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しいたけ.さんの占い手法は”オリジナル”。多くの人の心をつかんだのは、しいたけ.さんのお人柄や思慮深さゆえ、のようです。
しいたけ.さんのロングインタビュー。
掲載されてるサイトがいつか見れなくなると残念なので、自分のために
( ..)φメモメモ。
文中で「これは、もらった」と思った部分を転載。
「僕もしいたけ.さんからの言葉で心に残っていることがあるんです。いつだかの雑談の中で、僕がスタッフに対してどういう言葉をかけたら主体性を持って仕事に向かってもらうか、と相談したんですよ。そうしたら「『工夫してみたら?』って言ったらどうですか?」と。
それから各星座の人へのアドバイスがあり私は天秤座なのでピックアップ(^^)。
天秤座のあなたへ
天秤座の出発点って、めちゃくちゃな不器用がある気がします。意を決して、真剣に勉強し、鍛え、自分を磨いてきた。あなたは単なる「優秀な人」ではないです。人の何倍も遠回りをしてきた。色々なものを見てきた。自分を信じ、自分の道を歩んでいって。
これからも「人と違うけど、ま、いっか」の精神を大切にしてください。
他の星座の方は最後尾にあります。
ぜひ記事本体をご覧ください。
しいたけ.人形が素敵ですしね。
VOGUE GIRL with BOYFRIEND 特別編
スペシャルゲスト:しいたけ.
レトロポップなインテリアで国内外のファッショニスタが足繁く通う新宿の「Café & Bar CHAOS」を舞台に、VOGUE GIRL副編集長とゲストがボーイズトーク。前回の宮沢氷魚くんで最終回を迎えたこの人気企画、今回は、特別編として占い師のしいたけ.さんをゲストに迎え、本音のトークをお送りします。社会現象にもなった「しいたけ占い」は、どのようにして誕生し、それを通して何を伝えたかったのか。「しいたけ占い」を大切に読んでくれていたみなさんへ送る、VOGUE GIRLでの最後のメッセージです。
しいたけ.さんが手にしているのは、しいたけ占いムック本『しいたけ占い 2018 12星座と愛のさじ加減』(2018年発売)
今日は、人気企画だった「BOYFRIEND」の番外編ということで、いつものCafé&Bar Chaos でお話を聞きます。先ほどしいたけ.人形の撮影も終わりました。
噂のお店で撮影できて、うれしいです(笑)。
VOGUE GIRLで連載「12星座しいたけ占い」が始まったのが、もう8年半も前なんですね。
長いですねー。でも、あっという間という感覚もある。
まだVOGUE GIRLが紙媒体だった当時、リニューアルをする際にWEBでも何かキラーコンテンツが欲しい、なら占いを入れよう。ってなって、しいたけ.さんを紹介してもらったんですよね。
覚えています。リニューアルパーティとかにも参加させていただいて。勝手にもう編集部の一員みたいな感覚です。途中参加ではなかったから、本当に思い入れがすごかったですね。
で、すぐにデジタルマガジンに特化することになり。どうでした?「12星座書いて!」と半ば強引に言われて。
僕はその頃、個人鑑定をやっていたんですけど、たしか12星座占いというのはまだやったことがなかったのかな。
その人のオーラを見る手法の個人鑑定ですよね。
そうですね。VOGUE GIRLからオファーがあったとき「占いをメディアという形で載せるときって、やっぱり12星座占いだよな」と思ったんです。最初は周りの人たちの誕生日を聞いて、12星座分かき集めて、占って。たしかそのとき、射手座か何かの知り合いがいなかったんですよ。2星座くらい穴があって…。
お友達の穴(笑)。
お友達が少なすぎて(笑)。天秤座と射手座のサンプルがなくて。そこはもう一生懸命に2星座の占いを試してみて……。もう「できます!」って宣言しちゃった後だから、そこから急遽研究したんですよね。でもありがたいことに、意外とそれがなんとかなっちゃったみたいな。
僕たちも最初の頃は、どうやって12星座をしいたけ.さんが占っているかという説明をしていた記憶があります。「もともとはオーラカラーを見る人だから…」みたいな感じで。
12星座を個人鑑定をするようなかたちで、オーラを見て占うようになりましたね。
だから、しいたけ.の12星座占いというのは、占星術ではなく、本当にオリジナルなんですよね。ほかにある12星座占いとはまた違った導き方をされている。
そうそう。今でも覚えているうれしい瞬間というか面白かった瞬間があるんです。あるファッション業界の知り合いのパーティに出席したとき、獅子座の女の子から裏に呼ばれて「もう私のことを書くのはやめて!」って言われたっていう(笑)。
あまりにも自分に当てはまっていたと!
