公立高校と国立大学の無償化は、費用面での負担が少なく、教育の公平性も確保しやすいことから、より妥当な政策と言えます。
楽天三木谷浩史氏がズバリ「マジで私立高校まで無料化する意味わからん」高校授業料の無償化巡り(日刊スポーツ)
#Yahooニュース
記事の分析と考察
楽天の三木谷浩史氏は、**「私立高校の無償化は意味がわからない」**と主張し、無償化の財源が将来の若者の税負担になること、また、私立高校の自律性が失われる可能性を指摘しています。さらに、公立高校の定員割れなど、制度の歪みを生む可能性も論じられています。
公立高校・国立大学の無償化が妥当な理由
1. 公立高校と国立大学は「公共財」としての役割が強い
• 公立高校・国立大学は、国や自治体が直接運営し、教育の質や公平性を確保する役割があります。
• 一方、私立高校は独自の教育方針を持ち、競争原理が働くため、完全無償化は「私立の特色を失わせる」可能性があります。
2. 私立高校は本来「選択の自由」の枠組み
• 私立高校は、教育の多様性を担保するために存在しており、公立と異なる教育サービスを提供することが目的です。
• そのため、公立高校と同程度の補助を提供することは議論の余地がありますが、完全な無償化は税金の使い道として合理性を欠きます。
3. 費用対効果の問題
• 試算結果によると、私立高校の無償化には約 4,893億円、国立大学の無償化には約 2,310億円が必要となります。
• つまり、私立高校の無償化は国立大学無償化の2倍以上の財源を必要とし、持続可能な政策とは言い難い。
4. 教育格差の是正には「低所得者向け支援」の方が有効
• すでに低所得層向けの授業料支援制度(就学支援金制度など)があるため、高所得者層にまで適用する全面無償化は「逆進的な補助」となり、結果として税金の再分配効果を損ないます。
• 一方、国立大学の無償化は、公立高校と同様に教育を受ける権利を広く保障し、特に地方や低所得層の学生にとってメリットが大きい。
結論
公立高校と国立大学の無償化は、教育の公平性を担保し、財政的にも現実的な政策です。一方、私立高校の全面無償化は、私立の特色を奪い、財源の公平な分配という観点からも問題が多いと考えられます。そのため、教育格差の是正を目的とするならば、公立高校と国立大学の無償化を優先すべきです。
公立高校の授業料無償化にかかる費用を試算するためには、全国の公立高校生徒数と授業料を考慮する必要があります。
1. 公立高校の生徒数
文部科学省のデータによれば、令和4年度(2022年度)における公立高校の在籍者数は約2,500,000人です。
2. 公立高校の授業料
公立高校の授業料は年間約118,800円とされています。
3. 無償化にかかる総費用の試算
現在、世帯年収が約910万円未満の家庭では、高等学校等就学支援金制度により、公立高校の授業料が実質無償化されています。この制度の対象外となる世帯年収が約910万円以上の家庭の生徒数を仮定し、その分の授業料を国が負担する場合の費用を試算します。
仮に、全体の20%の生徒がこの所得層に属すると仮定すると、対象となる生徒数は約500,000人(2,500,000人 × 20%)となります。
したがって、無償化にかかる追加費用は、500,000人 × 118,800円 = 59,400,000,000円(約594億円)となります。
注意点
• この試算は仮定に基づいており、実際の所得分布や生徒数の変動により、必要な予算は変動します。
• 授業料以外の教育費(教材費、部活動費など)は含まれていません。
以上の試算から、公立高校の授業料を全ての世帯で無償化する場合、追加で約594億円の予算が必要と見込まれます。
費用比較結果:
• 公立高校+国立大学の無償化費用: 約 2,904億円
• 私立高校の無償化費用: 約 4,893億円
比較すると、公立高校と国立大学の無償化の方が約1,989億円(約40%)も安く抑えられることが分かります。
結論
公立高校と国立大学の無償化は、費用面での負担が少なく、教育の公平性も確保しやすいことから、より妥当な政策と言えます。一方、私立高校の無償化は、公立高校の意義を損なう可能性があり、財政負担も大きいため、慎重な検討が必要です。
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