藝術と二次創作(前編)
今日の芸術
奈良美智や村上隆のような漫画やアニメから強い影響を受けた絵がアート業界で高く評価されてから随分経つ。しかし、それ以外はどうだろうか。個人的にはアートの題材として二次創作や2.5次元などにも手を広げてもいいかと思っている。
2.5次元の面白さについては下記記事で記述したし、8年前ほどに美術手帖にも取り上げられている。しかし、私が知らないだけかもしれないが、あまりその後に話題になっていない気もする。さらに、二次創作に関しては全然注目されていない。一応美術手帖に記述があったがそれくらいかもしれない。
藝術と二次創作
藝術と二次創作で発生したき裂
二次創作を使用した作品に関しては、カオス*ラウンジの水かけアートが有名だろう。百科事典を見てもらうとわかる通り、二次創作側としてみては許しがたいものだった。
この作品群に関してここでコメントをすることは控えるが、どちらも極端だ、という事は話しておこう。もちろん私がアート作品を作るとしたらこのようなことはしない。
それ以降はあまり二次創作を題材とした作品や二次創作とアートを融合させるような作品はない気もする。非常に残念である。
じゃあ2つをどう融合させるのか?と言われるとわからないけれども…。
逆に二次創作側からアートをアプローチできるかということだが、おそらく難しいだろう。体感だが二次創作側の界隈でそこまでアートが好きな人は多くない印象である。
フラットと藝術
村上隆は二次元(ここではフラットとさせてほしい)コンテンツとアートを融合させるためだろうか、リキテンスタインや日本画、その他もかなり歴史的な作品を引用させている。
そのようにフラットなものにアートとしての価値を付けたことは素晴らしく意味のあることであるが、特にそういうことは行わなくても自分の好きなものをアートとして描くという事も素晴らしいことだと思う。
私は藝術という息苦しい狭い枠に囚われず、自分のセンスを信じて作品を描いてほしいと願う。他のアーティストのことを知らない作家もいる。個人的にそれは全く恥ずべきものではないと思う。もちろんたくさん歴史作を勉強している作家もすごいが、自分が描きたいと思うものを描く。そういう作品も大好きである。
二次創作と藝術
二次創作の作品のモチベーションとしてはそちらに近いものを感じる。私自身もテニプリ(黄金ペア)の二次創作作品を古い作品を含め結構見てきた。作品の多くは推しなどに対する愛情や解釈などを表現するものであり、現代アートの主な題材である(自己顕示欲とは別の哲学的)自己啓発や美術的な美しさは想定されていない。だからこそ素晴らしい。民藝も同様かもしれない。小説や漫画作品をアート作品として良いのであれば、二次創作でもそのような視点の素晴らしい作品はたくさんある。
息継ぎ
また最近だが、二次創作活動もしている(た?)アーティストも見つけた。絵自体素晴らしいので是非見てほしい。呪術の同人誌も欲しい。再販してください。買います。作品ももちろん買います。
作品自体も素晴らしいのでチェックしているが、アーティストが二次創作をしているという点でも関心がある。今までよしながふみや東毅(きみまる)など漫画家は同人誌を発行していたが、実際に美術館に飾られ売れているアーティストで発行している方は初めて見た。もしかしたら私の二次創作と芸術に関するもやもやしたものを解消してくれるかもしれないし、それ以上にそのようなアーティストが増えればその二つの架け橋になってくれるかもしれない。
当事者か観測者か
二次創作作品を観測する際に難しいところがある。私に推しがいることだ。ブロマンスも好きだが腐りもした。二次創作の作品を多角的な視点から見たいという気持ちもあるが、推しが尊いためうまく切り離すことが出来ていないかもしれない。そこも面白いところである。
一応シチュエーションが好き(いわゆる性癖だろうか)な作品、美術的な色合いが好きな作品、漫画として素晴らしい作品、原作を読み込みそれをうまく更に素晴らしく描く作品など、それぞれではある。しかし、うまくそれが分離が出来ているかというと悩ましい。
これは「2.5次元やTLなどを見るときにコンテンツ(ここではテニプリとする)に関わる人の行動を観測すること」と、「推しを素直に推すということ」の量子的ふるまいのような重ね合わせ状態に近いかもしれない。
村上隆は自身のことを「オタクになり切れなかったオタク」と話していたらしい。私もそれに近いかもしれない。純粋に二次創作など二次元のコンテンツを楽しむだけではなく、哲学的視点に目が行ってしまう。
まとめ
色々長くなってしまった。文章にもなっていないかもしれない。とにかく言いたいこととしては
・アーティストは自由に自分の好きなように行動して作品を制作してほしい
・二次創作はもっと美術界隈にも評価されるべき
という事である。
最後に一言。芸術最高。二次創作最高。テニプリ最高。黄金ペア最高。
この喜びを共有しよう!感動できる!ありがとう。
後編も書きました。