「あなたのことではないんだけど……」って思って(笑)。それがびっくりしたけどうれしかったんです。僕は獅子座だけを追っていたけど、ここまで当事者に深く刺さってくれているんだ、と。今でもそういう声は聞こえてくるとうれしいです。「私のこと見ている」とか「ストーカーしてる」とか言われるのは、何よりの褒め言葉に思ったりもします。
僕も「あっ、絶対自分のこと書いてるな」って思いますもん。実は僕、しいたけ.さんに出会うまでは占いにまったく興味がなかったんです。でも、個人鑑定をしてもらった編集スタッフが、前世は「縁側でキュウリをかじっている河童」としいたけ.さんに言われたと(笑)。
ははは(笑)。
12星座を見るベースというのは、やっぱりいろんな人の個人鑑定でのテクニックというか経験も役に立っていたりしたんですか?
そうですね。ベースにあると思います。
占いによっては、例えば「ちょっとお休みします」とか「2週に1回とか月1にしていこう」とか……。占い師さんのコンディションも含めて調整することって普通にあると思うんですけど、よく書き続けていただいたな、と。しかもボリュームがあるじゃないですか。これを毎週書いてくださったのは、本当にすごいことだなと思います。
いや、たしかにそうですね。今いちばん危惧しているのは、連載が終わった後に風邪ひくんじゃないかと思っていて。この8年半落とせないと思って、絶対に体調悪くはなれなかったから。
すごく体が強いわけではないのに。
めちゃめちゃ弱いです(笑)!
すぐ痩せたりしちゃうし……(笑)。上半期・下半期占いの後はゲッソリされてましたね(笑)。
本当に半期占いのときは、どんどん体重が減って、頰がどんどんコケていって。毎回、編集部に行くたびに心配されていて…。なんかお菓子とかもらっていましたよね。
1回ピザを届けたこともありますよね(笑)
あった、あった!「なんだなんだ」と思って(笑)。あれはうれしかったですね。
しいたけ.さんが書き続けてこられた秘訣って何かあります?
