカンなステーキを生まれてはじめて食べて、オレは絶対これが好きだと思ったんですね。アメリカ格安ステーキの代表選手です。

マンハッタンとサンフランシスコの店には何度通っただろうか。その後はたくさんあった店は殆ど無くなって、いちばん最後は8年くらい前にサンフランシスコのユニオン・スクエア店に行ったきりだ。でもここは今でもまだ営業しているらしい。

マンハッタン42丁目店は不法滞在の日本人のたまり場だった焼天(YAKITEN)という日本食屋さんの数軒隣で24時間営業。毎日毎日ひたすら硬い肉を黙々と焼くおじさんに、アメリカンな哀愁を感じたものです。

あるステーキ通の大先輩はS、私がSNSでこの話を書いたら

42丁目店はあの焼き場に並んで落ちる脂を眺めつつステーキにありつく、というシチュエーションが、いかにも貧乏な国から出てきたお上りさん感があって特別でしたね。きっと今食べても堅くて、噛みしめて味があんまりしないんだろうなぁ。

そうそうそう、そうでした。なんというか集団就職で東京にでてきた親世代がすき焼きを指を加えて見ていたみたいな感じかな。

要は食とは体験なのです。私のステーキの原体験がここにあります。

思えば沖縄北谷のステーキハウス金松さんは、どこかTad’s Steaksに味が似ているのに今気がつきました。ジャッキーステーキや88さんより絶対おすすめです。

こんな記事もありました。私の場合はこんなたいそうなエピソードではなく、単に金がないのに肉が食いたかっただけですが。


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