ISO内部監査員が大変な理由とは?負荷や準備作業について解説!
1. 内部監査員の負荷とは
ISOの内部監査員としての役割は、非常に重要でありながらも、その分、多くの責任と負担が伴います。内部監査員は、組織内でISOの規格に従って運用されているかをチェックし、改善点を見つけ出す役割を担います。ここでは、内部監査員が直面する負荷や、負担を軽減するための方法について説明します。
監査対象となる多種多様な業務を理解しなければならない
内部監査員は、組織内のさまざまな業務を監査する必要があります。製造部門や営業部門、経理部門など、各部門が異なるプロセスや業務内容を持っているため、それらを理解することが求められます。監査員は、業務の流れやプロセスの目的、そしてそれがISO規格にどう関連しているかを深く理解する必要があります。この幅広い知識を習得することは、監査員にとって大きな負担となることがあります。
この負荷を軽減するためには、各部門の担当者と良好なコミュニケーションを取り、業務の具体的な内容を事前に把握しておくことが重要です。また、監査の対象となる業務に関する資料や手順書をよく読み込むことで、より効率的に監査を進めることができます。
監査の全体像を捉える目を養う
監査員は、各部門の業務だけでなく、組織全体としてのパフォーマンスを見渡すことが求められます。個々のプロセスがどのように連携しているのか、全体として適切に機能しているかを判断するためには、幅広い視点が必要です。組織全体の流れを理解し、細部にとらわれすぎずに大局的な視野で監査を進めることは、経験を積むほどに得られるスキルですが、初心者には難しいと感じることもあるでしょう。
全体像を捉える力を養うには、監査の経験を積むだけでなく、ISO規格に基づく業務フローや各部門の役割を深く理解することが大切です。ISOの基本的なフレームワークやPDCAサイクルの考え方をしっかりと学び、全体としてどのように改善が行われるべきかを常に意識することで、このスキルが向上します。
「嫌われ役」「あら捜し」と思われることもある
内部監査員の仕事は、規格に適合していない部分や改善点を指摘することです。そのため、時には「嫌われ役」や「ただのあら捜しをしている」と感じられてしまうこともあります。このような評価を受けると、監査員自身がストレスを感じることがあります。しかし、内部監査は組織全体の改善を目的としているため、批判的に見られることに負けず、冷静に業務を進める必要があります。
こうした負担を軽減するためには、監査の目的や重要性を事前に関係者に理解してもらうことが有効です。監査は「指摘するため」ではなく「改善するため」に行うものであり、組織全体に利益をもたらすことを強調しましょう。また、ポジティブなフィードバックを積極的に提供することも、関係者の協力を得るために効果的です。
常に勉強する姿勢が必要
ISO規格は一度学べば終わりというものではなく、時折改訂が行われるため、最新の情報を常にキャッチアップしておく必要があります。また、組織の状況や市場環境が変わるにつれて、適用すべき規格やその運用方法も変わっていくため、内部監査員は常に勉強し続ける姿勢を持つことが求められます。
この負担を軽減するためには、定期的に研修や勉強会に参加することが重要です。ISO関連のセミナーやワークショップは、最新情報を学ぶだけでなく、他の監査員と情報を共有したり、経験を交換する場としても役立ちます。また、ISO関連の書籍やオンラインリソースを活用して、自主的に学習を進めることも効果的です。
内部監査の準備作業
内部監査を実施する前には、しっかりとした準備が必要です。監査対象となる部門や業務のプロセスを理解し、監査の目的を明確にした上で、監査計画を立てます。また、監査チェックリストの作成や、必要な資料の準備も欠かせません。これらの準備作業には時間と労力がかかるため、監査員の負荷となることが多いです。
準備作業を効率化するためには、過去の監査結果や既存のチェックリストを活用することが有効です。また、事前に監査対象の担当者と話し合い、どのポイントを重点的に確認するべきかを整理しておくことで、スムーズな準備が可能になります。
内部監査業務の標準化作業
内部監査を組織内で効果的に進めるためには、監査手法の「標準化」が重要です。これは、監査員が毎回異なる方法で監査を行うのではなく、一定の手順やルールに基づいて行うことを意味します。標準化された監査手順があれば、監査員間のバラつきを減らし、効率的に監査を進めることができます。
標準化のためには、監査手順書やチェックリストを整備し、定期的に見直すことが重要です。また、他の監査員と情報を共有し、ベストプラクティスを学び合うことで、標準化作業を進めることができます。
2. まとめ
内部監査員の役割は非常に重要で、組織全体の品質向上や業務改善に大きな貢献をするポジションです。しかし、その一方で、多くの負担がかかるのも事実です。監査対象となる業務の多様性や、監査全体を俯瞰する視点を持つこと、さらには「嫌われ役」としての立場に直面することなど、内部監査員は多くのチャレンジに直面します。
しかし、適切な準備と標準化、そして継続的な学習を通じて、監査業務を効果的に進めることができます。内部監査は、組織の成長や改善を促進する重要な活動ですので、内部監査員としての責任を果たしつつ、負担を軽減できるよう工夫を凝らしていきましょう。
内部監査員が、組織の中で信頼され、監査活動が建設的なものであることを理解してもらえれば、業務の負担を減らしつつ、組織全体のパフォーマンス向上に貢献することができるでしょう。