秘訣はやっぱり楽しかったし、うれしかったっていうのが大きいです。例えば週に1回やらなきゃいけない仕事というよりかは、週に1回読んでいる人たちに手紙を届けられる機会みたいな感覚だったというか。そういう役割を与えられたことが本当にうれしかったんです。占いを公開したときに「今週の乙女座見た」とか、そういう反響もおかげさまであって、それが嬉しくて続けられましたね。マネージャーとかにも「エゴサしすぎ!」みたいなことをよく言われていて。でも、こんなに自分のことが呟かれることってないじゃないですか!喜んでもらっているのがうれしくて。特に月曜日って、どの人にとっても1番憂鬱な日。学校に行きたくないとか、仕事が……とか。その始まりの後押しをできるっていうのがすごくうれしかったし、誇らしかったですね。
占いを月曜日の更新にしたのも、人気の秘訣だったかもしれませんね。いちばんみんなのテンションが低い月曜日の12時のお昼タイムにお届け。そんなにみんな月曜日が嫌だったんだ?って思うくらいの大反響でした。
それは僕も思います。毎週書き続けてきたことが苦ではなかった、と言ったら嘘になるかもしれないけど、ルーティン化というか大事なひとつの儀式のような感じになっていました。原稿〆切日の水曜日は何も予定を入れずに原稿を書いて終わるというのが、僕の日常に組み込まれましたね。
エゴサして反応を見るとおっしゃっていましたけど、きっと手紙の交換みたいなことだったんでしょうね。しいたけ.さんからのメッセージを受け取って、それに対して読者が反応するという。占いを読んでどう思ったか感想を書いている人は、しいたけ.さんに届いているとは思っていなかっただろうけど、しっかり届いてた。
たしかにそうですね。占い自体はある種、余計なお世話みたいなものでもあるし、何とでも書けるものなので。世の中にはいろんな占いもあるから「あなたの運勢は今週よくないです」みたいなことを言われたりして、占いによってテンションが下がることもあるでしょうし。僕は、「しいたけ占い」を見る人にも生活があるっていうことを意識しています。それぞれの人に生活があって、辛いことがあったりだとか、目指していることがあったりだとか、そういう人たちに何かひとつ「このアドバイスのこの言葉が刺さった」って言ってもらえることは、本当になかなか味わえないことだと思うしすごくうれしかったですね。だからこちらこそ本当にありがとうございますという感じです。
「しいたけ占い」の人気が高まって、ラジオにも出ていただいたり、イベントにもたくさん登場していただきました。日本全国、津々浦々(笑)。
楽しかったですね。旅芸者みたいな感じで。
手づくり感が常にありましたよね。常に学芸会の延長線上というか、学祭ノリというか。脚本もプロにつくってもらっていないがゆえの、なんかちょっとグダッとしたところがあるんですけど(笑)。それも一緒に楽しんでやってくださって。人形つくろう!とか。
幅広かったですよね。さっき言ったように学芸会的なノリというか…。普段は顔が見えない状態で書いているから、どの程度の人に受け入れられているか分からないなかで、イベントに行くと「こんなに来てくださっているんだ!」っていうのを実感できたし、自分がしゃべった言葉で目の前の人が笑ってくれたりとか考えてくれたりとか、その表情を見られたのが幸せでした。
人気が出てからも顔は絶対に出さない、と決めたのも、言葉が素直に入ってくる効果があったんじゃないかと。
僕も占いをやるうえで、顔出しをするかしないかっていうのが大きな選択としてありました。僕は始めから顔は出したくないっていうスタンスでやったんですけど、VOGUE GIRLのみなさんとご一緒する際に、タロアウトさんがしいたけ.くんと12星座のキャラクターをつくってくれて。いい意味で生々しい人間性というのがないというか、キャラクターがニュートラルな形で前に出てくれたから、スムーズにしいたけ占いの言葉を捉えていただけたりとか、性別とか年齢とかを超えて言葉を届けられたのはうれしかったです。
タロアウトさんの可愛いイラストと優しい文章の相乗効果ですね。白黒つけるのではなく、グレーの部分にこそ大切なものがあると感じさせてくれる占いって、ありそうでなかったと思います。
そうですね。それこそ吉とか凶とか、いいとか悪いとか、そういう占いって本当にいろいろあると思うんですけど。自分はなんで占いをやっているのだろう?って改めて思い返してみたんですが、20代で僕自身がフリーターになったときに通信簿がほしいと思ったんですよ。あれほど嫌だった、学生時代についてまわった中間テストだとか期末テストだとか、通信簿みたいなものって、大人になると基本的になくて野放しというか。評価とか、その人が今頑張っていることとかって、それこそ会社とか仲間内とかではされるかもしれないけど、現状確認として「こういう時間を過ごしていて、こういうところに向かっていますよ」というのとか、それに対して自己評価として「もうちょっと頑張りましょう」とか「今よくやっていますよ」みたいなものを評価してくれる人がいなかったから。吉とか凶とか1位とか12位とかも大事かもしれないんだけど、自分が占いをやるってなったときに「今、何をしているか」を確認できるものがあったらうれしいなと思って。
たしかにそれってすごく大切ですよね。自分の人生を見つめる通信簿。
テレビに出演させてもらったときに、とあるママさんタレントの方に「すごいことを毎日やられている」みたいなことを言ったら泣き出してしまったことがあって。「褒められたことがない」と。褒めようと思って褒めたわけではなかったんですけど、うわーってそれがすごく胸に響いて。表舞台に立って何か結果を出している人というのは数としてはそこまで多くないけど、それ以外の人だってどの人も仕事をしていたりだとか、その人がいないとまわらないっていうことがあるはずなのに、あんまりそれが着目されないというか。「ちゃんとすごいし、ちゃんと偉い」とお伝えしたいと思って。余計なお世話なんですけど(笑)。
大人になると褒められないですもんね。褒めるのも下手ですよね。
でも副編集長は言ってくださいますよね。褒めてくれる。
もし、僕ができるようになったのはしいたけ.さんと出会ってからだと思います。素直に良い言葉も伝えなきゃと思ったのは。
それを言われたら僕もしいたけ占いの執筆をしていて、影響されてプライベートでも褒めるようになりましたね。美容院でシャンプーが上手かったら「上手いですね」って言うとか。それはもう“しいたけ.さん”の影響ですね(笑)。
多分みんな、日常で手に入れられない「当たり前の優しさ」をしいたけ占いで味わっているんじゃないかな。多くの人がしいたけ占いに助けられてきましたが、しいたけ.さん自身もしいたけ占いをやることで新しい自分の一面とかを発見できたりしましたか。
そうですね、もちろんそれはあります。いちばん印象深かったのは、やっぱりこの2、3年のコロナの時期で。行動規制とか外出できないみたいになったときに、より「何を届けるべきなのか」みたいなことにより強く直面させられて、もっと表に出てこない楽しさとか、頑張っていることとか我慢していることも含めて、その人の良さを代弁しなきゃいけないということをより強く思って。しいたけ占いを通じて「人のことを知ろう」と思うことができましたね。その人の背景とかドラマとか、課されているものをもっと知らなきゃ!というか。ちょうど占いの執筆に慣れてきたタイミングでもあったような気がして、これまでも気を抜いて仕事をしたつもりは1回もないんですけど、おかげさまで占いの知名度も上がってきたし、そこで1回締め直したというか。もっと人のことを知らないと占いも書けないし、見ている人が読んでくれないと思ったから…。教えられることだらけですね。
「知る」って大切ですよね。自分ごとで恐縮なんですが「開く/知る」よりも「閉ざす」方が楽になってきちゃって。年齢的なこともあるかもしれないんですけど、僕意外にもコロナの影響で「閉ざす」人が増えているんじゃないかなと思うんですよね。しいたけ.さんは、逆にそこでもっと知ろうという考えに至ったわけですね。
そうですね。リモートができる人とできない人にも分かれたし、人と顔を合わせることで頑張れるという雑談が必要な人と、閉ざした方が自分の仕事に集中できるという人にも分かれたし、改めていろんな人がいるなと思って。距離を取りすぎてもいけないし閉ざしすぎてもいけないし、かといって近寄りすぎてもいけないし。なかには、コロナで忘年会がなくなってすごく元気になったみたいな人もいるし。本当に以前の暮らしとは変わってしまった感覚もありますよね。
最近はパンデミックの苦しさを忘れようとする風潮もありますが、あの特殊な状況で向き合った気持ちとか、欲望とかは忘れずにいたいなとも思います。しいたけ.さんは、どうしてここまでしいたけ占いが受け入れられたのだと思いますか?
やっぱりそれは「山奥のおじいさんに徹した」ということがあったのかなと思います。しいたけ占いは、「都会に出た孫を応援する、山奥のおじいさんからの手紙」だと思って書いていました。姿は見せないし、孫がやっていることは全部かわいいというコンセプトでやっていて。それは別につくり込んだわけじゃなくて、実際に僕は朝起きて学校に行くだけでも偉いと本心で思っているから。注目される人や自己PRが上手い人だけが褒められて目立って賞賛を受けて……みたいな悩みってありますけど、そういう影の部分に90%以上の人たちがいるっていうのが、当たり前のようでなかなか注目されていなくて。僕はその90%以上の人たちが好きだし、何があっても励まし続けたいと思いました。全然関係ないですけど、VOGUE GIRLで初期の初期に初めて個人鑑定を募集したときも、18歳くらいなのに「ぬか床をつくるのが趣味です」とか、そういういい意味でヘンテコな人たちが集まってくれて。本当にこの仕事をやっていて良かったなと思ったんですよね。なかなかこのおしゃれな媒体の占いの募集に集まってこないような素敵な人たち(笑)。
(笑)たしかに「豪華なホテルでシャンパン飲みたいです」ではなく……
ぬか床ってところがいいですよね(笑)。
やっぱりこう、人間味を感じるんですかね。僕も絶対に「ぬか床」側の人間なんですが、なんなんですかね、やっぱりそこに愛を感じるというか。
僕が好きなミュージシャンとかタレントさんとかも、割と遅咲きと言われる人たちが多いんですよね。20代の頃はあまり仕事がなくて、今40代前後とかですごく輝いている人たちというのが、昔よりも多くなってきている気はしています。10代・20代の一発勝負じゃなくて、10代・20代では影の時間を過ごしてきて、その人たちがやっと受け入れられた、みたいな。煌びやかな世界は素敵だなとは思うんですけど、やっぱりそういう影の時間を過ごしてきた人たちの方が多いと思うし、そういう人たちに興味をひかれる自分がいます。
このデジタルな時代って、ほんのひと握りの人たちの華やかな世界に引っ張られてしまいがちじゃないですか。その光を見たがゆえに自分の中に影を落とすというのは、多くの人がスマホを通して感じている部分だと思うんですよね。自分だって頑張っているはずなのに、なぜか心に影を落とすんだろう?そんな人たちに目を向けるということは大切なポイントですね。これからの時代で世の中に何かを発信していく仕事をしていくときに。
SNSって本当に極端な意見がバズったりするけど、あれってほんの一部に過ぎないもの。バズったものだけが世の中の総意ではないと思いますし、それこそSNSの外にいる大半の人たちは、全然違った生き方をしているかもしれない。その見えない人たちの面白さがなかなか注目されないな、という気持ちはあります。
その人たちに届けるために「山奥のおじいさん」が気遣ってきたことはありますか?
まず素直な気持ちで人と付き合うっていうのは大事かなと。僕も12星座占いをやっていて、人とちょっと違うなという部分、その12星座の人の弱点こそが面白いと思ってしまうんです。例えば、獅子座だったら言いすぎて相手のとどめを刺しちゃうとか、蟹座だったらちゃんとしていない人を崖から突き落としちゃうみたいな(笑)。
這い上がってこい!みたいな。蟹座ありますね(笑)。
双子座だったら、言わなくていいひと言を調子に乗って言ってしまったりとか。でも、大好きなんですよ、そういうところが。
双子座なんですが、しょっちゅうです(笑)。
長所ってみんなから良いと思われるおしゃれな面ではあるけど、本当に面白いところって泥くさいところであったり、何度も直したいと思っているのに失敗してしまうその人の癖だったりすると思うんですね。そういうことこそが人間味があって面白いから、僕は占いで「いや、そこが面白いんじゃん!」っていうのを常に毎回ぐらい出すつもりでやっています。僕は「しょうがない」という言葉はポジティブな言葉だと思っているんですけど、そういう素敵な性質を持っちゃうのは、しょうがないですよね。
たしかに。占いを見てもらう人って結構「いつ結婚できますか?」とか「人生成功したい!」みたいな感じのところにスポットを当てている人が多いけど、しいたけ.さんは視点というか、ポイントが違いますよね。そこじゃないあなたの幸せポイントを見つけようみたいなところが裏のメッセージであるのかなと。
本当に誰かを好きになったときって、好きになった相手がインスタに載っていないところで何を食べているかとか何を飲んでいるのかとか、コンビニでどういうお菓子を買っているんだろうとか、発表していない部分を覗いてみたいという気持ちになると思うんです。そういう目立たないけど愛すべき部分を星座によって出せたら素敵だなぁと思いながら、今でもやっています。
「弱点こそ面白い」って勇気づけられます。弱点って直らないんですよね、やっぱり。こうやってお話ししているだけで元気が出てきますが、しいたけ.さん自身は、今まで誰かにもらったアドバイスとか言葉で心に残っているものはありますか?
いろいろあるなー。しいたけ占いを始める前の話なんですけど、占いの勉強をしてお客さんと会う段階のときに、ある街で美容師をやられている方から「1円でもお金をとったら、あなたはプロなんだから。プロは嘘でも自信を持たなきゃいけない。自信のなさは家に置いてこい」って言われて。「お客さんもあなたに会えてよかったって思いたいから、時間をつくって会いに来てくれるんだよ」って言われたことが今でも本当に忘れられなくて。それまで「なんで自分の占いが受け入れられるのかな?」「当たっているのかな?」って、思いながらやっていたんですけど、「そうか、会えてよかったって思われたらそれでいいんだ」と思って。会えてよかったとか、しいたけ占いを読んでよかったと思われるために、占い師としてあらゆる手を尽くそうっていう考えになれましたね。「占いはこうでなくてはいけない」っていう固定概念を捨てられました。
僕もしいたけ.さんからの言葉で心に残っていることがあるんです。いつだかの雑談の中で、僕がスタッフに対してどういう言葉をかけたら主体性を持って仕事に向かってもらうか、と相談したんですよ。そうしたら「『工夫してみたら?』って言ったらどうですか?」と。
あー、なんか覚えています。
スタッフに対してアドバイスや注意するときに「工夫してみたら?」っていう言葉が僕の中には全くなかったので本当に目からウロコという。それからは「工夫してみたら?」がマジックワードで、もう連発しています(笑)。
よかったです(笑)。
改めてお聞きしたいのですが、8年半しいたけ占いをやってきて、しいたけ.さん自身が伝えたかったことって何でしたか?
昔、僕自身がそんなに好きではなかった言葉のひとつに「思い出づくり」っていう言葉があるんですよ。思い出って、いろんな形があると思うんですけど、それこそ連載がきつくなったときに、イベントの楽屋裏で副編集長の現さんと雑談したときのこととか、半期ごとのスペシャルLIVEのとき編集担当の蔵澄さんが「最近ダンスしているんですよ」って話したこととか、些細なひとコマなんですけど、「また会ってあの人と話したいな」と思い出すような「小さな思い出」があるからこそ、猛烈な言い方をしちゃうと、未来へ向かう力をもらったっていうのがあって。思い出づくりっていっても、60人ぐらいで集まって写真撮影しようとか、そういうのは僕も苦手だしそんなことをやる必要はなくて、同じメンバーでもいいし違うメンバーでもいいから、「小さな思い出」のひとつひとつをつくっていこうと思ったときに、不思議と毎日を生きる勇気が湧いてくる気がするんです。
しいたけ占いは「ささやかな思い出づくりをしよう」キャンペーンでもあったと。
そうですね。なんでこんなことを覚えているんだろう?っていうことって、普段あったりするじゃないですか。でも、そういう「小さな思い出」こそ大切にしていってほしいなって。あとは年に1回キャンプまがいなことをやっているんですけど、薪割り体験がすごく良くて。焦ったときは薪割りの時間を思い出しています。スイッチ1つで全部できる時代だけど、野外という環境では薪がないと暖も取れないし、ごはんもつくれない。だからこそ、「とりあえず薪を割ろう」みたいな、目の前のことに集中する時間っていうのかな、そういうのがあるとあんまり周りのことに踊らされずに済むというか。考えちゃうときこそ散歩するとか、そういうのはすごく大事だなと思いますね。
自分にとっての「薪割りの時間」をつくることが大切なんですね。
不安を抱えていない人はいないと思うんだけど、絶対に僕はSNSによってつくられている不安というのはある気がしていて。ちょっとSNSから離れる時間を持つことは大切なんじゃないかな。そこが全部の世界ではないわけですから。
しいたけ占いってデジタルだからこそ受け入れられた部分ってあると思うんですけど、かなりアナログですもんね。上手く言えないけど、心をアナログな気持ちにさせてくれるというか。
ありがとうございます。おばあちゃんの家で食べる煮物は、家の匂い込みで食べるものだから、そういうのはすごく大事にしたいという思いはありますね。しいたけ占いは、おじいさんからの孫への手紙ということで、手紙という形で読んでくださる方の人生に関われたことはすごくうれしくてしょうがなかったし、8年半の間、毎週それを月曜日に届けられたことは、変な話、自分でも誇りに思っていることです。なかなかそれってやろうと思っていても役割として与えてもらえることってないはずだから、それはすごくうれしかったなぁと。本当に読んでくださってありがとうございますという気持ちです。
しいたけ.さん、今後はどんな活動をしていきたいと思っているんですか?
みなさんにまた楽しんでもらえるように準備はしています。ほんの少しお休みはいただくつもりなんですけど。
おっ、それはうれしい。でもその前にゆっくりと休んでいただきたい(笑)。
VOGUE GIRLのクローズに伴って、しいたけ占いも止めるって告知を出したときにツイッターもインスタも反響がすごくて…。多少は出てくるかなとは思っていたんですよ。でも、あまりにもたくさんの人たちが書き残してくれて、しかも全員が自分の言葉で結構な長文のコメントを残してくれて、こんなにありがたいことはないなと思いました。
みんなにとって、大切な友だちというか、おじいさんというか、もうひとりのパートナーくらいの存在だったと思うので。最後にお願いです。しいたけ占いにまた会える日まで、12星座ごとにお守りワードをいただいてもいいですか?
牡羊座のあなたへ
牡羊座は普段、こちらがビックリするぐらいにぼーっとしているところがあるのに、「楽しむぞ!」とスイッチが入った時に王者の風格になるのが本当に不思議でした。あなたが世界にいると「なんだか色々面白くなる気がするぞ」と思っちゃいます。
これからも、あなたの周囲の世界を照らしていってくださいね。
牡牛座のあなたへ
地道にコツコツやっていたかと思えば、急に髪を金色に染めちゃうぐらいに変身する。また、自分が愛するものを至近距離でずっとペロペロしているような牡牛座は、つかみようのない美意識と強さを持っていて、そこが本当に大好きです。
ぜひ、至近距離ペロペロ活動を続けていってくださいませ。
双子座のあなたへ
双子座は普段、お菓子を食べながら「あー、実家の庭から石油出ないかなー」とか突拍子もないことを言いながら、「ここは絶対に退けない」と、自分のセンスを爆発させているところが大好きでした。
あなただけのユーモアとアンニュイの空気を大切にしていってくださいね。
蟹座のあなたへ
「面倒くさいことはさっさと片づけて、早く家に帰って好きなことをしたい」。その精神ですごい繊細で大変な仕事さえもさっさと片づけてしまう蟹座の力を本当にリスペクトします。しいたけ占いで「隠れ短気」とか「身内に厳しい」をバラしてすみませんでした。
この先も、明るく、短気で、あなたの周りの世界を整理していっちゃって。
獅子座のあなたへ
獅子座が持っている熱量って、ほかの人が絶対に真似できないぐらい熱いですよね。あなた自身、ただ「好き」や「自己満」でやっているのではなくて、好きになったものに対して全力で責任を持っていく。常に進化し続けるあなたを応援させてください。
「私が好きか、嫌いか」。そこだけ大事にしていけば大丈夫!
乙女座のあなたへ
乙女座には「どこまで見ているんだろう」と思うぐらいの観察力があって、まだネクストブレイクしていない人やモノ、文化の動きを感知していきます。乙女座の面倒見の良さとフォロー、「毒」をも愛してしまう包容力によってどれだけ多くの人が救われたことか。
「美しいか。美しくないか」。世の中に眠るパワーを開花させてあげてくださいね。
天秤座のあなたへ
天秤座の出発点って、めちゃくちゃな不器用がある気がします。意を決して、真剣に勉強し、鍛え、自分を磨いてきた。あなたは単なる「優秀な人」ではないです。人の何倍も遠回りをしてきた。色々なものを見てきた。自分を信じ、自分の道を歩んでいって。
これからも「人と違うけど、ま、いっか」の精神を大切にしてください。
蠍座のあなたへ
「好きなものや愛するものに対する手加減のないぶっこみ」が蠍座には常にあって、あなたの周りには良い意味で嵐があります。自分が受けた恩や売られた喧嘩に100倍返しをしていくようなキャラクターの濃さもすごく面白かったです。
ひとりではなく、みんなで楽しもうとするあなたの姿勢は本当に尊いです。
射手座のあなたへ
射手座の人生って壮大な「実験人生」なのです。「誰もやっていないけど、こういうことできるんじゃない?」と自分で思いついて、そして、やってしまう。あなたの「うるさい。私はやる」の強引さと、好奇心は周りの人にとっても宝物です。
面白くなって、夢中になって、誰も到達できないレベルに行っちゃってくださいね。
山羊座のあなたへ
山羊座は興味があるものと興味がないもの、そして、得意なことと不得意なことが本当に極端で、奇跡を起こす暴走パワーも持っている人です。自分が失敗してきた経験から他人のポンコツ性にやさしく、あなたに救われている人はたくさんいます。
失敗したり、奇跡に出会ったり、あなたの人生はやっぱり特別です。
水瓶座のあなたへ
水瓶座には「どこか遠い星から来たか」のような雰囲気があり、「理解されない」という闇も、「みんなで分かち合う」という光も、両方大切にしていける度量や力があります。あなたはいるだけで尊いのだけど、時々は五歳児に戻ってくださいね。
「人間って面倒臭い」。そう言いながら、人の面白さを愛するあなたが美しいです。
魚座のあなたへ
「いつもニコニコしているけど、そこまで良い人ではない」。魚座のキャッチフレーズとしてずっと大切にしてきた言葉です。あなたは白も黒も呑み込み、ひとつの枠の中に収まる人ではないから。枠を越え、もっと自由に暴れていって。
自由と衝動とノリを愛し、あなたにしかできない人生を歩んでいってくださいね。
ありがとうございます!しいたけ.さん、10年後はどんな感じになっていたいとかあります?
あまり変わっていない気がするんですよね。変わらないでいられることも、読者のみなさんのおかげであると思っています。本当にこれまで読んでくださった読者のみなさんや、VOGUE GIRL編集部のみなさんには感謝しかありません。そして、これからも「山奥のおじいさんからの手紙」を届けていけたらうれしいと思っています。
僕も編集部のスタッフも、しいたけ.さんに出会い、一緒に楽しい企画をつくっていくことができ、まさに人生の宝物のような思い出をたくさんいただきました。本当にありがとうございました!
こちらこそありがとうございました!これからもよろしくお願いします。